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フィレンツェ・テアトロ・コムナーレ5月2日(土)「ランラン・ピアノリサイタル」
次はオペラではなく、ランランのピアノリサイタルを。

この時期、フィレンツェでは5月音楽祭の真っ最中。今年で72回目を迎えるという歴史を持っていますが、今年はなぜかスケジュールがギリギリまで発表されず、オペラを見ることは出来ませんでした。その代わりに見ることができたのが、このランランのピアノ・リサイタルです。ランランと言えば、日本でもすっかりお馴染みで、今年の1月にも来日しました。その時に、サントリーホールで土曜日、日曜日に連続してコンサートをする予定だったのですが、中国政府からどうしても日曜日までに帰って来るように言われたそうです。中国政府から早く帰って来いと言われるのも凄いですが、日曜日のプログラムを土曜日のマチネに持ってきて、土曜日にマチネとソワレとまったく異なったプログラムで連荘で演奏会を行うのにも驚きました。私はそのソワレの方を見に行きましたが、まったく疲れなど見せず、ダイナミックでスケールの大きな演奏を聞かせてくれました。

今回フィレンツェで弾いたプログラムは、そのサントリーホールのマチネで弾いた方とまったく同じもの。前半はシューベルトのピアノソナタ第20番、後半はバルトークのピアノソナタ(Sz.80)、ドビュッシーの前奏曲集から抜粋、最後にショパンの英雄ポロネーズというものでした。

今年の1月に日本で聞いた時のリサイタルと比較すると絶好調という感じではなかったかも知れませんが、随所にランランらしい解釈や素晴らしい音楽性とテクニックを披露し、フィレンツェの聴衆にも熱狂的に受け入れられている感じでした。
by hikari-kozuki | 2009-05-19 15:29 | Concert | Comments(0)
ミラノ・スカラ座4月30日「ランスへの旅」<後編>
当日のキャストはもちろん名だたるロッシーニ歌手ばかり。
まずソプラノは、主役クラスのコロラトゥーラ・ソプラノが3人も必要になりますが、即興詩人のコリンナにパトリツィア・チオーフィ、若い未亡人のフォルヴィルにアニック・マッシス、舞台となる金の百合亭の女将コルテーゼ夫人にカルメラ・レミージョ。特にコリンナ役のチオーフィの充実振りには目を見張りました。広い広いスカラ座の舞台のかなり後ろで高いところから歌う時間が長く、しかもそこからppを会場中に響かせないとならないという難易度の高さでしたが、見事に応え、テクニックと演技力と美声と美貌を兼ね備えているプリマドンナぶりでした。このコリンナ役は、今でも世界最高のベルカント歌手と言われるジュディッタ・パスタが初演を歌ったという伝説の役なので、そのプレッシャーは計り知れないものがあるでしょう。マッシスとレミージョもチオーフィに引けを取らない見事なテクニックと演技力を披露してくれました。

また重要なメッツォ・ソプラノ役で、メリベーア侯爵夫人は、世界最高のロッシーニ・メッツォと言われるダニエラ・バルチェッローナ。ここ4、5年あまり良いステージを見ることがなかったので、人気先行の感がぬぐえず、私にとってはあまり評価の高い歌手ではありませんでしたが、当夜は完全復活と言っても良いような朗々とした美声を響かせ、アジリタのテクニックも完璧でした。

男声陣も芸達者でテクニックを持った歌手が目白押しでした。イギリスの軍人シドニー役、バリトンののアラステア・ミルズ、骨董品マニアのドン・プロフィンド役、バスのニコラ・ウリヴィエーリ、ドイツの軍人、トロムボノクの男爵役、バスのブルーの・プラティコ、スペインの提督ドン・アルヴァーロ役のファビオ・カピタブッチ、他の歌手たちも、アンサンブルもソロも何をやらせても上手い歌手ばかり。

