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2月10日、15日 二期会「ラ・トラヴィアータ」東京文化会館(2)
さて今日は音楽面について。

まずA組の方は、あくまでもGPだったので、実際のステージとは違ったかも知れません。まず、ヴィオレッタの澤畑恵美はさすがにこの役を十八番にしているだけあって、立ち振る舞いや演技力は他のキャストを圧倒していました。ただし、GPの時は、アクートはほとんど抜いて歌っていたので、どうだったでしょうか?まあ彼女のことですから、間違いなく無難な歌唱を見せたことでしょうが。アルフレードの樋口達哉は、二期会のエース・テノールの貫禄が出てきました。GPだったにも関わらず、最初から最後まで全力投球、特に3幕の2重唱”パリを離れて”では今までの彼にはなかった余裕のあるpやpp、美しいフレージングを見た気がします。ジェルモンの小森輝彦は、良く鳴って輝く素晴らしい声を持っていますが、ソット・ヴォーチェやppの箇所との格差が大きく、そのあたりがやや不満でした。

B組の方は、ヴィオレッタの安藤赴美子の1人舞台。私はおそらく彼女を聞くのは初めてだと思いますが、まさに期待の大型新人です。二期会では「ボエーム」のムゼッタ歌ったそうですが、主役はこれがデビュー。声が美しいだけでなく、テクニックも充分で、何より余裕があります。ヴィオレッタはコロラトゥーラからリリコまでさまざまな声質、技術が必要になる難役ですが、その完成度の高さには驚かされました。背が高く立ち姿も美しく、演技力も充分です。間違いなくこれからブレークするでしょう。彼女も新国の研修所の出身ですが、新国の研修所は良い歌手たちを輩出してくれるようになりました。テノールの井之上了吏は密度の濃い美声の持ち主ですが、アクートの弱さは目を覆うばかりです。As(ラの♭)やA(ラ)の音があれほど厳しいのには驚きました。それもしばらく歌っているとドンドン声帯が合わされなくなり、声が掠れてしまうのです。2幕1場のアリアでは最後はもう息も絶え絶えという感じで、もうこれで降りてしまうのかと思いました。しかし、ヴィオレッタとジェルモンの2重唱の間にすっかり回復してしまったようで、すっかり復活していたのにもまた別の意味で驚かされました。そしてジェルモンの青戸知、悪くはありませんし、美声の持ち主です。しかし、あの奥に引きまくった発声は絶対にあり得ません。少なくともイタリアのオペラハウスであのような発声のバリトンは絶対に使ってもらえないでし、客席の奥まで声が届きません。ドイツ・リートのコンサート歌手として生きて行くのであればあの発声でも良いもかも知れませんが、ヴェルディのバリトンは歌わないで欲しいです。おそらく彼はとても素晴らしい素質を持っているのに発声が間違っているのです。残念でなりません。

指揮はアントネッロ・アッレマンディ。ヨーロッパでも活躍している中堅の指揮者ですが、テンポが速い!10日のA組のGPを見た時には本当に驚きました。しかも歌手たちが少したっぷり歌おうとしていても、まったく無視をしてドンドン先に進んでいくのです。1幕では合唱とも合わず、;2幕1場のヴィオレッタとジェルモンの2重唱では、小森輝彦と完全にずれてしまい、両方が意地を張り合って譲らない感じでした。しかし、15日のB組の本番では、歌手たちとの息もほぼピッタリあっていました。歌手との相性もあるのかも知れませんが、きっと皆がお互いに譲歩したのでしょう。
by hikari-kozuki | 2009-02-26 17:26 | Opera | Comments(0)
2月10日、15日 二期会「ラ・トラヴィアータ」東京文化会館(1)
2月12日から15日まで4日連続で二期会の「ラ・トラヴィアータ」が行われました。「ラ・トラヴィアータ」とは、言うまでもなく「椿姫」のことで、ヴェルディが付けた原題が「ラ・トラヴィアータ」なのです。A組、B組のダブルキャストでしたが、私が観たのは、A組のGP、2月10日とB組の本番、2月15日の2回。

