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ヴェローナオペラフェスティヴァル2009
ザルツブルクのあとは、インスブルック経由でブレンナー峠を越えて、ヴェローナへ入りました。目的はもちろん世界一の大きな野外の空間で行われるヴェローナ・オペラ・フェスティヴァルです。今年は3泊して3本のオペラを見ました。演目は、「トスカ」「カルメン」「アイーダ」という超メジャーな作品ばかりで、どれもヴェローナの舞台に良く合うグランド・オペラです。
まず「トスカ」ですが、舞台上に巨大なブロンズ像の顔と手が舞台に置いて」あり、その手には刀が握られていむ。演出はフーゴ・デ・アナの再演Ver.です。確かDVDにもなっているはずです。最後にトスカがサンタンジェロ城の上から身を投げるシーンでは、トスカが祈りを捧げるように手を上に挙げて幕、というのはちょっと迫力不足の感が否めません。キャストは指揮が、イタリア人中堅指揮者のピエール・ジョルジョ・モランディ、トスカに若き美貌のウクライナ人ソプラノのオクサナ・ダイカ、カヴァラドッシにビッグネームのマルチェロ・ジョルダーニ、スカルピアにヴェテランのバス、ルッジェロ・ライモンディというもので、全員健闘していたと思います。

「カルメン」は数年前に巨匠フランコ・ゼッフィレッリが作り上げた美しくもリアリティー溢れる名舞台。指揮はブルガリア人指揮者のジュリアン・コヴァチェフ、タイトルロールに今、世界でもっとも注目を浴びているメッツォ・ソプラノの1人ハンガリア人のイルディコ・コムロージ。ミカエラにチンツィア・フォルテ、ホセにマルコ・ベルティというイタリアでも人気の高い2人。そしてヴェローナではすっかりお馴染みのクロアチア人バス、ジョルジョ・スーリアンというメンバー。手堅く良くまとまっていました。

「アイーダ」は、地元出身ジャンフランコ・デ・ボジオの壮麗な舞台。このアイーダの舞台は聴衆にとっても満足度が高いと思われます。キャストは、ネッロ・サンティの後を引き継ぎ、ずっと「アイーダ」を振り続けているヴェローナのエース指揮者、ダニエル・オーレン。相変わらず本人が唸る声や飛び跳ねる音がうるさいですが、あの大人数をまとめ上げる力はさすがに大したものです。キャストはタイトルロールにアマリッリ・ニッツァとアムネリスにマリアンネ・コルネッティという2人でしたが、2人とも素晴らしい声を持っています。ただし残念だったのが、ラダメスのテノール、ピエロ・ジュリアッチ。相変わらず声はないし、まったく良くなかったのですが、毎年出続けているのはなぜでしょうか?やはりスピント系の良いテノールというのは、イタリアにも数少ないのでしょう。また、アモナズロのアンブロージョ・マエストリも相変わらず素晴らしいヴェルディ・バリトンでした。
by hikari-kozuki | 2009-11-24 18:33 | Opera | Comments(2)
ザルツブルク音楽祭2009 第5回
ザルツブルク音楽祭の最終回は、ロッシーニの「モーゼとファラオ」を。
このオペラ、原題を、「Moïse et Pharaon ou La passage de la Mer Rouge」と言い、正確には「モイーズとファラオン、または紅海の横断」と言うフランス語のオペラです。もともと1818年にナポリのサン・カルロ劇場で初演された「エジプトのモーゼ」という作品を1827年にイタリア語からフランス語へ、3幕を4幕へ、そしてストーリーや音楽も改編したのがこのオペラです。タイトルが長すぎるのと、イタリア語で言う方が一般的なので、ここでは「モーゼとファラオ」ということにしておきます。

話は言うまでもなく、映画「十戒」でも有名なモーゼの話で、旧約聖書のハイライトとも呼ぶべき「出エジプト記」のイスラエル人たちをエジプトから救出するために紅海を2つに割って道を作るという奇跡がオペラのラストシーンになります。

指揮はリッカルド・ムーティ。昨年の音楽祭では「オテロ」「魔笛」と大活躍でしたが、今年のオペラはこの作品1つだけでした。2003年12月にスカラ座のシーズン・オープニングに選んだのがこの作品。スカラ座が3年間の改修工事中だったので、アルチンボルディ劇場で上演され、絶賛を博しました。この時のキャストが、タイトルロールのイルダール・アブドラザコフに始まり、アーヴィン・シュロット、ジュゼッペ・フィリアノーティ、ソニア・ガナッシ、バルバラ・フリットリ他という豪華なものでした。DVDとして発売されているので、見た方も多いことでしょう。

今回のキャストは、その時と主役のアブドラザコフだけが同じで、あとはまったく違いました。今回のキャスティングは、2003年スカラ座の裏キャストに出ていた若手が中心で、ネームヴァリューという点では、スカラ座よりかなり劣る地味なキャストだったのですが、実際には素晴らしい公演となりました。
ファラオにシチリア島出身の新星、バリトンのニコラ・アライモ。エリエゼルにアルゼンチン人テノールのファン・フランシスコ・ガテル。アメノフィスにアメリカ人の若いテノール、エリック・カトラー。シナイードに美しきグルジア人メッツォ・ソプラノのニーノ。スルグラーゼ、アナイに超新星のロッシーニ・ソプラノとして注目されているラトヴィア人のマリーナ・レベカというキャストでした。ほとんどが若手でしたが、ロッシーニ歌手として赤丸急上昇中の歌手ばかりなので、歌手のレヴェルは非常に高かった印象です。
また、このオペラでは合唱が重要な果たしますが、ウィーン国立歌劇場の合唱団、そしてもちろんウィーンフィルの演奏も素晴らしいものでした。