その中でも私が驚いたのは、ロシアの将軍リーベンスコフの伯爵役のディミトリー・コルチャク。彼自身が本当のロシア人ですが、まだ29歳の若き超新星です。現代最高のロッシーニ・テノールといえば、ファン・ディエゴ・フローレスですが、その美声、アクートの強さ、アジリタのテクニック、豊かで響く声、低音から高音まで無理なく滑らかで自然なフレージング、どれを取っても引けを取りません。しかもルックスもなかなかのハンサムぶりですので、今後必ず世界のトップに出てくる歌手だと思います。このリーベンスコフ役だけでここまで言い切ってしまうのはどうかと思いますが、ぜひ別の役を聞いてみたいものです。

指揮のオッターヴィオ・ダントーネはバロック、古楽器のジャンルでの第1人者ですが、リッカルド・ムーティが自分の後継者に指名してラヴェンナ、スカラを振ったことでも知られています。当夜は、バロックだけでなく、ベルカントオペラのジャンルでも充分に実力を発揮できることを証明してくれました。これだけの1流歌手たちを使ったアンサンブルとなると、さぞ大変だったと思いますが、オケも見事に統率していました。
by hikari-kozuki | 2009-05-18 15:58 | Opera | Comments(0)
ミラノ・スカラ座4月30日「ランスへの旅」<前編>
スカラ座では過去20数年に渡り、素晴らしい公演を何度も見ていますが、この「ランスへの旅」もかなり印象深く、感動的な夜となりました。

このオペラは、1825年のフランスのシャルル10世の戴冠式を祝うためにロッシーニが書いたもので、非常に特殊なオペラです。2時間半近いオペラなのに1幕のドランマ・ジョコーゾであること、18人のソリストを必要とすることなどです。ロッシーニはこのオペラを4回の再演だけで楽譜を回収してしまい、さらにはこのオペラの旋律を「オリー伯爵」に転用してしまったのです。よって、以降上演されることはまったくなく、1984年のペーザロのロッシーニ・フェスティヴァルでクリティカル・エディションとして蘇るまではオペラの歴史から忘れられた作品でした。また世の中に知れ渡った現在でも、18人のソリストを必要とし、しかも14人によるコンチェルタートを持つという壮大なスケールの作品であるため、上演機会にはなかなか恵まれないのです。

このプロダクションは、1985年にクラウディオ・アッバードと一緒に巨匠ルカ・ロンコーニが演出をしたもので、当時も大変な話題となった名舞台です。
オペラの途中で度々シャルル10世の戴冠式の行進の映像が舞台上のモニターに映し出されるのです。途中からこの映像って、ひょっとしてミラノの市内では?とかドゥオーモでは?と思わせたりしたのち、その映像の行進が、エマヌエーレ2世カレリアのアーケードの中を抜けて、スカラ座の中に現実の行進となって入ってきて、平土間の通路を行進した後、客席を取り囲む形でフィナーレとなるのです。
他にも舞台の上方から空中舞台を吊り下げ、舞台上のストーリーと同じようにマリオネットをやったり、オケのフルート奏者やハープ奏者が舞台に上がり歌手の隣で一緒に吹くなど、アイディア満載で楽しい舞台でした。

<ここで時間になってしまったので続きは後日>
by hikari-kozuki | 2009-05-15 16:29 | Opera | Comments(1)
ミラノ・スカラ座4月29日「放蕩者のなりゆき」
「火の鳥」や「春の祭典」など大編成の管弦楽曲でで知られるストラヴィンスキーですが、この「放蕩者のなりゆき」は、20世紀のオペラの中でも最も重要な地位を占める作品として知られています。この作品が彼にとって最後のオペラとなりましたが、他の作品はほとんどが1幕オペラばかりなので、唯一の長編オペラとも呼べる作品なのです。当時ロシアを亡命し、ハリウッドに住んでいた彼は、1948年から作曲を始め、1951年に本人の指揮により、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場で初演され、大成功を収めました。