今回の最大の話題は、すっかり二期会ではお馴染みとなった宮本亜門演出ですが、モーツァルトのダ・ポンテ3部作に続く第4作目としてこの「ラ・トラヴィアータ」を持ってきたのです。この名作は、世界中であらゆる角度から解釈が試みられ、時代の読み替えや舞台の読み替えも行われてきた作品なので、きっとそのプレッシャーは大変だったことでしょう。しかも二期会の「椿姫」といえば栗山昌良のオーソドックスな名舞台が20年間も繰り返し上演されてきたわけですから。

さて今回の舞台だが、一言で言うとシンプルで暗いもの。視覚に華やかさを訴えることを拒否したような舞台で、賛否両論が分かれるところでしょう。私は、1幕や2幕2番のパーティーシーンが華やかであればあるほど3幕のヴィオレッタの死とのコントラストが強く出て、このオペラが引き締まると思うのですが。舞台は、下手から上手にかけて床がかなりの角度で上がっていき、逆に天井は下がっていくので、要するに左から右にかけて斜めに狭くなっていくのです。舞台はひたすらにシンプルで、テーブル、机、ベッド兼用となる四角い箱のようなものが置いてあり、そこにパイプ椅子が何度か付けられるだけ。時代は現代か、もしくは20~30年前のイメージでしょうか。1幕の前奏曲と3幕のシーンでは、舞台下手の方に動かないエレヴェーターが設置していて、そこを出演者たちが昇り降りします。おそらく天国と地上を繋げている導線の役割を果たしている、というような意味だと思いますが、そんなところにお金をかけるなら他のかけかたがあると思うのですが。壁や天井は白と黒のモノトーン、照明もその壁の模様を歪めたりします。また、1幕の前奏曲では、3幕の死ぬ直前のヴィオレッタが登場し、アルフレードと絡みつつアルフレードは黙って去って行くという演技をさせ、これから始まる物語はヴィオレッタの回想録、という何度か繰り返されてきたパターンで特に有名なものはゼッフィレッリのものです。
合唱のメンバーは、全員顔を真っ黒に塗っているのです。歌手たちとの絡みもほとんどなく、よどんだ死を感じさせる空気を表しているのでしょうか?とにかく不気味でそれなりの演出効果は上げていたと思います。歌手たちに細かく動きを指示し、舞台を走り回るのも宮本演出の特徴で、歌手たちは大変そうでしたが、ドゥフォールやドビニー、フローラ等、普通の演出ではあまりどこにいるかも分からない登場人物たちがそれぞれの個性を持って引き立っていました。

その他の普通の舞台と明らかに違う箇所を列記します。
1幕のパーティーシーンでアルフレードがドゥフォールを殴り倒してしまう。これは、2幕2場の決闘への伏線なのでしょう。2幕のアルフレードのアリアでヴィオレッタがなぜか舞台をうろうろしているところ。その後の2重唱でジェルモンがお金をちらつかせヴィオレッタに別れを強要するシーン。2幕2番で激高したアルフレードがヴィオレッタにお札を投げつけるシーンでは、暴力的にスカートまで破ってしまいます。3幕の前奏曲では、2幕2場フィナーレで床に倒れたヴィオレッタの周りを黒く塗った合唱のメンバーたちが取り囲み、1人、また1人と去っていき幕があくのです。そして、3幕冒頭、ヴィオレッタはベッドに寝ているのではなく、そのまま床にうつ伏せているのです。また、アルフレードがヴィオレッタの部屋に駆けつけシーンでは、2人は一切抱き合ったりせず、淡々と歌うのです。3幕途中でヴィオレッタに突然スポットライトが当てられ、神から呼ばれているような演出は美しく感じました。このオペラは最近の傾向では、1幕と2幕1場はそのまま続けて上演され、2幕1場と2場の間で休憩、そして2幕2場と3幕は続けて上演されるのが普通ですが、この演出では、1幕と2幕の間、2幕2場と3幕の間の2回休憩が入ります。これによって、2幕1番のパリ郊外のヴィオレッタの家と2幕2場のフローラのサロンが続くことになりましたが、いきなりダンサーたちが飛び出してくる演出は最初驚きましたが、それなりの効果はあったと思います。このようにまったく意味不明なところと、これは良く考えているな!というところが混在しているのですが、数多くの同オペラを見てきた自分としては、残念ながら良い演出の部類には入らないと思いました。途中までは宮本演出の意図や真意などを一生懸命考えていましたが、あまり意味はないのかな?というところもあったので、音楽を集中して聞くようにしました。

