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ニッセイオペラ 利口な女狐の物語 11月26日(日)
題記オペラを有楽町の日生劇場で見てきました。
実はこのオペラの演出については、今夏、演出家の高島勲さんにインタヴューをしていたので、個人的にもとても楽しみにしていました。

この「利口な女狐の物語」というオペラ、チェコの国民的な作曲家ヤナーチェクの代表的なオペラですが、モラヴィア地方の森に生きる動物と人間の話です。動物の世界と人間の世界が交互に展開されますが、輪廻転生の思想が根底に流れ、自然界の厳しさが表現されています。歌手たちが「ライオン・キング」のように着ぐるみを着て動物に扮するというものがスタンダードですが、今回の演出では、歌手が手の先に人形を付け、その人形を操りながら歌い、演じるというものでした。
舞台は木の幹のようなものが配置され森を表し、舞台の一部を昇降させることによって、居酒屋になったり出入口になったり、アイディアが満載でシンプルながらも美しくとても良いステージでした。冒頭、舞台の中央に人形や着ぐるみが丸く円形に並べられていましたが、これはまさしく輪廻転生を表していたのでしょう。そして、この人形を人間が持った瞬間に魂が宿るのです。
またこのオペラは、チェコ語で書かれていますが、今回は、日本語訳の字幕付きの上演でした。日本語訳を担当したのはバリトンの宮本益光。彼がライフワークと語っているだけに、センスが溢れ分かりやすい訳だったと思います。また、歌手たちもイントネーションがはっきりしたメンバーが多かったため、非常に聞き取りやすかったです。1幕冒頭で蚊が森番に対して”血ぃ吸うたろかあ~!”と突然関西弁になったところでは観客席から大きな笑いを取っていました。最後のカーテンコールの時、1番最後に高島、宮本両氏が一緒に出てきて、とても嬉しそうにしていたのが印象的でした。

さて指揮は広上淳一、オケは新日フィルでしたが、かなり練習を積んだと思われ、良く合っているだけでなく、チェコの国民音楽の雰囲気も良く出ていました。広上淳一という人はオペラ指揮者としてとても才能のある人だと思っていますし、今回再認識をしたのですが、どうしてコロンバス響へ行ってしまったのでしょうか。

歌手の中では何といっても主役の女狐ビストロウシュカ役のソプラノ、中嶋彰子が抜群の演技力、歌唱力で圧倒的な存在感を示していました。森番の泉良平は立派な体格で声も美声という部類だと思いますし、大健闘だったと思うのですが、終盤にだんだん喉が鳴らなくなってきてしまったのはちょっと残念でした。雄狐の蔵野蘭子も良かったですが、暗い舞台で足を引っ掛けてしまい、痛そうでしたが大丈夫でしょうか。あとはハラシュタのバリトン、折河宏治がとても良く通る声で将来性を感じました。ただちょっと浅いので、好みは分かれるかも知れません。

冒頭で言いました高島さんのインタヴューに興味のある方は、Ticket Classicの9、10月合併号の十人十色のコーナー(p110~p111)をご覧下さい。(と言っても、もう手に入れるのは難しいと思いますので、欲しい方は私に言って下さい)
by hikari-kozuki | 2006-11-28 16:08 | Comments(0)
ポリオ撲滅 チャリティーコンサート 11月20日(月)
11月20日にトッパンホールで、東京グレイス会主催の「ポリオ撲滅 チャリティーコンサート」が行われました。このコンサートは東京グレイス会設立15周年記念ということで、出演者も豪華ながら、客席もセレブなマダムたちで大盛況でした。

