渋谷公会堂ライブ'82
1982年12月9日渋谷公会堂ライブ。
その渋谷公会堂ライブ前日、「この渋谷ライブにはちょっとした演出をしたい」と事務所のプロデューサーが言った。
「二井原君って狭いところ大丈夫?」
「えっ?狭いところ???」
「ん、狭いところ、そうだなぁ~体がぴったり収まるぐらいの広さ」
「体がぴったり?なんですか?ライブに関係のある話ですか?」
「大有り、それってライブの演出なんだけど・・・」
「なんですかぁ~?」
「二井原君って棺桶に入ったことある?」
「何言ってるんですか?そんなのある訳ないに決まってるでしょ!」
「だよね・・・えっとねぇ~二井原君、ライブの1曲目に棺桶から飛び出してくれる?」
「はぁ???」

(Ultimate LOUDNESSより)
渋谷公会堂のライブの演出で棺桶に入ることになった。
(縁起でも無い・・・そんな罰当たりなことして良いのか?)と思う気持ちをよそにその話は決定した。
この日のライブから、ライブオープニングSEに「LOUDNESS賛歌」が流れることになった。
渋谷公会堂のステージ中央に棺桶がセットされて・・・・
オープニングSEが流れる前に僕は衣装を着て棺桶の中に入ることになった。
僕が棺桶に押し込まれたのは、まだ客電が付いていてお客さんが会場入りをしている最中だった。
開演前のお客さんの話し声が棺桶の中まで聞こえてきた。
「な~に?あの棺桶・・・・」
お客さんの話声が棺桶の中まで聞こえた・・・
ちょっと恥ずかしかった。
(アホ!誰が棺桶の中に入っていると思ってんねん!!)
僕は棺桶の中で汗をかきながら独り言をつぶやいた。
オープニングSEはたかだか数分のことだったけれど、僕には長く感じた・・・・。
それにしても、棺桶の中は思いのほか快適で、悪くないと思った。
棺桶の中でオープニングSEが始まったとたん物凄い歓声が起きた。
棺桶の中で(あぁステージ幕が開いたのだな)と思った。
オープニングSEの間、ステージ上では幻想的な照明で雰囲気を盛り上げているのだと想像した。
歓声が再び大きくなった。
(おぉ、メンバーが登場したんやな)
棺桶の中で歓声を聞きながら状況を想像するのが楽しかった。
(いよいよ1曲目が始まるな・・・)
僕は棺桶の中、上手く棺桶から飛び出せるか?緊張で心臓がバクバクした。
タッカンがIn the mirrorのイントロを弾き始めた。
“ジャージャガジャガジャガ、ジャ、ジャ、ジャー・・・“
歓声が再び沸き起こる。
タッカンがアームダウンと共にバンドが爆発した。
“ キ~~~~~~~ン ド~~~~ン!!!!!!”
僕はそのタイミングと同じに思いっきり棺桶から飛び出た!!
最前のお客さんがびっくりして悲鳴を上げた!
『ギャ~~~~~!!』
そのあとその人は爆笑した・・・・。
(ん・・・?この演出は格好良かったのか??逆にオモロイ感じになってるやん!!!)
僕は1曲目を歌いながらプロデューサーのアイデアを呪った。(笑)
渋谷公会堂のライブは大盛況で終わった。
よほどあの演出が受けたのか、伊藤正則さんが会うたびに、僕が棺桶から飛び出した時の物まねをして笑わせてくれたのだが・・・。
「そろそろLOUDNESSはアメリカに来る時期だね・・・」
ライブ後、エンジニアのダニーがまじめな顔で言った。
(ア、アメリカ・・・・ですかぁ・・・ついに来たか・・・海外やん・・・)
「海外」「アメリカ」僕にはまったく想像のつかない世界だった。
「ニイハラ君、LOUDNESSってサンフランシスコのアンダーグラウンドのメタルファンの間では既に有名なんだよ!」ダニーが教えてくれた。
(エッ??サンフランシスコで?)
僕はなんか意外な感じがした。
当時アメリカといえばThe All man brothers bandやEaglesなどの、所謂、レイドバックしたサザンロックのイメージしか無かったので、ダニーの「アンダーグランドのメタルファン」と言う言葉が新鮮だった。
「絶対にアメリカでライブをやるべきだよ!!お客さんは喜ぶよ、きっと!それに、LOUDNESSはアンダーグランドでは人気で有名だけれど、多くのアメリカ人は日本人がメタルをやれるなんて思っていないからびっくりするよ!!LOUDNESSはバンドとしてもレベルが高いからね!来年、夏にアメリカでライブやろうよ!」
ダニーは真剣だった。
僕はまだ半信半疑で言われるまま頷くしかなかった。
そして、その年末に出た音楽雑誌”PLAYER”の’82年の年間人気投票において、国内ニューアーティスト部門で1位になった。国内ベストアーティストでも2位にランクされた。ベストアルバム2位、国内ベストギターリスト1位、国内ベストドラマー1位、国内ベストベーシストで3位、国内ベストボーカルで2位になった。(資料、Ultimate LOUDNESS~リットーミュージックより)

