エキサイトブログ ホーム | ブログトップ | サイトマップ
♯と♭
広島市在住の高伊床鍬菜依田衛門さんという方から次の質問が来ました。
回答が長くなりそうなので、ここでご回答します。

まず質問の内容は次のようなものでした。

----------------------------------------------------------
ありがとうございます。シャープ(#)とフラット(b)は英語で、ドレミファソラシドという音階名がイタリア語というのは、わかりましたが、例えば、レ#(レの半音上)とミb(ミの半音下)というのは同じ音ですが、なぜ、#とbを使い分けるのでしょう?乱暴な言い方ですが、bが無くても良いような気がしますが?
----------------------------------------------------------
これに関してご質問に以下の通りご回答します。

とてもいい質問だと思います。楽典等を専門的に音楽を勉強した人でしたら簡単なことでしょうが、そうでなければ普通の学校ではおそらく教えてくれないでしょう。
まずレの♯とミの♭は確かに同じ音です。
しかし音階的には違うものなのです。
多分長くなると思いますので、ちょっと覚悟して下さい。
(もし可能であれば、実際のピアノの鍵盤を見たり弾いたりしながらこの文章を読んでください)

ドレミファソラシドと一口にいいますが、音と音との広さ(音程)は違っています。
長調(Dur、Major)と単調(Moll、Minor)とは違うので分けて考えましょう。
まず長調。明るく楽しい方の音階です。
そして、ピアノの鍵盤を思い浮かべてください。
ハ長調(C-Dur、C-Major)の場合、♯も♭も付かない音階で、ドというものが基本(主音)となりドレミファソラシドは、1つも黒鍵を使うことなく、白鍵だけでそのまま叩けば皆さんが知っているドレミファソラシドとなりますね。
その時に黒鍵はどことどこの間にあるでしょうか?
まずドとレの間、レとミの間、そしてファとソの間、ソとラの間、ラとシの間にあります。ハ長調のドレミファソラシドの場合、以上5つの黒鍵を飛ばしてドレミファソラシドの音階を叩くのです。
逆に言うと、ミとファの間、そしてシとドの間には黒鍵が存在しません。

さーて、ここで音程ですが、ドとレの間には黒鍵が存在しますので、長2度と言うのです。レとミ、ファとソ、ソとラ、ラとシも長2度という音程になります。
一方、黒鍵が存在しないミとファ、シとドは、短2度という音程になります。
ですので、ドレミファソラシドという音階は、(ド)長2度(レ)長2度(ミ)短2度(ファ)長2度(ソ)長2度(ラ)長2度(シ)短2度(ド)という並びになるのです。
2度と言うのをを省くと、”長長短長長長短”となり、これが長調の音階の配列です。
すべての長調はどの音を主音としても、この並びは絶対に変わらないと思って下さい。
ドを主音とするハ長調の場合は、黒鍵をひとつも使うことなくこれで長調の音階を表すことが出来るのです。ここまで分かりますか?

ここで移動ドと固定ドについてちょっと説明しなければなりません。
普通の人は、移動ドで、ハ長調でもヘ長調でもト長調でも、ドレミファソラシドに聞こえるはずです。この音階の歌い方を移動ドと言います。日本の義務教育での音楽の授業はこの移動ドで教えるはずです。
一方、絶対音感のある人は、移動ドで歌うのは非常に困難です。というのは体の中にピアノの鍵盤のドが染み付いてしまっていて、他の音を”ド”と言うのが非常に困難だからです。ヘ長調のドレミファソラシドは、絶対音感のある人にとっては、ファソラシ(♭)ドレミファとしか聞こえないのです。まあここではこのくらいにして話しを戻しましょう。
これを読んでいる人が移動ドの人として説明を続けます。

要するにピアノの鍵盤のファの音から始まってもソの音から始まっても、黒鍵を使って音程を変えてやれば、ハ長調とまったく同じドレミファソラシドに聞こえるはずです。
しかし、そのためには黒鍵を使わなければなりません。
例えばヘ長調(ピアノの鍵盤のファを主音とする音階)。白鍵だけで弾くと、”長長長短長長短”になります。でも皆さんのご存知のドレミファソラシドとはちょっと違うはずです。
それは何故か?
長調の音階の配列”長長短長長長短”と違うからです。
これを普通のドレミファソラシドにするためにはどうすれば良いか?
3番目の音から4番目の音が”長”になっているのを”短”に変えればいいのです。
つまりピアノの鍵盤の(シ)の音を♭で半音下げてやれば、短になりますよね?
すると4番目から5番目の音は、4番目の音が半音下がることによって、短から長に変わります。するとあーら不思議、”長長短長長長短”になるのです。
そうすれば、ピアノの鍵盤のファを主音とするヘ長調は、移動ドの人にとって、立派な長調のドレミファソラシドになります。
ですからヘ長調は4番目の音(ピアノの鍵盤のシの音)を半音下げる(♭)にすることによって、ドレミファソラシドへ変えることができるのです。