出演者は、まずテノールの福井敬、ソプラノの渡辺由美香。前半ではカンツォーネやフランス、ドイツの歌から”愛”をテーマにした歌曲をい、後半では、それぞれ得意のアリアを2人が交互に歌うという形で進行して行きました。
福井敬は、文句なく日本のテノールの中では第一人者と言えるでしょう。声の迫力や密度、アクートの伸び、表現力等、どれを取っても、素晴らしいレヴェルです。しかし、びわ湖ホールの「海賊」の時にも書きましたが、やや怒鳴りすぎだと思います。ステージの後半では、声がやや嗄れ気味になり、アクートがジリジリいうのが気になりました。最後の曲が「トゥーランドット」の”誰も寝てはならぬ”なったのですが、途中、最後のHは危ないのでは?と思われるような感じでしたが、まったく逃げずに声を集めて力で上げてしまうパワーとテクニックはさすがです。もうちょっと力を抜いて軽く歌っては、と思うのですが、本人の美学に反するのでしょうか?少なくとも"Dicitencello vuie"などのカンツォーネがセンプレ・フォルテでは雰囲気が出ません。
もう1人の渡辺由美香はコロラトゥーラ・ソプラノです。彼女が歌ったトーマの「ハムレット」の難曲”オフェーリアの狂乱の場”と「魔笛」の”復讐の心は地獄のように胸に燃え”は、共にアクートがFまで出てきて、かなりのアジリタのテクニックも必要なこれぞコロラトゥーラというアリアです。彼女は音が高ければ高いほどよく通る声で、EでもFでもまったく問題なく完璧に出します。音程も悪くありませんし、アジリタもまずまず転がります。しかし残念ながら中音域の声がほとんど鳴らないので、全然聞こえてきませんし、言葉も聞き取れません。これほどアクートが凄いのに、非常に惜しいです。

当夜は歌だけではなく、ピアノとチェロの演奏もありました。
まずピアノは有森博。アルチュニャン(アルチュニアン)の「3つの音楽的絵画」、バッハ、ヴィゴツキーの「G線上のアリア」、リストの「ハンガリー狂詩曲第2番」というプログラムでしたが、どれも素晴らしい出来で、テクニックが正確なだけでなく、表現力も十分です。

チェロの新倉瞳は20歳、桐朋音大3年生という若き美人チェリストです。顔が小さくスタイルも抜群なので、ヴィジュアル系アーティストなのでしょう。ただし、音もきれいですし、テクニックも確かですので、将来有望だと思います。
by hikari-kozuki | 2006-11-24 20:07 | Comments(0)
フローリアン・プライ バリトンリサイタル 11月10日(金)
フローリアン・プライ。偉大なるバリトン歌手、ヘルマン・プライの息子で、亡き父の後を継ぎ、バリトン歌手として活動し、バード・ウルラッハ秋の音楽祭の芸術監督としても頑張っています。ミュンヘンを始めとして、各地でオペラに歌曲にコンサートにと活躍していますが、オペラは父親と同じ魔笛のパパゲーノやコジ・ファン・トゥッテのグリエルモ等を得意としています。容姿は母親に似たようで長身痩躯、顔もほっそりとしてますが、目元が父親に似ています。
さて、この度彼は、シューベルトの傑作「冬の旅」を引っさげて来日し、各地を廻りましたが、伴奏者として連れてきたのが、これも偉大な父を持つリコ・グルダ。言うまでもなく父親は孤高のピアニスト、フリードリヒ・グルダです。

プライの声は父親よりもやや高めで、声域で言うとハイ・バリトンでしょうか。偉大な父親のあの声そのものが色気を感じさせるという美声や痺れるようなフレージングはあまり感じられませんが、音楽は良く掘り下げられ、非常にノーブルな印象でした。また、音程はいつもぶら下がっていた父親よりもいいでしょうし、テクニックも持っています。ただ、やはり不世出のバリトンだった父親に比べるとどうしても小粒と言う感はぬぐえません。次回は「冬の旅」ではなく、もうちょっと明るく華やかなシューマンの「詩人の恋」などを聞いてみたいものです。グルダのピアノは、正確で音楽性も豊かで、今度はソロやコンチェルトも聞いてみたいものです。また、彼らはヨーロッパでもいつも一緒にコンサートをしているだけあって息はぴったりです。とても良いコンサートでした。

最後になりますが、このコンサートは諏訪湖畔のホテル、諏訪湖ホテルの立派なロビーで行われましたが、ここのホテルのオーナーで片倉興産の社長でもある、片倉康行さんが主催されたコンサートでした。片倉さんは、熱狂的なクラシックファンでとても深い造詣をお持ちですが、年に4回ほどのペースでこのロビーコンサートを開かれています。ご自分のポケットマネーでやられているようですが、驚くようなビッグネームも登場しますので、今後も期待したいものです。ご興味のある方は、下記URLをどうぞ。
http://www.suwakohotel.co.jp/cons.htm#18
by hikari-kozuki | 2006-11-22 21:11 | Comments(0)
お詫び
長い間投稿が出来ず、誠に申し訳ございませんでした。
実は先々週は、高松、諏訪湖と続けて出張があり、先週は4泊6日間のハードスケジュールでイタリアへ行っておりましたので、ブランクが空いてしまいました。
(もちろんミランのあまりの不甲斐なさに不貞腐れていたのもあります)。
しかし、その間にも4、5公演のコンサートを見ていますので、順番にレポートして行こうと思います。
by hikari-kozuki | 2006-11-21 20:38 | Comments(0)
新国立劇場「イドメネオ」 10月30日(最終日)
前日は「海賊」、今日は「イドメネオ」とオペラを連荘で見ることになったわけですが、日本も本当に素晴らしいオペラ大国になってと感慨深いものがありました。「椿姫」と「魔笛」と超メジャーな作品を続けて見るわけではありませんので、実は凄いことだと思うのです。

