真のメディスンマン

真のメディスンマン

メディスンマンになりたくて、一人の若者が申し出た。

年老いたメディスンマンは、拒否もしなければOKとも言わなかった。

若者は年老いたメディスンマンの後をついて行く。


一緒に旅をして行けば、色々教えてもらえるだろうと期待した。

が、何も始まらない。


若者はしびれを切らし、何か教えて欲しい!

メディスンマンの修行をしたいんだ。


すると、年老いたメディスンマンは言った。


「もう始まっておるは」


・・・・・なにが始まってると言うのだ?

若者は気づかない。


「そなたにわからないだけのことよ」

「静かにしていなければ、聞こえはしないだろうよ」

・・・・・・と、メディスンマンが呟いた。



旅の途中、日照りが続き乾ききった大地に苦しむ村に入った。

村では「雨乞い」の儀式が行なわれている。


若者はメディスンマンの呪術に期待していた。

メディスンマンは、風を呼んだり雨を呼んだりする術を使う。


しかし・・・・・年老いたメディスンマンは何もしようとしなかった。


年老いたメディスンマンが言った。


私たちの意志でどこかに雨を降らせたならば、

他の場所に災いを引き起こす原因になるかもしれない。


南の地におだやかな天気をもたらせば、

それと気づかず、北の地に嵐と破壊を呼ぶことになりかねないのだ。

と、説く。


結局のところ、悟れば悟るほど・・・・何もしなくなってゆく。


大宇宙の均衛に身を任せるとき、

人はだんだん無為に近づく・・・・・


それこそが・・・・・悟り・・・・真のメディスンマン。


真のメディスンマンは、

「メディスンマン」である事を、ひけらかさない・・・・

by mamashiningmoon | 2012-07-03 21:48 | アメリカインディアンのお話し | Comments(0)