オーディション2 ”WHEN A MAN LOVES A WOMAN”
『急告!!』
昨日、横浜アリーナサウンドホール(現SUNPHONIX HALL in YOKOHAMA ARENA)から、来る8月2日3日(ワンデーか2デーズかはまだ不明)に二井原ソロのライブやってくれませんか?とオファーが来た。
あんまりライブハウスからオファーが来ることは無いのだけれど、ここの人はいつも熱心に誘ってくれる、ありがたい話です・・・。
で、ぶっちゃげ、別にソロバンドをパーマネントに組んでいるわけでもないので、いかがなもんか?どうしようか?と思ったけれど、先日の神楽坂でのソロライブも盛り上がったし、時間もあるし・・・やっても良いかなぁ~と思った。
まぁー8月の夏の時期に皆でワイワイ歌でも歌って酒でも呑んでやれば最高だもんね!
早速、前々から一度は一緒にステージをやってみたかったジェットフィンガー横関君に電話して「ライブやらない?」とい聞いたら「わぁ~楽しそう!是非やりましょう!」と二つ返事でOKくれた。
ダメもとで、ベースのマー君こと山下昌良先生へ電話して「僕のソロのライブでベース弾いてくれない?」と聞いたら「おぉ、おもろそうやな!遊ぼか!」と二つ返事でOKくれた。
ドラムのファンキーがその為に来日してくれると言ってくれた。
アレヨアレヨと言う間に主要メンバーが決まった。
なので、ライブやろうと思います。
詳しくは後程発表したいと思います。
みなさん一緒に歌いましょう!!騒ぎましょう!!羽目外しましょう!!
********************************************
いよいよオーディションの演奏が始まった。
モントローズのI got the fireのイントロを高崎君が弾き始めた。
この曲は僕にとって初めて演奏したハードロックナンバーで馴染み深い曲だ。
それにしても素晴らしい切れのあるギターの音だ・・。
すべてがクリアーで完璧だった。
アンプはここのスタジオのアンプだったけれど出ている音の力強さはアンプだけの問題ではないのは明白だった。
ギター本体の響きが良いのは勿論のこと、演者の技術がいかに優れているかである。
プロとアマチュアの演奏の違いがこれほどはっきり分かるものなのか!
ヘッドーホーンの中で繰り広げられているレイジー3人のライブ演奏、目をつむっているとまるでライブCDを聴いているような錯覚に陥る。
いよいよ僕の歌い出しである。
ハードロックを歌うのはいつ振りになるのだろうか?
シェイカーを辞めて久しい、うまくハードロックの声が出るだろうか?
歌い出しの直前に体が硬直した、声が出るのだろうかと言う不安の為である。
(あ、アカン!やっぱりアカン・・・)
実はsoul-doo-outの合宿で声が出なくなって以来、思うように高音が出なくなっていたのもあった。
その上、このオーディションの前々日にsoul-doo-outのライブがあったばかりで喉が死んでいたのだ。
(喉の状態が悪い・・・こんな日にオーディションか・・・まぁー仕方が無いこれも自分の実力や・・)
僕はありったけの声を出した。
力が入れば入るほど喉は開かなくなった。
歌の出だしのフレーズで声がよれて、サビのシャウトでは声がひっくり返った・・・。
まさに絶不調であった。
その声を聴いた高崎君の表情がみるみるこわばった。
スタジオの空気が重くなった・・・。
(オーディション、これも長い人生の中の貴重な経験の一つだ)と開き直るしかなかった。
「大丈夫か?調子悪そうやなぁ・・」とひぐっつあんが声を掛けてくれた。
メンバーの表情は分かりやすく沈んだ、そして次の曲へ進んだ。
スコーピオンズの”ANOTHER PIECE OF MEAT”だった。
この曲もシャラと一緒に何度もやった曲だった。
僕の最も得意な曲でもあった。
シェイカーに居た頃なら難なく楽勝で歌えた曲だった。
が、今日は違う・・・まったく別の曲に思えた。
(この曲ってこんなにしんどい曲やったかな?)