さてこの「イドメネオ」ですが、通常言われるところのモーツァルト4大オペラ(言うまでも無く、「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「コジ・ファン・トゥッテ」「魔笛」のこと)ではありませんが、オペラ・セリアの金字塔で、4大オペラしかしらないモーツァルトのファンにとっては、その生真面目さに驚くことでしょう。

まず特筆すべきはイーリア役のソプラノ、中村恵理。新国では「こうもり」のイーダ以来でしたが、あまりの違いに驚きました。まあ、イーダとイーリアを比べるのはそもそもおかしい話ですが、本当に素晴らしい出来でした。透明感と清潔感が溢れる美声とでも言いましょうか、高音から低音までフォームが変わらず安定感があり、細すぎず太すぎず、声に伸びもあって、コントロールの効いたヴィブラートもちょうどいい感じです。ベルカントな声と言ってしまえばそれで終ってしまいますが、実に耳に心地好い声という感じです。そして、譜面を深く読み込んで良く勉強をしているというのが伝わってきます。
私は数ヶ月前にチケット・クラシック誌のコーナーで彼女のインタヴューをした際に、とてもしっかりしたお嬢さんで好印象がありましたが、まさかここまでイーリア役を歌いこなすとは良い意味で驚きました。イーリアという役は1幕冒頭で登場し、登場人物を紹介していくアリアがあり、2幕でもアリアがあって、更には3幕でも冒頭で有名な「暖かい風よ」のアリアがあり、かなりの難役なのです。今後の活躍に最大限の期待しています。

タイトルロールのテノールは、イギリス人のジョン・トレレーヴェン。いわゆるヘルデン・テノールで、ワグナーの諸役を得意としています。時々パヴァロッティを思わせるような透明感のある声を出すと思えば、ヘルデン・テノールらしい迫力のある声も出したりして、かなり抽斗の多い歌手でした。息子イダマンテを生贄に捧げなければならない苦悩も良く表現していたと思います。しかし、全体的には少々物足りないでしょうか。もっと突き抜けるような声が欲しいところです。

イダマンテは、今や日本を代表するメッツォ・ソプラノの藤村実穂子。世界中の一流歌劇場でワグナーの諸役を中心に大活躍中です。この役は、初演ではカストラートが歌った役なので、高音が続き、メッツォにとってはかなり大変な役です。1幕では声をセーヴしすぎているのか、あまり声が通ってこず、あれ?っと思いましたが、幕を追うごとに良くなって行きました。特に3幕のイーリアとの2重唱素晴らしい出来でした。

エレットラはアメリカ人のソプラノエミリー・マギー。ワグナーを得意としているわりにはちょっと迫力不足でしょうか。しかし歌の完成度は高く、かなりの存在感がありました。そして、3幕終盤のアリア「オレステとアイアスの苦しみを」はモーツァルトの数あるアリアの中でも名曲中の名曲で、激しく圧倒的な声を必要としますが、良く歌い上げていました。

アルヴァーチェはテノールの経種廉彦。二期会のプリンスとして売れっ子ですが、もっと大きな役で聞いてみたいものです。大司祭の水口聡はこのブログでも度々触れてきましたが、相変わらず声の良く集まったスピントな声を響かせていました。

ダン・エッティンガーは若手のイスラエル人指揮者ですが、現在世界中でかなり注目されているマエストロの1人です。ダイナミックな中にも繊細なところもあって、能力はかなり高いと思われます。オケは東フィルで、かなり良かったと思いますが、1幕冒頭でヴァイオリンの1人が明らかに飛び出てしまい、おいおいという感じでした。新国合唱団による合唱も安定感のある中にも迫力を感じさせるバランスの良い合唱を聞かせてくれました。さすが三澤先生です!


