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新国立劇場のオペレッタ”こうもり”
新国のオペラ(オペレッタ)としては今シーズン最後の演目”こうもり”(新演出)の千秋楽を6月28日(水)に見て来ました。2006年はモーツァルトイヤーだ!と言いながら、実は芸術監督のノヴォラツスキーが今シーズンで1番気合を入れてキャスティングを組んだと思われるほどの豪華キャスト。ウィーン出身者やウィーン国立歌劇場で活躍中の歌手で固められ、日本人として出演するのもウィーン在住の中島彰子と水口聡という、まさにチーム・ウィーン。ノヴォツラスキーの面目躍如というところでしょうが、さすがに歌手たちの息も良く合っていました。

まずこの新演出はウィーン宮廷歌手の称号を持ち、キャラクター・テノールをやらせたら世界でも並ぶもののないハインツ・ツェドニクによるもの。ましてやウィーンの”こうもり”というと実に4役ものレパートリーを誇り絶対に外せないツェドニクですが、遂に演出家としてもデビューをすることになりました。このオペラを隅から隅まで知り尽くし、歌手たちの気持ちも良く分かるツェドニクのことですから前衛とはほど遠く、美しく良く練られている舞台ながら、実にオーソドックスな舞台でした。 
指揮はウィーンフィルのヴァイオリン出身で、特にヨハン・シュトラウスものには定評のあるヨハネス・ヴィルトナー。さすがにウィンナーワルツの血が流れるメンバーで構成されるウィーンのオケではないので、やりたい放題、という感じではなく割りとおとなしめの棒だったようです。

さてまず主役のアイゼンシュタインは、バリトンのヴォルフガング・ブレンデル、彼も同じくウィーン宮廷歌手の称号を持ちます。モーツァルト、ワグナーなどのドイツもの、ヴェルディなどのイタリアものなど幅広いレパートリーを持ち、世界中の一流歌劇場でキャリアを積み重ねてきましたが、シリアスな役でもブッファな役でも上手く、当夜も抜群の存在感を示していました。
ロザリンデのソプラノ、ナンシー・グスタフソンもかなりのビッグネームですが、あまり調子が良くなかったのかあまり声が響いて来ず、高音のヴィヴラートもかかり過ぎの感がありました。さすがに2幕の”チャルダッシュ”は良かったですが、彼女の実力はあんなものではないと思うのですが...。
刑務所長のフランクは、ロシアのバリトン、セルゲイ・レイフェルクス。ロシアものにとどまらず、幅広いレパートリーに味のある表現力を示してくれます。ただ、私はイアーゴ、スカルピアなど、悪役のイメージが強いので、まさかブッファの役がこんなに上手いとは驚きました。さすが世界で通用する歌手は、懐が広いというところなのでしょう。
オルロフスキーは、メッツォ・ソプラノのエレナ・ツィトコーワ。私にとって彼女が1番のサプライズでした。新国でも何度も登場している歌手ですが、あまり印象に残っていませんでした。しかし、良く鳴る美声は他の歌手たちを圧倒するほど良く、2幕は彼女の独壇場という感じでした。
アルフレードはテノールの水口聡。このブログでも何度も触れてきたように私の友人(先輩)ですが、スピント系の役がメインですし、能天気な色男役は合っていないと思っていましたが、意外なほど良く、新しい一面を見せてもらいました。
ファルケのポール・アルミン・エーデルマンやフロッシュのハンス・クレマーは可もなく不可もなくというところですが、演技はさすがに上手く、場を引き締めていました。
アデーレの中島彰子は、フォルクスオパーで絶大なる人気を誇っているだけに、このアデーレ役は素晴らしく、演技力だけでなく、3幕の難しいアリアも抜群のテクニックで聞かせてくれました。
チーム・ウィーンではなかったのはブリント博士のテノール、高橋淳とイーダのソプラノ中村恵理の2人だけ。しかし2人ともビッグネームや大御所たちに一歩も引くことなく健闘していました。
by hikari-kozuki | 2006-06-29 21:24 | Comments(0)
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