ワンコーラス歌うのが限界だった、演奏もワンコーラスで終わった・・。
やはり声が出ない・・・最悪であった。
(もうこれ以上やっても意味が無いのではないか?)
僕は結果を聞くまでも無くこの場から逃げたい心境だった。
最後の曲になった。
レイジーの「ドリーマー」だった。
原曲キーだと明らかに低すぎた、通常ならオクターブ上げて楽に歌える曲ではあった。
(うわっ、今日はアカンわ~、原キーでは歌いにくいけど、今日の調子やとオクターブ上は出ないやろなぁ・・)
「オクターブ上で歌ってもええかな?」僕は一か八か歌うことにした、高音が僕の個性なのだから。
「おぉ~マジかいな!なんでもエエでぇ~好きなように歌い~なぁ~」高崎君が言った。
僕はありったけの声を出した。
実はすでに2曲歌っていたので喉が徐々に温まって多少調子が出てきたのである。
トップのHiEの音には若干届かなかったけれど、それまでの2曲に比べれば随分と二井原らしさが出てきた。
オクターブ上で歌い出したとたん高崎君が驚いたような顔で笑顔になった。
田中君も笑っていた。
とは言うものの僕の絶好調の声からは程遠い出来ではあった。
そして、オーディションのセッションは終了した・・・。
僕はメンバーが落胆しているのが分かった。
特に高崎君の落胆は明らかだった。
(結果は聞くまでも無いなぁ・・・)
僕は急いで帰り支度をして京都へ帰るつもりだった。
「あれやな・・・なんか今日は調子が悪いみたいやね。せっかく来てくれたんやから最後にアカペラでも弾き語りでもエエからなんか歌ってみたら?」ひぐっつあんが最後のチャンスを提案してくれた。
「おぉそれはエエなぁ・・・歌ってみて」と高崎君も言ってくれた。
僕は再びスタジオに入っていった。
他のメンバーはもうスタジオの中には来なかった。
メンバーはコンソールルームから防音窓を隔て僕の様子を見ていた。

僕は何を歌って良いか分からなかった。
ふとピアノが目に入った。

ピアノの前に座って少しコードを弾いてみた。
(これで歌ってみるか・・・)
僕は人前でピアノを弾いたこともなければ、弾き語りをしたことも無かった・・・。
ただコードを弾くぐらいは出来た。
SOUL-DOO-OUTで歌っているバラード”WHEN A MAN LOVES A WOMAN”を歌うことにした。
コードは何となく知ってはいた。
メンバーが見守る中、僕は歌いだした・・。
ピアノを間違えて、つっかかりながらも、なんとか最後まで歌えた。
歌っていて、喉の使い方や歌い方がすっかりR&Bの歌い方になっているのだなと思った。
ハードロックのナンバーは歌っていて辛かったけれど、この曲は全く問題なく歌えた。
喉や声のことを気にせずに、心を込めて歌うことが出来た。
そして、この日の一番のパフォーマンスが出来た。
いや、多分この曲に出会って以来の一番の出来だったかもしれない。
僕は恐る恐るメンバーの方を見た。
メンバーは皆僕を見て笑っていた!
