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2月3日(水)東京文化会館小ホール「高野二郎テノールリサイタル」
このブログでも何度か触れてきましたが、高野二郎は甘い美声と確かなテクニックを兼ね備えた素晴らしいテノールです。先日、久々に彼のリサイタルを聞きに行きました。芸大在学中は毎日ドイツリートばかり歌っていたそうですが、今はミュージカルやポップスなど幅広く活躍しています。二期会のオペラ歌手4人によるボーカル・ユニット、「ザ・ジェイド」でもCDを発売したり、TVに出演したりしています。

「ザ・ジェイド」は、テノール2人、バリトン2人によるグループですが、高野二郎の他は、テノールの樋口達哉、バリトンの黒田博と成田博之という豪華なメンバーです。おそらく「イル・ディーヴォ」の線を狙ったものと思われますが、いずれも二期会のオペラ公演には欠かせない主役級の歌手ばかりなので、最初は驚きました。クラシカル・クロスオーバーというクラシックとポピュラーの垣根を外して活動する姿勢にはかなり期待しています。しかし、日本の歌を中心にマイクを使って歌うというのは、どうなのでしょうか。ミュージカルの世界でかなり活躍してきた高野二郎を除いた3人は、マイクを使って歌った経験はほとんど無いと思われ、樋口達哉はまだギリギリ許せる線ですが、バリトンの2人は全然ダメでした。今のやり方では彼らの良さはほとんど発揮することが出来ないでしょう。4人ともせっかく素晴らしい生の声を持っているのですから、マイクを使うのは絶対に止めた方が良いとおもいます。最近はだいぶ慣れてきたという噂も聞いていますがさてどうでしょうか。

話がすっかり横に外れてしまいましたが、高野二郎に戻しましょう。最初に断言しますが、彼は素晴らしい素質を持ち、ノーブルで、努力家でもありますので、本来であれば、世界に出て行っても充分に通用する歌手だと思っています。前述の通り、彼はマイクを使っても素晴らしい歌を歌うのですが、その器用さが大成を妨げているような気がするのです。

この日のプログラムは、前半がドイツ歌曲を中心にしたもの、そして後半はミュージカルを中心にしたものでした。マイクは使わなかったですし、どの曲も完成度が高く、素晴らしいリサイタルだったと思います。しかし、血沸き肉踊るような感動が伝わってこないのです。専門的な話をすると鼻腔に共鳴させすぎている感じがするのです。簡単に言うと鼻に抜きすぎているという状況です。これをやりすぎると、どうも軽く歌っているという感じになってしまい、声も遠くまで飛びません。マイクを使うミュージカルの世界では良いのかも知れませんが、オペラ歌手としては決してやりすぎてはいけないのです。ご本人がこのクラシカル・クロスオーバーの世界で生きていくのであれば私が苦言を呈することなど何もありませんが、せっかく人並みはずれた素晴らしい素質とポテンシャルを持っているのですから、ぜひオペラ歌手として頑張ってほしいと切望しています。

また、彼はフルートの名手でもあって、「魔笛」の1幕フィナーレで歌われるタミーノの「ああ、なんと強力な魔法の音が」では、フルートを吹きながらアリアを歌うというパフォーマンスを見せてくれました。こんなことが出来るのは世界でもきっと何人しかいないでしょう。
by hikari-kozuki | 2010-02-18 14:42 | Concert | Comments(0)
1月31日(日)モーツァルテウム「室内楽コンサート」
今回のザルツブルクは、土曜日の夕方に到着し、日曜日の夕方にはウィーンへ向かったので、丸1日約24時間しか滞在出来ませんでしたが、非常に内容の濃い充実したものでした。土曜日の夜のウィーンフィルに続き、日曜日は大聖堂のミサに参列、その後、今回の目的である大聖堂のカペルマイスター(音楽監督)、ヤーノス・ツィフラ氏との打ち合わせをしました。ちなみにこの打合せは今夏、ザルツブルク音楽祭90周年記念のモーツァルトの「レクイエム」の件でした。このコンサートは、7月30日(金)に大聖堂でモーツァルトの「レクイエム」を演奏するするものです。宣伝になってしまいますが、辻秀幸先生、大門康彦先生がそれぞれテノール、バスのソロを歌い、マエストロ・ツィフラが指揮をし、さらに合唱のメンバーは日本から連れて行くという特別なものです。限定90名様にてメンバーを募集中ですので、ご興味のある方はぜひ弊社HPをご覧下さい。

http://www.lattesa.co.jp/performance-tour.php?id=45

さて、話は戻りますが、マエストロとの打ち合わせの後、さらにフライトまで少し時間があったので、15時開演の室内楽コンサートへ行きました。場所はモーツァルテウムのヴィーナー・ザール。ゾンダーコンツェルトとなっていましたので、モーツァルト生誕週間の特別枠のコンサートだったのでしょう。

