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第1回高松国際ピアノコンクール その5
昨日の続きで、6名の外国からの審査員のご紹介から。
まずはブルガリアのピアニストでイワン・ドレニコフ氏。20世紀後半の偉大なピアニスト、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリの愛弟子といいますから、ポリーニやアルゲリッチの兄弟弟子ということになります。彼はソフィアから来日したわけですが、高松へ乗り継ぐために成田/羽田間の移動の必要がありました。しかし、彼はロシア語、フランス語、イタリア語しか出来ず、英語がまったく出来ないためとても心配をしていたため、仕方がありませんので事務局からの依頼を受け、私が行きも帰りも同行してチェックイン等を手伝いました。それにしても日本では英語が出来ない人は本当に不便であることを改めて実感しました。確かに彼の心配する通り、英語が出来ないと航空会社やホテルのチェックインも、バスや鉄道の乗り方や切符の買い方も
ほとんど分からないでしょう。
あと、ダニエーレ・アジマン氏というミラノの指揮者兼音楽院教授とフランツ・アルバネーゼ氏というローマ出身で、現在モリーゼ交響楽団の芸術監督兼指揮者。私はこの3人のことをチーム・イタリアと呼んで、一緒に食事をしたり親しくしていましたが、3人とも最初から最後までイタリア語で通していました。そしていかにもイタリア人らしく(1人はブルガリア人ですが)女性が大好きで、会う人会う人、片っ端から明るく声をかけていました。
ピオトル・パレチニ氏はポーランドのピアニストで、ショパン音楽アカデミーのピアノ科教授です。ショパンコンクールやチャイコフスキーコンクールなどの国際コンクールの審査員を務めるほどのビッグネームで、第8回のショパンコンクールで2位の内田光子に続いて3位入賞果たした実績を誇ります。チーム・イタリアとばかり話しをしていたため、あまり話しをする機会はありませんでしたが、貫禄のある紳士という感じの方でした。
あとの2人は女性で、まずディーナ・ヨッフェさんというラトヴィア生まれのピアニスト。彼女は第9回ショパンコンクール2位入賞という素晴らしいピアニストです。数々の一流オーケストラとの共演をしてきましたが、現在はイスラエルのテルアビブで音楽院の教授を務めています。最後のリーヴ・グラーセーさんはノルウェーのピアニストで、オスロの国立音楽アカデミーの教授です。このお2人ともほとんどお話しが出来ませんでしたが、いつもニコニコされていて、とても感じのいい方たちでした。

3人目の登場の前に高円宮妃久子さまがご来場されました。彼女は、大変クラシック音楽がお好きでご造詣も深く、3人目、4人目のお2人を聞かれた後、壇上に上がられて感想を頂きました。

さて前置きが長くなりましたが、3人目は、クリステンコ・スタニスラフ氏という21歳のロシアの若者です。彼が「屋島」を弾き始めると、すぐに驚かされました。前の2人もとても上手いと思っていたのですが、彼の「屋島」は素晴らしく、もはや別の曲のように聞こえるのです。ディナミーク、テンポの緩急の付け方が上手くしかも自然で、大変メリハリのある演奏だったのです。他の審査員の先生方も驚いているようでした。さて、彼の選んだ曲は、ラフマニノフの3番です。とても有名な曲ですが、大変難しいので、2番に比べてライヴで聞ける機会は少ない曲です。

実は前日の土曜日、6人のファイナリストたちの1時間ずつのオケ合わせがあり、私も顔を出したのですが、ちょうどその時に聞いたのが彼でした。それはそれはダイナミックでしかも緻密な演奏で、優勝は彼かな、と思いましたが、3楽章で3度ほどオケと大きくズレてしまって、ここが致命傷にならなければいいが、と危惧していました。もちろん、やり直した時には一応合っていましたが、ちょっと心配は残りました。

彼のラフマニノフが始まりました。昨日よりもちょっと緊張しているかな?という感じはありましたが、やはり壮大でスケールの大きな演奏で、観客をグイグイ引っ張っているのが分かりました。
しかし、3楽章でやはりオケと大きくズレてしまったのです。昨日と同じ箇所と別の箇所と2箇所も。しかも1箇所はオケが崩壊してしまうのではと思われるほど大きくズレてしまったため、私も目を瞑りそうになりましたが、1stヴァイオリンだけが何とかマエストロの指揮に付いて行き、何とか停まることだけは回避できました。これはコンサートマスターの西野ゆか嬢の実力だと思います。このあたりが大きな減点にならなければ良いが、と思いましたが、彼の演奏自体はほぼ満点と思われ、審査員の先生方がどのように判断するかがポイントかな?と思いました。

<続く>
by hikari-kozuki | 2006-04-04 16:01 | Comments(2)
Commented by daimi at 2006-04-04 19:46 x
オケの崩壊ですか、、、怖いですよね。崩れだすとどの音にあわせればいいのか分からなくなります。もちろん指揮者に合わせるべきですが、指揮者は音出しませんから^^;一か八かで音を出してみて、、、合えばいいけど合わないと涙、涙。
それにしても、コンクールではたった2度しか合わせがないのですか?
大変・・・半分は勘・・・博打ですね。
Commented by hikari-kozuki at 2006-04-05 16:07
まあ、1人あたりたったの1時間という練習時間ですから、あそこまで合っていたというのでも上出来だと思いますよ。マエストロの堤先生はコンチェルトがとても上手い方なので出来たことだと思います。
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