ひぐっつあんは親指を立てて喜んでいた。

ドカドカとメンバーがスタジオの中に入ってきた。
「目茶良かったでぇ~!!やっぱ目茶エエ声やな!やっぱ上手いなぁ~~!」
「こんな凄い声の奴おらんやろ!こいつ以外に誰がおんねん!」
ひぐっつあんが僕の肩を抱きながら笑った。
「もーオーディションは終わりや、こいつで決定や!」
一番寡黙に見えていたひぐっつあんが即決した。
”WHEN A MAN LOVES A WOMAN”が僕の人生を変えた・・・
昨日、横浜アリーナサウンドホール(現SUNPHONIX HALL in YOKOHAMA ARENA)から、来る8月2日3日(ワンデーか2デーズかはまだ不明)に二井原ソロのライブやってくれませんか?とオファーが来た。
あんまりライブハウスからオファーが来ることは無いのだけれど、ここの人はいつも熱心に誘ってくれる、ありがたい話です・・・。
で、ぶっちゃげ、別にソロバンドをパーマネントに組んでいるわけでもないので、いかがなもんか?どうしようか?と思ったけれど、先日の神楽坂でのソロライブも盛り上がったし、時間もあるし・・・やっても良いかなぁ~と思った。
まぁー8月の夏の時期に皆でワイワイ歌でも歌って酒でも呑んでやれば最高だもんね!
早速、前々から一度は一緒にステージをやってみたかったジェットフィンガー横関君に電話して「ライブやらない?」とい聞いたら「わぁ~楽しそう!是非やりましょう!」と二つ返事でOKくれた。
ダメもとで、ベースのマー君こと山下昌良先生へ電話して「僕のソロのライブでベース弾いてくれない?」と聞いたら「おぉ、おもろそうやな!遊ぼか!」と二つ返事でOKくれた。
ドラムのファンキーがその為に来日してくれると言ってくれた。
アレヨアレヨと言う間に主要メンバーが決まった。
なので、ライブやろうと思います。
詳しくは後程発表したいと思います。
みなさん一緒に歌いましょう!!騒ぎましょう!!羽目外しましょう!!
********************************************
いよいよオーディションの演奏が始まった。
モントローズのI got the fireのイントロを高崎君が弾き始めた。
この曲は僕にとって初めて演奏したハードロックナンバーで馴染み深い曲だ。
それにしても素晴らしい切れのあるギターの音だ・・。
すべてがクリアーで完璧だった。
アンプはここのスタジオのアンプだったけれど出ている音の力強さはアンプだけの問題ではないのは明白だった。
ギター本体の響きが良いのは勿論のこと、演者の技術がいかに優れているかである。
プロとアマチュアの演奏の違いがこれほどはっきり分かるものなのか!
ヘッドーホーンの中で繰り広げられているレイジー3人のライブ演奏、目をつむっているとまるでライブCDを聴いているような錯覚に陥る。
いよいよ僕の歌い出しである。
ハードロックを歌うのはいつ振りになるのだろうか?
シェイカーを辞めて久しい、うまくハードロックの声が出るだろうか?
歌い出しの直前に体が硬直した、声が出るのだろうかと言う不安の為である。
(あ、アカン!やっぱりアカン・・・)
実はsoul-doo-outの合宿で声が出なくなって以来、思うように高音が出なくなっていたのもあった。
その上、このオーディションの前々日にsoul-doo-outのライブがあったばかりで喉が死んでいたのだ。
(喉の状態が悪い・・・こんな日にオーディションか・・・まぁー仕方が無いこれも自分の実力や・・)
僕はありったけの声を出した。
力が入れば入るほど喉は開かなくなった。
歌の出だしのフレーズで声がよれて、サビのシャウトでは声がひっくり返った・・・。
まさに絶不調であった。
その声を聴いた高崎君の表情がみるみるこわばった。
スタジオの空気が重くなった・・・。
(オーディション、これも長い人生の中の貴重な経験の一つだ)と開き直るしかなかった。
「大丈夫か?調子悪そうやなぁ・・」とひぐっつあんが声を掛けてくれた。
メンバーの表情は分かりやすく沈んだ、そして次の曲へ進んだ。
スコーピオンズの”ANOTHER PIECE OF MEAT”だった。
この曲もシャラと一緒に何度もやった曲だった。
僕の最も得意な曲でもあった。
シェイカーに居た頃なら難なく楽勝で歌えた曲だった。
が、今日は違う・・・まったく別の曲に思えた。
(この曲ってこんなにしんどい曲やったかな?)