このオペラ、音楽は素晴らしいのですが、何と言ってもラストシーンで紅海を2つに割るという凄いシーンがあるので、オペラハウスでの上演は非常に難しいため、上演回数が非常に少ないのです。
実際に2003年のスカラ座・オープニングのルカ・ロンコーニの舞台も決して成功したとは言えず、今回のユルゲン・フリムの演出には非常に期待していました。フリムは2006年からザルツブルク音楽祭の総監督に就任していますが、それ以来、自分は演出をしなくなっていたので、これが最初の作品となりました。また、2010年シーズンからはバレンボイムの依頼を受け、ベルリン国立歌劇場の芸術監督に就任することが決まっているので、彼の集大成のような作品になると思っていたのです。

しかし、実際には期待は激しく裏切られたというしかありません。
まず舞台は高い半円形のパネルを組み合わせた壁に囲まれ、他にはほとんど何もありません。そして、すべての幕はこの中で進行していきます。時々その壁に旧約聖書の一節と思われる文章がドイツ語で投影されるだけで、あとは何もないのです。クライマックスの紅海を割るシーンでは、パネルが少し開いてそこから逃げるだけ。しかも追ってくるエジプト軍の兵士もその同じパネルの隙間から入ってくるというもので、意味がまったく分かりません。初日はフリムに対して激しいブーイングが浴びせられたらしいですが、当然でしょう。時代の読み替えや超現代的な舞台や過激な演出に浴びせられるブーイングならまだしも、フリムの演出は何もしなかった、と言われても仕方のないような舞台でした。
by hikari-kozuki | 2009-11-04 14:43 | Opera | Comments(0)
ザルツブルク音楽祭2009 第4回
今日は祝祭大劇場で行われた8月17日のアンナ・ネトレプコのリサイタルを。
この演奏会は、リサイタルではなく、リーダー・アーベント(歌曲の夕べ)のシリーズで行われたものですので、オペラのアリアなどは1曲もなく、20曲すべてが歌曲。しかも、彼女の母国ロシアの偉大な作曲家リムスキー=コルサホフとチャイコフスキーのロシア語の歌曲だけという珍しいものでした。私が不勉強なため、知っている曲は数曲しかなく、しかも言葉の意味がほとんど分からないという状況の中でしたが、ネトレプコの表現力、歌唱力は素晴らしく、ステージに引き込まれ、あっという間に終わってしまいました。

「スパシーバ」(ありがとう)くらいしかしらない私がロシア語を語るのはおこがましいですが、印象的には暗くて深くてしかも曖昧、という感じです。しかし、そんなロシア語はネトレプコの声にピッタリだと思うのです。もちろん母国語ですのでネイティヴに聞こえるのは当たり前ですが、やはり彼女の声はイタリア語よりもロシア語の方がフィットするようです。

ところでザルツブルクから帰国後の9月末にMETライブビューイングでネトレプコの「ランメルモールのルチア」を見ました。これの収録は今年の2月だったので、ザルツブルクの方が半年後になりますが、この時の彼女の印象は、妊娠前よりはだいぶふっくらした感じで、特に顔が丸くなった感じでした。また、声も去年、一昨年の全盛時に比べると劣っている感じはどうしても否めませんでした。以前のようにコントロールが利かないようで、力任せで声を太く当てすぎている感じでした。また、前述のようにイタリア語の不明瞭さも気になりました。1幕のアリア(正確にはカヴァティーナで、”あたりは暗闇に閉ざされ”)あたりは、あれあれ、大丈夫かな?という感じでしたが、徐々に良くなっては行ったと思います。このルチアという役、ベルカント・ソプラノの中でもコロラトゥーラがやることが多いですが、ドラマティックに歌う必要があるところも多く、やはり難役なのです。Cの上のDやEsはさすがにバッチリ出していましたが、Cのちょっと下のBやHあたりで、声を伸ばしている途中、ちょっとひっかかるような、ごく短く途切れてしまうところが何箇所かあったのです。

しかし、ザルツブルクでは全然そんな現象はまったくありませんでしたので、もうすっかり出産前の状態に戻っているのでしょう。それにしても相変わらずザルツブルクのお客さんたちはネトレプコが大好きのようで、今回のチケットもかなり取りづらく、「フィガロの結婚」「椿姫」ほどではありませんでしたが、プレミアチケットとして高額で販売されていたようです。もちろん終わった後は、スタンディングオベーションの大喝采です。

そうそう、大事なことを忘れていました。
この日の伴奏は、ダニエル・バレンボイム。最近はもうすっかり指揮者としてカリスマになってしまいましたが、やはり彼のピアノは素晴らしい!もちろんピアノ曲のソロも良いのですが、このようなリートの伴奏でも、ネトレプコの歌の伴奏を邪魔することなく、しかもメリハリの効いた演奏で、よりいっそうネトレプコを引き立てるかのようです。表現力、タッチの正確さはやはり世界最高峰の技術で、やはり私は指揮よりもピアノの方が好きです。
by hikari-kozuki | 2009-11-02 12:25 | Concert | Comments(3)






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