曲目は、2曲。モーツァルトのピアノ協奏曲K.107-1。この曲は15歳の頃の作品で、ヨハン・クリスティアン・バッハのピアノソナタ作品5-2を編曲したものです。

そしてモーツァルトの研究家として有名なピアニストのロバート・レヴィンによる「ナンネルの楽譜帳」に載っている2つのモーツァルトの未知のピアノ曲についての研究発表がありました。

それから後半は、モーツァルトのピアノ協奏曲変ホ長調第14番「第1プロイヤー」K.449のピアノと弦楽四重奏版でした。

演奏者ですが、ピアノ(ハンマーフリューゲル)が前述のロバート・レヴィン、ヴァイオリンが、ヴェルナー・ノイゲバウアーと手塚有希子、ヴィオラがフィルミアン・レルマー、コントラバスがヘルヴィヒ・ノイゲバウアーというメンバー。室内楽は私の専門分野ではありませんが、非常にレヴェルの高いアンサンブルでした。
by hikari-kozuki | 2010-02-09 13:47 | Concert | Comments(0)
1月30日(土)ザルツブルク祝祭大劇場「ウィーンフィル演奏会」
先週の水曜日までザルツブルクに行っていました。ちょうどこの時期はモーツァルト生誕週間でした。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトがザルツブルクのゲトライデガッセで生まれたのは、今から254年前の1756年1月27日。毎年のこの27日を挟んだ1週間から10日間くらいの期間で開催されるのがこの生誕週間です。夏の音楽祭は、夏の音楽祭事務局が開催しますが、生誕週間の方は国際モーツァルテウム財団が主催となり、モーツァルト作品だけでなく、現代音楽も積極的に上演します。もちろんこの時期のザルツブルクはとても寒いですが、空気が透き通ってとても美しい雪景色の町となっています。特に今年は世界的な厳冬なので、ザルツブルクも当然寒いです。

さて当夜のプログラムは、前半がクルターグの「絶望と悲しみの歌 器楽付き混声合唱のための6つの合唱曲 作品18」。後半がモーツァルトの「レクイエム K.626」というものでした。

ジェルジュ・クルターグは、ルーマニア生まれのハンガリー人作曲家で、ウェーベルンの後継者とも呼ばれる巨匠です。1926年生まれですので、もう84歳になりますが、まだまだ矍鑠としており、カーテンコールではマエストロに呼ばれ、客席から元気に壇上に上がって挨拶をしていました。この曲のオーケストラの編成は非常に特殊で、6名の弦楽器の後ろに4名のアコーディオン奏者が並び、管楽器、チェレスタ、オルガン、ピアノに、珍しいパーカッションがたくさん、という編成でした。混声4部合唱は、すべてロシア語のテキストで、リズムも音程も非常に難しそうでしたが、途中音叉を使って音程を確認している団員が大勢いました。

モーツァルトの「レクイエム」の方は説明が要らないと思いますが、ラクリモーザ以降、ジュスマイヤーが補筆をした非常に一般的な版での演奏でした。

さて遅くなりましたが、指揮はヤニック・ネゼ=セガン。1975年モントリオール生まれの若きカナダ人指揮者ですが、非常に小柄で華奢な体を一杯に使った実にエネルギッシュなタクトさばきです。昨今の活躍は目覚しいものがあって、今年の夏のザルツブルク音楽祭では、「ドン・ジョヴァンニ」と「ロメオとジュリエット」というもっとも注目されている2演目のオケピットに入ることになっています。

「レクイエム」のソリストは、ドイツ系の実力派スター歌手がずらりと並び、ソプラノはドロテア・レシュマン、アルトはビルギット・レンメルト、テノールのミヒャエル・シャーデ、バスのフランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒというメンバーで、もちろん素晴らしい出来でした。また、合唱は2曲ともウィーン国立歌劇場ではなく、ベルリン放送合唱団。この夜の主役はまさに彼らで、万雷の拍手を浴びていた。

ところでこの日の演奏会は19時30分開演でしたが、私が日本を経ってウィーン経由のオーストリア航空でザルツブルク空港に到着したのが17時55分。いったんホテルへ入りスーツケースを置いて祝祭大劇場に飛び込みましたので、さすがに少々疲れ気味でしたが、素晴らしい演奏会でまったく眠くはなりませんでした。
by hikari-kozuki | 2010-02-08 17:39 | Concert | Comments(0)






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