ワンコーラス歌うのが限界だった、演奏もワンコーラスで終わった・・。
やはり声が出ない・・・最悪であった。
(もうこれ以上やっても意味が無いのではないか?)
僕は結果を聞くまでも無くこの場から逃げたい心境だった。
最後の曲になった。
レイジーの「ドリーマー」だった。
原曲キーだと明らかに低すぎた、通常ならオクターブ上げて楽に歌える曲ではあった。
(うわっ、今日はアカンわ~、原キーでは歌いにくいけど、今日の調子やとオクターブ上は出ないやろなぁ・・)
「オクターブ上で歌ってもええかな?」僕は一か八か歌うことにした、高音が僕の個性なのだから。
「おぉ~マジかいな!なんでもエエでぇ~好きなように歌い~なぁ~」高崎君が言った。
僕はありったけの声を出した。
実はすでに2曲歌っていたので喉が徐々に温まって多少調子が出てきたのである。
トップのHiEの音には若干届かなかったけれど、それまでの2曲に比べれば随分と二井原らしさが出てきた。
オクターブ上で歌い出したとたん高崎君が驚いたような顔で笑顔になった。
田中君も笑っていた。
とは言うものの僕の絶好調の声からは程遠い出来ではあった。
そして、オーディションのセッションは終了した・・・。
僕はメンバーが落胆しているのが分かった。
特に高崎君の落胆は明らかだった。
(結果は聞くまでも無いなぁ・・・)
僕は急いで帰り支度をして京都へ帰るつもりだった。
「あれやな・・・なんか今日は調子が悪いみたいやね。せっかく来てくれたんやから最後にアカペラでも弾き語りでもエエからなんか歌ってみたら?」ひぐっつあんが最後のチャンスを提案してくれた。
「おぉそれはエエなぁ・・・歌ってみて」と高崎君も言ってくれた。
僕は再びスタジオに入っていった。
他のメンバーはもうスタジオの中には来なかった。
メンバーはコンソールルームから防音窓を隔て僕の様子を見ていた。

僕は何を歌って良いか分からなかった。
ふとピアノが目に入った。

ピアノの前に座って少しコードを弾いてみた。
(これで歌ってみるか・・・)
僕は人前でピアノを弾いたこともなければ、弾き語りをしたことも無かった・・・。
ただコードを弾くぐらいは出来た。
SOUL-DOO-OUTで歌っているバラード”WHEN A MAN LOVES A WOMAN”を歌うことにした。
コードは何となく知ってはいた。
メンバーが見守る中、僕は歌いだした・・。
ピアノを間違えて、つっかかりながらも、なんとか最後まで歌えた。
歌っていて、喉の使い方や歌い方がすっかりR&Bの歌い方になっているのだなと思った。
ハードロックのナンバーは歌っていて辛かったけれど、この曲は全く問題なく歌えた。
喉や声のことを気にせずに、心を込めて歌うことが出来た。
そして、この日の一番のパフォーマンスが出来た。
いや、多分この曲に出会って以来の一番の出来だったかもしれない。
僕は恐る恐るメンバーの方を見た。
メンバーは皆僕を見て笑っていた!
ひぐっつあんは親指を立てて喜んでいた。

ドカドカとメンバーがスタジオの中に入ってきた。
「目茶良かったでぇ~!!やっぱ目茶エエ声やな!やっぱ上手いなぁ~~!」
「こんな凄い声の奴おらんやろ!こいつ以外に誰がおんねん!」
ひぐっつあんが僕の肩を抱きながら笑った。
「もーオーディションは終わりや、こいつで決定や!」
一番寡黙に見えていたひぐっつあんが即決した。
”WHEN A MAN LOVES A WOMAN”が僕の人生を変えた・・・
by loudness_ex
| 2008-06-03 16:24