長くなってしまったので、音楽的なところは明日に。
by hikari-kozuki | 2009-02-25 16:28 | Opera | Comments(0)
2月7日(土)紀尾井ホール「パソナ夢オーケストラ演奏会」
パソナ「夢」オーケストラとは、パソナのア・テンポ事業部がパソナ・グループの力を結集して作ったオーケストラです。ベートーヴェンの9つの交響曲全曲制覇、そしてその仕上げに第九をサントリーホールで!という明確な目標のもとに昨年の6月に結成されました。パソナグループ及びクライアント企業の社員に呼びかけたところ、約300名もの応募があり、厳選なオーディションの結果選ばれたアマチュアの音楽家たち60名によって構成されました。もちろん楽器によってかなりのでこぼこがあったようで、フルートには実に100名近い応募があったそうです(笑)。

さてその第1回の記念すべきコンサートは、チャリティーコンサートとして紀尾井ホールで行われました。この入場料収入は、カンボジアの子供たちの音楽教育のために寄付されるそうです。
プログラムはベートーヴェンの交響曲第1番、第2番、ピアノ協奏曲第3番というもので、これは奇しくも、交響曲第2番が初演された時のプログラムとまったく一緒ものだそうです。
そして、指揮の末廣誠、ピアノのソロは広瀬悦子、さらにコンサートマスターに深山尚久、山中美知子という実力者のアーティストたちが集結しました。

1曲目の交響曲第1番の第1楽章冒頭の8小節くらいを聞いて、ああ、このオケは上手いな!”と確信しました。最初の音があれだけスムーズに揃うのはプロのオケでも難しいことですし、弦楽器各パートの音が1本の線となってハーモニーを作っているのには驚かされました。もちろん、第1番の冒頭の部分は特に入念に練習したのでしょうが(笑)。そしてピアノ協奏曲第3番、交響曲第2番の順で演奏されましたが、音楽的な充実度はドンドン上がっていったような気がします。何より団員たちが晴れの舞台に緊張をしながらも楽しそうに活き活きと演奏している姿には非常に好感が持てました。また、その音楽を半年ちょっとで作り上げたマエストロ、末廣誠の手腕も大したものです。演奏会の後半が始まる前にマエストロから、”この3曲を仕上げるのに必死で、とてもアンコール曲までは手が廻らなかったので、今日はアンコールがありません!”というスピーチがあり、笑いを取っていました。

全6回の演奏会でこのベートーヴェンの交響曲全曲演奏を完結させるようですが、次回以降もぜひ聞いてみたいものです。
by hikari-kozuki | 2009-02-12 11:34 | Concert | Comments(0)
1月31日(土)文京シビック「リヒトクライス第15回演奏会」
「リヒトクライス」とはドイツ語で、直訳すると”光の輪”という意味ですが、作曲家、髙田三郎の傘寿のお祝いのために作られた合唱団です。そして1993年の第1回コンサートから、2001年の髙田先生の逝去の後も毎年活動を続けています。

この団を結成したのは、髙田三郎の愛弟子で、声楽家、指揮者として活躍している鈴木茂明氏。鈴木先生が指導をしている混声合唱団コーロ・ソフィア、女声合唱団コーロ・コスモス、筑波大学混声合唱団、しおさい、大井しらゆり、という各合唱団によって結成されたスペシャル編成の合唱団がこのリヒトクライスです。