実は2ヶ月前にザルツブルク音楽祭で素晴らしい「イドメネオ」を見た直後だったので、かなり心配もしていたのですが、十分に満足できる好演でした。興味のある方は8月23日の”ザルツブルクにて2”をご覧下さい。
by hikari-kozuki | 2006-11-02 21:18 | Comments(0)
びわ湖ホールオペラ 「海賊」 10月29日公演
日本有数の素晴らしい設備を持つびわ湖ホールは、海外オペラハウスの来日公演でもよく使われていますが、プロデュース・オペラの自主公演を年に1本のペースで丹念に作り上げてきました。びわ湖ホール芸術監督の若杉弘氏と盟友の演出家鈴木敬介氏の素晴らしい共同作業によってヴェルディのメジャーでない作品にスポットが当てられ、その貴重な公演は内外から注目を浴びていました。1999年の「ドン・カルロ全5幕版」に始まり、「群盗」「ジョヴァンナ・ダルコ」「アッティラ」「エルナーニ」「シチリア島の夕べの祈り」「十字軍のロンバルディア人」「スティッフェリオ」と続き、今年が「海賊」だったのです。若杉弘氏の2007年シーズンからの新国立劇場芸術監督就任に伴い、このヴェルディ・シリーズは終了してしまうのが残念でなりません。装置のイタロ・グラッシ、衣装のスティーヴ・アルメリーギの舞台や衣装もいつも奇を衒わず正統派で、重厚かつ美しく素晴らしい舞台を作り上げていました。2007年4月からは沼尻竜典氏が芸術監督に就任する予定です。沼尻氏にもぜひ継承して欲しかったのですが、来年はワグナー作品が上演されるらしいですね。

さて「海賊」ですが、バイロンの抒情詩によるもので、原作は数多くのオペラやバレエで使われています。このヴェルディの3幕によるオペラはヴェルディの12作品目(全26作品)に当たり、彼が35歳の時にトリエステのグランデ劇場で初演されました。出版社のルッカとの契約によるオペラでしたが、ヴェルディはルッカ社とことごとくぶつかっていたため、入魂の作品とは言えないかも知れません。しかし、ナブッコ、エルナーニ、マクベスらを経て熟練されてきた作曲テクニックはさすがヴェルディと思わせる部分も多く、「リゴレット」の2重唱や4重唱や「椿姫」のアリア等を思わせるような曲もあります。ヴェルディ前期の特徴である力強い合唱シーンもふんだんにあって、決して見逃せないなかなかチャーミング作品に仕上がっています。

主役のコッラード役はテノールの第1人者、福井敬。スピント系のテノールがピッタリとくるこのコッラード役は彼には適役と思われます。1幕冒頭から強く響く声で会場狭しと良く鳴らしていましたが、さすがに3幕は疲れてしまったのか、声が掠れてしまっていたのが残念でした。来年以降のびわ湖への出演予定は分かりませんが、このヴェルディシリーズでは毎年のように出演し、好評を博していたので残念です。
コッラードの妻、メドーラは、ソプラノの大岩千穂。実はこのメドーラはプリマドンナの役ではなく、セコンダ・ソプラノ(2番手のソプラノ)の役で1幕と3幕フィナーレしか出てきません。しかし、1幕にロマンツァがとても有名なので、俗に言う美味しい役なのかも知れません。彼女は若手のホープ的な存在で、人気も存在感もありますが演技も上手く、3幕フィナーレでは聴衆の涙を誘っていました。
トルコの太守セイドが愛する女奴隷のグルナーラは、佐藤ひさら。蝶々さんのスペシャリストとして有名で美しい声を持ち、テクニックも抜群です。しかし、このグルナーラ役はちょっと厳しいでしょうか。声が小さくて細すぎるため、女奴隷の迫力が伝わってきません。グルナーラがプリマドンナの役ですが、もっとスピント系のソプラノの方が向いていると思われます。
セイド役はバリトンの直野資。さすがの貫禄で、相変わらずアクートも強く、ぐっと舞台を引き締めていました。8月の「Jr.バタフライ」ではお世話になりました。
ジョヴァンニ役のバスの小鉄和弘は1幕で美声を朗々と聞かせ、セリモ役のテノールの高野二郎は、バリトンもやるような音域の低い役で大変だったと思いますが、2人ともなかなか味のある存在感を示していました。
東京オペラシンガーズは相変わらず日本最強の大音量合唱団で、迫力満点。京都市響は、常任指揮者の大友先生の指揮で、今月東京公演があるので楽しみです。

いずれにしても、びわ湖オペラの今後の発展に期待しています。
by hikari-kozuki | 2006-11-01 14:47 | Comments(0)






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