このブログ立ち上げて、早くも1年経ちましたか!!!
早いものですね!
最近、ちょっと忙しくて投稿間隔があいてしまいましたが、ほんまご免です♪
これからもがんばって「LOUDNESS歴史物」書きますよ~~~ん♪
よろしくね!
二井原
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1983年8月15日
アンカレッジを経由してオランダはアムステルダムへ。
飛行時間は18時間以上かかったと思う。
僕は閉所恐怖症で飛行機が大の苦手だったので、途中で休憩があるのには助かった。
それにしても、アンカレッジ上空から見た北極白銀の氷の世界は圧巻であった。
怖いぐらいの美しさ、息を呑む自然の神々しさ、自然と言うのは偉大な芸術家である。
あの美しい氷の世界は神が手掛けた芸術作品だ。
氷と海の世界・・・
どこかに精霊、天使がいるのではないだろうかと思った。
僕は息を呑みながらずっとその景色に時間を忘れて心奪われた。
それにしてもヨーロッパはマジで遠い・・・・と思った。
タッカンは飛行中ずっと寝ていたけれど、目が覚めて「まだ着かんのかいなぁ・・・」とつぶやいた。
スチュワーデスさんが「外は明るいけれど、今は寝る時間なので窓を閉めてください」と言った。
真っ暗な飛行機の中、息苦しくて最早発狂しそうになった。
この飛行機の中の閉塞感たるや!!!
(あぁ~あかん・・・お願いやから外の空気を吸わせてくれ・・・)
手に汗を握り、発狂しそうな恐怖と闘いながら、いつの間にか眠ってしまった。
ちなみに、ここでパニック障害、閉所恐怖症に少し触れておきたい。
パニック障害に縁のない方には「何の話じゃ?」と思うかもしれないけれど・・・。
以前、突然パニック障害に襲われたことをここで書いた。
読者の方にもパニック障害で悩んでいる方が結構いるようで、「パニック障害でよく海外ツアーが出来ましたね。どうやったのですか?」と言うメールをちょくちょく頂く。
結論から言うと「自然に恐怖を克服した」としか答えようが無い。
勿論、気休めで医者から安定剤を処方してもらったけれど、薬を飲むことは無かった。
具体的に発作でどんな症状が起こったのかを書くと、飛行中に突然いても立っても居られない焦燥感を感じ、呼吸が出来ないような息苦しさを覚え、発狂しそうな気分が襲い、心拍数が上がり、冷や汗を滝のように全身にかくのだ。
この恐怖の経験「もう、あかん!!死にそうだ!!」と思う経験を何度もしながら、一定の時間が経過するとこの発作が嘘のように消滅すると言うことも何度も経験した。
理由は分からないけれど、恐怖がある一定のレベルまで達すると嘘のように消えたのだ。
それ以来、パニックが襲っても(この発作はある一定の時間で消える)と自分に言い聞かせ、一切じたばたせず、発作が消えるのをただひたすら待った。
その内、発作が消えるのに40分かかったのが、30分になり、15分になり、5分になり、3分になり、30秒になって、今では発作を感じても数秒で発作が消えてしまうようになった。
発作が起こっても、恐怖を感じるまでもなく発作はすぐに消滅していしまうのだ。
非常に荒治療ではあったけれど、何度も経験した海外公演の為の長時間の飛行機移動が僕を救ってくれたと言える。
有無をも言わせない海外公演と言う仕事を通じて「行動療法」を施したと言う事になるのだろう。
敢えて発作や恐怖を起こす環境に飛び込んで行き、恐怖に打ち克つと言う事を学習したのだ。
どうやらパニック発作が起こっても体が本能的に脳内麻薬物質のようなものを分泌して発作や恐怖から身を守ってくれたようだ。
当然、この本能的(生理的?)に身を守ると言う現象(反応?)はあらゆる人にもあてはまるのではないかと思う。
人間はうまく出来ているのである。
少なくとも僕の経験で分かったことはパニック発作で死ぬことは無いし、発狂することも無いようだ。
僕のこの経験が何かの役に立ってくれたら幸いである。
どれほど眠っていたのか?
飛行機内の電気がつき目が覚めた。
ちょうど朝食の時間が来たのだ。
気がついたら窓の外は氷の世界から緑豊かな大地が見えていた。
やっと目的地まで来たのか。
オランダ、アムステルダム・・・
オランダと言えばチュウリップと風車しか知らなかった。
なんと言って良いか分からないけど、街全体がデズニーランドのようだ。
建物が漠然と持つヨーロッパのイメージにドンピシャであった。
アメリカとは明らかに違う街の雰囲気。
現地の人にアムステルダムの建物の多くが築数百年経過しているものも多いと教えてくれた。
築数百年の古い建物の中に近代的な「タワーレコード」があったり・・・。
こうして古い建物が壊されること無く、大事にされて尚且つ現役で活躍しているのだ。
街は本当に美しかった、メルヘンチックな世界そのものだった。
西欧の人が始めて見る古都、京都の町並みに感嘆の声をあげるけれど、まさにその気持ちである。
夜は夜でとってもロマンチックだった。
僕達はオープンカフェでアムステルダムの夜景を堪能しながら食事をした。
素晴らしい経験だった。
食事をしてしばらく街を散策するとLOUDNESSのポスターをあっちこっちに発見した!
「わぁ~LOUDNESSライブの宣伝いっぱいやってるがな!!!」
マー君が叫んだ。
ポスターを見ると僕が歌っている写真が大写しになっていて、その横に日本語が書かれていた。
その文句は奇妙な日本語ではあったけれど、間違ってはいない・・。
「日本からLOUDNESSは来ます!」
僕は「そうか・・・LOUDNESSは来るのか」とつぶやいた。
ライブに備えてメンバーは早めに寝ることにした。
僕はひぐっつあんと同じ部屋だった。
隣のベッドでひぐっつあんは早々に寝息を立てている。
(ひぐっつあん・・・ジャックダニエルとワインを相当呑んでたもんな・・・)
僕の体は疲れていたけれど、、頭が興奮してなかなか眠れなかった・・・。
僕の頭の中で「日本からLOUDNESSは来ます!」の文字がグルグルとしていた。
そして僕はやっと眠りに落ちた・・・。