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2月23日(土)新国立劇場「黒船」(山田耕筰作曲)
このオペラが初演されたのは1940年11月28日、まさに第2次世界大戦前夜という時期でした。初演時のタイトルは、「黒船」ではなく、「夜明け」というもので、まさしく日本のオペラ史の夜明けとなった作品です。3管編成という大規模なオーケストレーション、大勢の登場人物、2時間を越える上演時間、日本初のグランド・オペラと呼ぶに相応しいオペラでした。

新国が開場した10周年を迎えましたが、この日本オペラ史の金字塔とも呼ぶべき「黒船」、そして更にいえば山田耕筰作品が1度も上演されないのはなぜだろう?とずっと疑問に思っていました。新国で取り上げた日本人作曲家のオペラとしては、10人目だそうですが、いかにも遅すぎたと思っていたのは私だけではないはずです。

この作品は、「この道」や「からたちの花」などと同じく山田耕筰が日本語の話し言葉の抑揚によって旋律の上げ下げを決めるという画期的な方法で書かれ、非常に美しい日本語のイントネーションを保っています。そして、西洋音楽と日本古来の長唄、民謡、歌舞伎などの要素をミックスさせこの大作を完成させました。

さて、このオペラは、若杉弘が新国の芸術監督に就任して最初の指揮台に立つ作品となりました。そして演出は栗山昌良という日本オペラ界の重鎮によるコンビです。2人は、今回の上演に際し、初演でもカットされた「序景」という冒頭のシーンを完全復活させ、本邦初の完全版という形で初演したのです。また、若杉は、いつもの通り原典のままノーカットで演奏をしました。指揮ぶりはさすがの貫禄と言うべきでしょうか?東響のメンバーを手堅くコントロールしていました。

歌手は、久々にダブルキャストが組まれました。私が見たのはお吉に腰越満美、吉田に黒田博、領事に樋口達哉というキャストの方。ソプラノの腰越は、1幕の最初の方はかなり声が硬く、安定感に欠ける感じもありましたが、ドンドン良くなっていったと思います。すらりとした長身で演技も上手かったです。吉田役のバリトン、黒田博は密度が濃く、良く鳴る美声で朗々と歌っていました。今の日本のオペラ界でも屈指の声と言えるでしょう。1幕で上のGが少しフラっとしてしまったのが残念でしたが、そんな細かいことは気にならないほど素晴らしい出来だったと思います。樋口達哉も今までのリッカルドなどとは違い、ノーブルで落ち着いた紳士とイメージを前面に出して、新しい樋口達哉を表現することに成功していました。
by hikari-kozuki | 2008-03-04 11:39 | Opera | Comments(0)
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