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渡辺一世ピアノリサイタル
報告が遅くなってしまいましたが、11月19日(土)に渡辺一世ピアノリサイタルへ行ってきました。場所はサントリーホールの小劇場でした。
演目は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番「熱情」。そして、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」というプログラム。普通のコンサートとはちょっと違うものでとても楽しいものでした。
まず、プログラムに書いてあったのですが、プログラム最初の「熱情」の1楽章と2楽章のあとに2~3分の休憩を入れる、とのこと。これはちょっとだけ遅刻してしまった人たち向けの非常に優しい措置で、その間に席に着いて下さいという合図なのです。
ちょっと気難しいクラシックファンや関係者であれば、「熱情」の1楽章の2楽章の間にそんなに休憩を入れたらベートーヴェンの音楽が壊れる、とか、遅刻する方が悪いのになぜそんなことをするのか!と言いそうですが、私は渡辺氏の優しさと細かな気遣いに感心しきりでした。

そしてムソルグスキーの「展覧会の絵」。
この曲は一般的には「ボレロ」で有名なラヴェルによる管弦楽へ編曲したものの方が有名で、実際の演奏回数も格段に多いでしょう。しかし、その原曲を書いたのはロシア5人組の1人、ムソルグスキーのピアノ組曲なのです。
この作品は広く知られていることですが、ムソルグスキーの親友の画家、ガルトマンが若くして急死してしまったため、彼の遺族のための展覧会(オークション)を開き、その時のさまざまな絵の印象をピアノ組曲にまとめたものです。

渡辺氏は、プログラムにハルトマンの原画の幾つかを紹介し、しかも演奏会では、渡辺氏自ら1曲ずつ、曲や絵の説明をしながら演奏会を進めていきました。
そのトークたるやピアニストにしておくにはもったいないほど(失礼!)。ほとんど原稿などを読むこともなく、分かりやすく、しかもユーモアたっぷりに。これほど面白い演奏会は滅多にありませんでした。
また、もちろんピアノの方もBravo!
ラヴェルのオケ版と違って、ロシアの大地の匂いを濃厚に感じさせるピアノ原曲版を、ロシアのピアニストのように弾いてくれました。壮大なプロムナードから始まり、時に軽快に、時に沈鬱に、時に優しく、時に厳しく、展覧会場を進んでいきます。光と影のコントラストを明確に弾き分けて、しかもロシアを感じさせるという素晴らしいものでした。

彼の固定のファンがたくさんいるというのは良く分かります。
またぜひコンサートに足を運びたいピアニストが増えました。
by hikari-kozuki | 2005-11-28 19:28 | Comments(0)
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