この作品は、英語の台本で、主役のテノール、トム・レイクウェルがほぼ出ずっぱりの難役のため、最近は、なかなか演奏機会に恵まれません。特にこの役を十八番としていたアメリカ人テノールのジェリー・ハドリーが2年前にライフルで自殺してしまっため、テノールの人材不足が最大の原因かと思われます。私も彼のトム役はザルツブルク音楽祭とウィーン国立歌劇場で見ましたが、見事な演技力と憂いがあってアクートの強い声の持ち主でした。

さて、今回のトム役は、まだ31歳の若いイギリス人テノール、アンドリューケネディーでした。まだ若く、ほとんどがイギリスでしか歌っていないためあまり期待はしていなかったのですが、かなり良かったと思います。演技力という点ではまたハドリーには及ばないものの、声は音量豊かな美声で将来有望です。これでこの作品も上演回数が増えることでしょう。恋人役のアン、エンマ・ベルもイギリス人の若いソプラノですが、彼女も非常に有望なソプラノで、堂々と歌っていました。脇を占めるニック・シャドウ役のバリトン、ウィリアム・シメル、トゥルーラブ役のバス、ロバート・ロイドと当夜はイギリス人歌手ばかりとなりましたが、さすがはスカラ座のキャスティングという感じでした。
by hikari-kozuki | 2009-05-13 17:10 | Opera | Comments(0)
ヴェネツィア・フェニーチェ劇場4月26日「マリア・ストゥアルダ」
G/Wは4月25日から11日間、イタリアに行っていました。もちろんオペラ等をいろいろと見てきましたので、その模様をレポートします。

まずは4月26日(日)のマチネで上演されたドニゼッティの「マリア・ストゥアルダ」。
このオペラは、1834年、創作活動に最も脂が乗っていたドニゼッティがナポリのサン・カルロ劇場から依頼されて書いたもので、彼はこのシラーの悲劇を選びました。
この作品は、実在のスコットランド女王メアリー・スチュアートに基づく実話で、彼女とイングランドのエリザベス1世との対立、そして最後に処刑されるまでが描かれています。この作品と「アンナ・ボレーナ」「ロベルト・デヴリュー」を合わせてドニゼッティの女王3部作とも呼ばれているのです。

さてこのプロダクションですが、トリエステのヴェルディ劇場、ナポリのサン・カルロ劇場、パレルモのマッシモ劇場との共同制作で、演出はドニ・クリエフ。舞台は1幕から3幕まで階段に3~40の円柱が立っているだけの至ってシンプルなもの。その円柱が出たり引っ込んだりして舞台転換を表している。2006年、2007年のヴェローナの「ナブッコ」も鉄筋だけを組み合わせたようなシンプルな舞台で、このように抽象的な枠組みだけを舞台上に用意するのは彼の得意とするところなのでしょう。

キャストはBキャストだったので、Aキャストのチェドリンス、ガナッシ、ブロスのようなビッグネームはいませんでした。エリザベッタはメッツォのマリア・ピア・ピシテッリ、マリア・ストゥアルダにソプラノのマリア・コンスタンツァ・ノチェンティーニ、ロベルトにテノールのダリオ・シュムンクというキャスト。ノチェンティーニは、持っている声は良いのでしょうが、1幕から張り切りすぎてしまったようで、だんだんと尻つぼみになってしまい、3幕のフィナーレはかなりギリギリな状況になってしまいました。シュムンクは、レッジェーロなテノールで、滑らかでなかなかの美声の持ち主ですが、残念ながらちょっと声が小さすぎ。フェニーチェ劇場くらいのサイズでも平土間の後ろまではなかなか声が届きにくく、小さな劇場向きのテノールだと思います。

というように、Bキャストであったこともあり、素晴らしいキャストとは言えないかも知れませんが、イタリアのオペラハウスの中でも屈指の劇場の1つであるフェニーチェですので、合唱やオケや脇役のレヴェルは高く、公演自体の質はなかなか高いものでした。
by hikari-kozuki | 2009-05-11 14:07 | Opera | Comments(0)






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