ここで、髙田三郎についても少し触れておきましょう。1913年生まれの作曲家で。特に合唱曲のスペシャリストとして有名で、日本で合唱をやっている人でその名前を知らない人はいないほどです。その中でも1964年に発表さされた組曲「水のいのち」は、日本合唱史上不朽の名作と言われ、楽譜はいまだに増刷され、売れ続けているようです。この作品の作詞は、数学者で詩人の高野喜久雄だが、彼らのコンビは、「水のいのち」以外にも名作を数多く残しました。または髙田三郎は、カトリックのクリスチャンとしても知られ、数多くの典礼聖歌やミサ曲を作曲しました。

さてリヒトクライスに戻りましょう。この日のプログラムは盛りだくさんな内容で、「典礼聖歌」、「ヨハネによる福音」、「ある朝の歌」、「啄木短歌集」、そして「水のいのち」というものでした。例え同じ先生から指導を受けているとは言え、5つの異なる合唱団が一緒に練習する時間は限られていると思いますが、見事なハーモニーを聞かせてくれました。歌詞の言葉を非常に大切にしていることが良く分かりますし、ディナミークも無理がなく、フレージングも滑らかで、各パートのバランスも良く、髙田作品以外もぜひ聞いてみたいと思いました。しかもほとんど団員がこれだけのプログラムをほとんど暗譜で歌っているというのも凄いです。また、最初に歌った「典礼聖歌」ですが、何人かの人たちがソリストとしてソロパートを歌いましたが、どの人もアマチュアとは思えないほどで、きっと個々人のレヴェルも非常に高いのでしょう。年に1回のペースで演奏会を開いているようですが、また来年もぜひ聞いてみたいと思います。
by hikari-kozuki | 2009-02-06 12:02 | Concert | Comments(0)
2月1日(日)文京シビック 「西本智実&ロイヤルチェンバー2009」
私の机の上にはここ3、4ヶ月の演奏会のプログラムが山積みになっています。あまりに時間がなかったためレポートすることの出来なかったものばかりです。すでに詳細を忘れてしまったものも多いので、直近の演奏会から遡れる範囲まで遡っていこうと思います。時間の流れ的には逆行という形になってしまい、おかしなこともあるでしょうが、どうぞお許し下さい。

ロイヤル・チェンバー・オーケストラ(以下、RCO)は、このブログでも何度も書いてきましたが、私自身、相談役を努めるオーケストラです。そのRCOが、人気沸騰中、TVコマーシャルでもお馴染みの西本智実を指揮に迎え、ただいまツアーで全国を廻っています。昨日は東京の文京シビックでしたが、明日は釧路の市民文化会館で本番の予定で、全部で10回のコンサートが行われます。

さて昨日のプログラムは、
ウェーバーのオペラ「オベロン」序曲
ブルッフの「ヴァイオリン協奏曲第1番」
ブラームスの「交響曲第4番」
というもの。

ここしばらくベートーヴェン、モーツァルトを中心に古典派のプログラムが組まれることが多かったRCOですので、ロマン派によるプログラムは非常に新鮮な感じがしました。
西本智実の指揮は、以前、川崎でヴェルディの「レクイエム」を聞いた時よりも格段にパワーアップしていて、一言で言うと、非常に歯切れの良い演奏でした。リズムのメリハリが鮮明で、テンポ感もとても良く、ディナミークも奇を衒わず正統派ながら細部にこだわったと箇所も何箇所かあって、思わずにんまりさせられました。後姿はまさに男装の麗人という感じで、男の私が見ていてもカッコいいなあ、という感じでした。
ヴァイオリンのソロは、ロシアのマキシム・フェドートフ。西本智実のご指名で急遽来日したロシアでも有数のヴァイオリニストですが、わざわざ20分足らずのコンチェルトでロシアから来てもらう価値のある見事なブルッフでした。ダイナミックでテクニックも十分、ブルッフ独特の美しい旋律美も十分にヴァイオリンで歌ってくれました。

なお、全10回のこのコンサートツアーのプログラムノートは、私が書いたものです。
by hikari-kozuki | 2009-02-02 16:29 | Concert | Comments(0)






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