(Ultimate LOUDNESSより)
あの憧れの”PLAYER”の人気投票で名前が出たのが死ぬほど嬉しかった!!
アメリカがより現実味を帯びて僕に迫ってきた・・・・。
本当に世界がLOUDNESSを待っているのかもしれないと思った。
どういう訳か、「LOUDNESSなら世界でも通用するのではないか?」と言う根拠の無い自信もあった。
『根拠の無い自信』、まさに神の声が聞こえていたのだと思う。
その渋谷公会堂ライブ前日、「この渋谷ライブにはちょっとした演出をしたい」と事務所のプロデューサーが言った。
「二井原君って狭いところ大丈夫?」
「えっ?狭いところ???」
「ん、狭いところ、そうだなぁ~体がぴったり収まるぐらいの広さ」
「体がぴったり?なんですか?ライブに関係のある話ですか?」
「大有り、それってライブの演出なんだけど・・・」
「なんですかぁ~?」
「二井原君って棺桶に入ったことある?」
「何言ってるんですか?そんなのある訳ないに決まってるでしょ!」
「だよね・・・えっとねぇ~二井原君、ライブの1曲目に棺桶から飛び出してくれる?」
「はぁ???」

(Ultimate LOUDNESSより)
渋谷公会堂のライブの演出で棺桶に入ることになった。
(縁起でも無い・・・そんな罰当たりなことして良いのか?)と思う気持ちをよそにその話は決定した。
この日のライブから、ライブオープニングSEに「LOUDNESS賛歌」が流れることになった。
渋谷公会堂のステージ中央に棺桶がセットされて・・・・
オープニングSEが流れる前に僕は衣装を着て棺桶の中に入ることになった。
僕が棺桶に押し込まれたのは、まだ客電が付いていてお客さんが会場入りをしている最中だった。
開演前のお客さんの話し声が棺桶の中まで聞こえてきた。
「な~に?あの棺桶・・・・」
お客さんの話声が棺桶の中まで聞こえた・・・
ちょっと恥ずかしかった。
(アホ!誰が棺桶の中に入っていると思ってんねん!!)
僕は棺桶の中で汗をかきながら独り言をつぶやいた。
オープニングSEはたかだか数分のことだったけれど、僕には長く感じた・・・・。
それにしても、棺桶の中は思いのほか快適で、悪くないと思った。
棺桶の中でオープニングSEが始まったとたん物凄い歓声が起きた。
棺桶の中で(あぁステージ幕が開いたのだな)と思った。
オープニングSEの間、ステージ上では幻想的な照明で雰囲気を盛り上げているのだと想像した。
歓声が再び大きくなった。
(おぉ、メンバーが登場したんやな)
棺桶の中で歓声を聞きながら状況を想像するのが楽しかった。
(いよいよ1曲目が始まるな・・・)
僕は棺桶の中、上手く棺桶から飛び出せるか?緊張で心臓がバクバクした。
タッカンがIn the mirrorのイントロを弾き始めた。
“ジャージャガジャガジャガ、ジャ、ジャ、ジャー・・・“
歓声が再び沸き起こる。
タッカンがアームダウンと共にバンドが爆発した。
“ キ~~~~~~~ン ド~~~~ン!!!!!!”
僕はそのタイミングと同じに思いっきり棺桶から飛び出た!!
最前のお客さんがびっくりして悲鳴を上げた!
『ギャ~~~~~!!』
そのあとその人は爆笑した・・・・。
(ん・・・?この演出は格好良かったのか??逆にオモロイ感じになってるやん!!!)
僕は1曲目を歌いながらプロデューサーのアイデアを呪った。(笑)
渋谷公会堂のライブは大盛況で終わった。
よほどあの演出が受けたのか、伊藤正則さんが会うたびに、僕が棺桶から飛び出した時の物まねをして笑わせてくれたのだが・・・。
「そろそろLOUDNESSはアメリカに来る時期だね・・・」
ライブ後、エンジニアのダニーがまじめな顔で言った。
(ア、アメリカ・・・・ですかぁ・・・ついに来たか・・・海外やん・・・)
「海外」「アメリカ」僕にはまったく想像のつかない世界だった。
「ニイハラ君、LOUDNESSってサンフランシスコのアンダーグラウンドのメタルファンの間では既に有名なんだよ!」ダニーが教えてくれた。
(エッ??サンフランシスコで?)
僕はなんか意外な感じがした。
当時アメリカといえばThe All man brothers bandやEaglesなどの、所謂、レイドバックしたサザンロックのイメージしか無かったので、ダニーの「アンダーグランドのメタルファン」と言う言葉が新鮮だった。
「絶対にアメリカでライブをやるべきだよ!!お客さんは喜ぶよ、きっと!それに、LOUDNESSはアンダーグランドでは人気で有名だけれど、多くのアメリカ人は日本人がメタルをやれるなんて思っていないからびっくりするよ!!LOUDNESSはバンドとしてもレベルが高いからね!来年、夏にアメリカでライブやろうよ!」
ダニーは真剣だった。
僕はまだ半信半疑で言われるまま頷くしかなかった。
そして、その年末に出た音楽雑誌”PLAYER”の’82年の年間人気投票において、国内ニューアーティスト部門で1位になった。国内ベストアーティストでも2位にランクされた。ベストアルバム2位、国内ベストギターリスト1位、国内ベストドラマー1位、国内ベストベーシストで3位、国内ベストボーカルで2位になった。(資料、Ultimate LOUDNESS~リットーミュージックより)

(Ultimate LOUDNESSより)
あの憧れの”PLAYER”の人気投票で名前が出たのが死ぬほど嬉しかった!!
アメリカがより現実味を帯びて僕に迫ってきた・・・・。
本当に世界がLOUDNESSを待っているのかもしれないと思った。
どういう訳か、「LOUDNESSなら世界でも通用するのではないか?」と言う根拠の無い自信もあった。
『根拠の無い自信』、まさに神の声が聞こえていたのだと思う。
by loudness_ex
| 2008-08-25 11:27
