この「歴史物」を書きながら、人は自分の歩んできたことを意外と思い出したりしないものだなと思った。
昔のことを思い巡らすと言う行為、実は素晴らしいセラピー効果があるのではないかと思う。
あらためて冷静に昔のことを考えると、何故あの時あんなことを考えたのかが良く分かる。
勿論、昔より今の方が年齢も重ね、人生経験もあるのだから当然のことなのだが、逆にこれから未来へ向かってどう生きていくべきかと言うことが冷静に考えられる。
メールでこの「歴史物」の激励や感想を頂いています。
すべて目を通しています、ありがとう!
どなたかがメッセージしているように、「映像化」は面白いかも。
僕の「歴史物」がそのままでなくとも、70年代、80年代の日本のロックがガンガン流れる夢のある青春ロックサクセスストーリーの内容に仕上げてね・・・
誰か出資しなさい!(笑)
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アースシェイカーの脱退はまさに僕にとっては「挫折」と言う経験だったと思う。
そして「挫折」は僕に課された次へ羽ばたく為の「試練」だったのかもしれない。
さて、アースシェイカーを脱退したものの「ベースとヴォーカルどーすんねん?」と言うシャラの言葉が頭に残っていた。
何とか僕の代わりになれる人はいないものかと考えた。
しかしながら、さしあたってベースを弾きながらハードロックを歌える人は思い浮かばなかった。
ヴォーカリストではマーシー以上の人材は無いと思っていたし、ベースも甲斐君が理想的だと思っていた。
とは言うものの、マンティスというバンドがある以上それは不可能やろうなとも思っていた。
と、この文を書きながらふと思い出したのだけど、いや、僕の記憶違いかもしれないけれど・・・
実はマーシーと一緒に京都太秦の工場でバイトをしていた頃に、一度マーシーにアースシェイカーで歌ってくれないかと相談したことがあったかもしれない・・・いや、してないかなぁ・・・ん~・・・。
当時、マーシーと甲斐君は京都の三条河原町にあったロックバーで働いていたのだけど、そのバーで呑みながらマーシーにアースシェイカーで歌ってくれないかと相談したような気もするのだが・・・いや・・記憶違いかな?
その事実をマーシーに聞こうと思ってさっきからマーシーに電話しているのだけど、つかまらないんよ~~~~マーシーが!!電話に出んかいコリャ~マーシー!!(笑)
脱退からどれほどの日がたったのだろうか?
風の噂で「マーシーと甲斐君がシェイカーに加入した」と聞いた。
心の中にあった重たいものが消えた・・・
(良かった・・・)
すぐにシャラに電話したかったけれど出来なかった。
そして、程なく京都で新生アースシェイカーのライブがあると知った。
僕の下宿しているアパートからさほど遠くないライブハウスだった。
僕は行くべきかどうか迷ったけれど、これは見ておくべきだと思ってライブハウスへ出かけた。
ライブハウスに着くと懐かしい工藤のドラムセットが目に入った。
当然、シャラのマーシャルもステージに並んでいた。
甲斐君のベースアンプがあって、中央に鮮やかにデコレーションされたマーシーのヴォーカル用のマイクスタンドが立っていた。
僕のいたアースシェイカーはもうそこには無いのだと実感した・・・。
そして、新生アースシェイカーのメンバーのまだ登場していないステージを見ながら、ここにたどり着くまでにシャラにどんな大変な思いをさせてしまったのかと思うとすまない気持ちで一杯になった。
ステージが暗転になった。
メンバーが登場した。
シャラの表情が一段と逞しく見えた。
工藤も一段と大きく見えた。
数曲は聞き覚えのある僕がいた頃のリフを使った曲だったけれど、ヴォーカルアレンジや歌詞が全て生まれ変わっていた。
マーシーの魅力満載の楽曲に変貌していたのだ。
どの曲もメロディーがよく練られてキャッチーで覚えやすくて、美しかった。
アースシェイカーが目指す方向性ははっきりと明快だった。
4人のパフォーマンスは始終堂々としていて貫禄もあった。
演奏がタイトで音が塊になって弾けていた。
新生アースシェイカーは僕の想像を遥かに超えるほどの素晴らしさだった。
(一緒になるべき人達が一緒になったなぁ・・・良かった・・)
「アースシェイカーが生まれ変わりました!!
これからこのメンバーでガンガン突っ走っていきます!よろしく!!」
マーシーがMCで堂々と高らかに新生アースシェイカーを宣言した。
僕は安堵と感動でステージが何度も滲んで見えなくなった・・・。