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カッシーナ社の家具100点を、1000㎡もの会場に一堂にそろえ、技術とデザインが融合した歴史的な名作を、一気に鑑賞できるのがこの
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カッシーナの名作、教えます。(2)「キャブとスーパーレジェーラ」
 さりげないものの後ろに、どれだけの技術が潜んでいるのか。ものづくりの取材の時に、いつも感じることです。カッシーナのプロダクトにも、そんな「さりげないのに、実はすごかった」ものがたくさんあります。私がその一つと感じるのが「キャブ」という椅子です(1977年)。この椅子、全体が厚革でくるまれています。
カッシーナの名作、教えます。(2)「キャブとスーパーレジェーラ」_b0166527_18334220.jpg
 一方でソファのように「ふくらみ」を張りで表現するのは一般的です。数年前、革張りソファの製造が盛んな、南イタリアのソファ製造産地を視察してまわったことがあります。木のフレームにウレタンフォームを巻き付け、革をきゅっきゅと張りながら、タッカー(工業の用のステープラーのようなもの)でタカタカ止めていくのです。ウレタンフォームのふくらみで、革は自然にぱんと張って、ソファのフォルムが生み出されます。

 ところがこのキャブは平面的な造形です。しかも中身は平たい、スチールのフレームだけ。ここにまるで「洋服を着せる」ように、あらかじめ縫って袋状になった革のスーツをかぶせるようにして、キャブは完成するのです。キャブはそんな革の扱いが命。フレームにカバーをかぶせて、堅く凛とした張りが出るか。革の型取り、裁断、縫製。すべての過程に職人の技術が生かされているのです。この製法はもちろん一般的でなく、イタリア人デザイナー マリオ・ベリーニの求める完成像から、職人が「製法」を生み出したのです。

 最初に座った時は、ちょっと革の冷たいような硬さにどきっとします。けれどもだんだん、自分の体温と座がなじんでくると、その適度な硬さがとても心地よく思えてきます。そしてキャブのすごいところは、この一つの椅子におわらず、アームチェア、2人掛けのラウンジチェアなど、シリーズとして発展していったところです。

 苦労を見せずにデザインは軽快といえばもう一つ。イタリアの建築家ジオ・ポンティの、超・軽量の椅子「スーパーレジェーラ」があります(レジェーラはイタリア語で軽いという意味)。重さはわずか1.7kg。けれどもそれなりの体重の人が座ってももちろん平気。背に指一本を掛けて持ち上げることも可能なはず(「カッシーナ・イクスシー青山本店」で持ち上げてみるべし)。でも何故そんなに軽くて強いのか。デザインはあくまでもごくベーシックで、ぱっと見にはわからないのがすごいのです。
カッシーナの名作、教えます。(2)「キャブとスーパーレジェーラ」_b0166527_18352882.jpg
 これもやはり細かい工夫が施されているのです。まず脚の形。断面を三角形にすることで強度を保ちながら、余分な材料を減らしています。そして座は籐編み。これもフレームを組んでから、座を編む職人の元に送られ、直接編み込みます。座は別につくって乗せている、というわけではないのです。またただ軽ければいいということではなく、体のもたれを受け止める背のカーブなど、掛け心地にも十分な配慮がされています。

 この超・軽量の椅子は1957年に誕生しています。重量の数字でこれより軽い椅子はあったかもしれませんが、総合的な完成度と人気、使い勝手を見るに、今なおこれを越える軽量椅子は出ていないと言えるでしょう。

 さりげないのにすごいーそれがカッシーナの名作椅子です。あっさりと通り過ぎてしまい、お見逃しなきよう!

文/本間美紀
by madeincassina | 2009-04-17 18:34 | 本間美紀
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