一方、ピアノの鍵盤のソの音を主音とするト長調はどうなるでしょうか?
白鍵だけで音階を叩くと、長長短長長短長となります。これを長調のドレミファソラシドに変えるためには6番目の音と7番目の音の”短”を”長”に変えればいいのです。具体的にはピアノの鍵盤の7番目の音(ファ)を♯で半音上げてみましょう。そうすれば、7番目と8番目の”長”も自動的に”短”となり、長長短長長長短となります。
よってト長調は7番目の音(ピアノの鍵盤のファの音)を半音上げる(♯)にすることによって、立派なドレミファソラシドとなります。

さて、ここまで真剣に読んでくださった方はもうお分かりでしょう。レ♯とミ♭の違いが分かりましたか?ドレミファソラシドをという音階を作る時に上げる(♯)か下げる(♭)かによって決まってくるのです。
ヘ長調でピアノの鍵盤のシの音を半音下げてシ♭にすることによってドレミファソラシドを作りますが、決してラ♯ではありません。ラの音が2つ重なってしまいますので。
ト長調でピアノの鍵盤のファの音を半音上げてファ♯にすることによってドレミファソラシドを作りますが、決してソ♭ではありませんよね?
要するに、音楽で♯にするか♭にするかというのは、その音階をドレミファソラシドにするために半音上げるか半音下げるかで決まってくるのです。
(ちょっと乱暴な言い方ですし、和音の構成等をもっと説明しなければなりませんが、まあ間違ってはいないでしょう)

こんなに長くなってしまったのはきっと私の説明が下手だからでしょう。きっともっともっとシンプルで分かりやすい説明の仕方があるはずです。すみません。
ともかく、高伊床鍬菜依田衛門さん、分かっていただけましたか?
レ♯とミ♭が同じと気づく高伊床鍬菜依田衛門さんなら分かって下さったはずです。

そうそう、短調についてはまた後日。ふーっつ。
by hikari-kozuki | 2005-11-29 20:16 | Comments(7)
Commented by 高伊床鍬菜依田衛門 at 2005-11-29 21:16 x
高伊床鍬菜依田衛門です。ご丁寧にありがとうございました。

つまり、基本は、白鍵で、へ長調の場合は、白鍵で「ファソラシドレミ」と弾くと、ドレミファソラシに聴こえないので「ファソラシbドレミ」となり「フォソララ#ドレミ」とは表記しない。ト長調も白鍵で「ソラシドレミファ」と弾くと、ドレミファソラシに聴こえないので「ソラシドレミファ#」となり「ソラシドレミソb」と表記しない・・・ということでしょうか。

なるほど、ヘ長調の楽譜は、bが一個で、シの位置にあり、ト長調の楽譜では、#が一個で、ファの位置にある意味がわかりました。

とまれ、幼稚な質問に回答して頂きまことにありがとうございました。
Commented by daimi at 2005-11-29 22:06 x
高伊床鍬菜依田衛門様

ちなみに、弦楽器では#と♭は微妙に区別して弾くことがあります。
鍵盤楽器と違いまして、弦楽器は1ミリ押さえる場所が違うと音が違いますので、例えば「ここのレ#は低めに、こっちのミ♭は高めに」ということも可能なのです。
より綺麗な音階、和音のために「ちょと低めに音程とってください」など指揮者からオーダー入ることがあります。

ちなみに、#や♭が5つも6つもあったりすると演奏するのは面倒ですが、調によってイメージできる感じが違ってきちゃうので仕方がないのです。

最近の水戸黄門のテーマ、調が大昔と比べて変わっているのにお気づきですか?昔はハ短調だったはずですが、ホ短調になっているのです。友人は「ハ短調だからこそ、苦難を感じるのに」と大変不満の様子。私は絶対音感を持っていないのですが、きっと上月先生も同じご意見でしょうね。

話がそれましたが、交響曲などは#と♭が入り乱れ、しかし、わけあって表記されています。この辺は上月先生に更に解説していただきましょう。

上月先生、よろしくお願いしま~っす!
Commented by takaitoko@hidak at 2005-11-30 08:46 x
daimiさん。ご丁寧にありがとうございます。

弦楽器に関しての#とbの解説、個人的にギターを弾くのでとてもよくわかります。特に、チューニングの際、チューナー(チューニングメーター)を使う場合は良いのですが、音叉を使う場合、なかなか、思うようにチューニングできない場合があります。
Commented by とん at 2005-12-01 19:53 x
両方あるのは きっと 便利だからだな
Commented at 2005-12-01 20:00 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 谷  玉惠 at 2005-12-09 15:49 x
♯と♭の関係感動して読みました。素晴らしい読み応えで、かつ、よく分かりました。理論的で、今更ながらなるほどでした。すご~い!!
Commented by hikari-kozuki at 2005-12-09 19:10
それは良かったです。今後もドンドン勉強しましょうね。歌のために!
<< ♯と♭ その2 渡辺一世ピアノリサイタル >>






Copyright © 1997-2004 Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved.
免責事項 - ヘルプ - エキサイトをスタ-トペ-ジに | BB.excite | Woman.excite | エキサイト ホーム