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マクベス
昨夜は新国立劇場でヴェルディの「マクベス」を観ました。
もちろんシェークスピアのかの名作が原作となっているオペラです。
マクベス夫人役のイアーノ・タマーが健康上の理由で下りてしまい、ゲオルギーナ・ルカーチと交替。この公演最大のビッグネームの、タイトルロール・マクベス役のカルロス・アルヴァレスも初日(1月17日)はキャンセルしてしまいましたが、2日目の公演にあたる20日は元気に登場しました。そんなことがあったせいかどうか、1階席の後方には空席も目立ちました。
さて、アルヴァレスですが、さすがに世界トップクラスのバリトンだけあって、3日前にキャンセルをしたのは信じられないような出来。上の音に強いバリトンですが、いかにもいい声!という独特の声帯の鳴り方をしているので、非常に耳に心地良い。4幕のアリア「哀れみも誉れも愛も」では、悲しみの感情表現も上手かった。
マクベス夫人役のルカ-チは最初から最後まで凄い迫力でしたが、ただいくらなんでも怒鳴りすぎでしょうか。そういう役だというのは良く分かりますが。上の声の下の声も同じ幅で安定性はありますが、フレージングがやや短いのも気になります。
さて、前の晩一緒に食事をしたマクダフの水口聡です。悪くはありませんでしたが、4幕のアリアのカデンツァで音程が狂ってしまい少々残念でした。彼は本来音程はとてもいいのですが、アリアを歌った場所がつり橋の上のようなところなので、オケが遠くて聞こえにくかったのかも知れません。
指揮は若手のリッカルド・フリッツァ。新進気鋭の指揮者らしく、かなりテンポの揺らし、強弱のメリハリも付け、やる気の感じられる指揮ぶりでした。しかし、オケと合唱がずれてしまう箇所が何箇所かあり、彼の責任だけではないでしょうが、やや残念。4幕フィナーレでは、後ろを振り返って、客席の方をギッとにらんだのでどうしたのかな?と思いましたが、そのあたりは合唱がややずれていたので、モニターに向かって注文を付けたのでしょうか。
# by hikari-kozuki | 2005-01-21 19:51 | Comments(0)
初めまして。
昨日、ウィーン在住のテノール歌手水口聡氏とイヴェントの打ち合わせをして、その後、一緒に飲みました。現在、新国立劇場で公演中のオペラ「マクベス」のマクダフ役で来日していますが、彼は大学の2年先輩ですので、もう20年以上の付き合いということになります。学生時代は明るめの声で良く鳴るバリトンでしたが、今は貴重なスピント系のテノールです。オーストリア、ドイツを中心に世界中で活躍していますが、頑張って欲しいものです。

その時に、彼から音名の「ドレミ」の意味って分かる?と聞かれました。イタリア語で、かつラテン語であることは知っていますが、意味は分からないですね、と答えると、すべて聖書から来ていて、意味があるとのことなのです。彼も知らないのですが...。これを正確に説明できる人は世界に1人しかいなく、その人はウィーン国立音楽大学の教授だったのですが、死んでしまったそうです。ド(Do)は、ラテン語のDomine(主よ、の意味)かなあ?とか話し合って盛り上がりました。

ところで日本でも一般的に使われている音名のドレミファソレシドがイタリア語(もしくはラテン語)ということはみなさんご存知でしょうか?Do・Re・Mi・Fa・Sol・La・Si・Doとなりますので、ソの音は正確には、ソルとなります。
英語ではCDEFGABCとなり、日本語ではハニホヘトイロハととなります。
しかし、我々クラシックの世界では、ドイツ語が主流となります。ドイツ語の場合、ツェー・デー・エー・エフ・ゲー・アー、ハー、ツェーとなりますが、ドイツ語を全く知らない人でもどこかで聞いたことがありませんか?芸能人とか音楽業界の人が、ツェー・デー・エーを数字の1、2、3に置き換えて、好んで使っています。例えば1万円のことはツェーマン、5千円のことはゲーセンとなるのです。最近ではもう死語なのかも知れませんけど。

さて、音名の世界共通語がなぜドイツ語なのでしょうか?
みなさんが小学校の音楽の授業で習ったハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ブラームス、ワグナー等、中世以降音楽の世界の大作曲家にドイツ人(もしくはドイツ語圏)が多かったこともあるでしょう。そして歴史的にみてヨーロッパの君臨したハプスブルグ家の影響もあるでしょう。

しかし、1番大きな理由は、半音の変化が簡単で使いやすいからです。
英語、イタリア語などは変化の言葉を後に付けますが、ドイツ語は言葉自体が変化します。

たとえば、ドのシャープ(♯・半音上がる記号)の場合、英語ではシー・シャープ(C-sharp)、イタリア語ではド・ディエジス(Do-diesis)と長いのに対して、ドイツ語はツィス(Cis)と非常に簡単です。
レのフラット(♭・半音下がる記号)の場合、英語ではディー・フラット(D-flat)、イタリア語ではレ・ベモッレ(Re-bemolle)ですが、ドイツ語はDes(デス)だけです。

ちなみにド・シャープ、レ・フラットなど日本では当たり前に使われていますが、本来は、イタリア語と英語のチャンポンなので、言語的には間違っています。

最後に日本語の場合、言葉の前に変化記号を付け、ド・シャープは嬰ハ、レ・フラットは変ニとなり、結構短くて便利ですが、クラシック全盛の頃鎖国をしていた日本が世界のスタンダードになれるはずがありません。

なんだか話が楽典の講義みたいになってしまって失礼いたしました。
# by hikari-kozuki | 2005-01-20 17:50 | Comments(9)






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