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バイエルン国立歌劇場の「ファルスタッフ」
さて、これがウィーン、ミュンヘンラウンドの最後の演目になりますが、7月3日(日)の「ファルスタッフ」です。昨日の「オテロ」が片手落ちになってしまったので、今日はキッチリ。
キャストは以下の通りでした。

指揮:ズビン・メータ
演出:アイケ・グラムス
ファルスタッフ(バリトン):アンブロージョ・マエストリ
フォード(バリトン):サイモン・キーンリーサイド
フェントン(テノール):ライナー・トロスト
アリーチェ(ソプラノ):アニヤ・ハルテロス
ナンネッタ(ソプラノ):チェン・レイス
クイックリー夫人(メッツォ):マリアーナ・リポヴシェク
メグ・ページ夫人(メッツォ):アン-カトリン・ナイドゥ
カイウス(テノール):ウルリッヒ・レス
バルドルフォ(テノール):アンソニー・ミー
ピストーラ(バス):アナトーリ・コチェルガ

まず演出ですが、舞台の中央に巨大な円盤を置き、その円盤を回転させることにひょって物語を進行させます。そして舞台はすべてこの円盤上ということになります。
そしてこのアイディアはとても面白かったと思います。

1幕2場の男声チーム4人と女声チーム5人9重唱のシーンは、中央に1本、円盤周りに7本のポールを建て、それを洗濯紐とシーツをぶらさげることによって舞台を7等分する舞台。この舞台を回転させ、歌手たちはシーツの間を縫って逆周りに早歩きしながらこの歌いますが、円盤をドンドン高速回転させることによって、とてもテンポ感が良くなり、このシーンにピッタリでした。また、この9重唱の合間のフェントンとナンネッタの逢引シーンも、とてもシーツを上手く使っていたと思います。

2幕フィナーレの洗濯籠に隠れたファルスタッフがテームズ河に投げ捨てられるかの有名なシーンでは、円盤の手前に落とされた瞬間、舞台一面に青の幕が現れ、それによって海底を表します。そして、ファルスタッフがその中を吊り上げられて、海底に沈んで行くシーンもとてもユニークでダイナミックでした。

さて歌手陣です。
まずタイトルロールのアンブロージョ・マエストリ。
先日のサン・カルロ劇場来日公演では「トロヴァトーレ」のルーナ伯爵をやりましたが、1本調子で表現力も乏しくやや”でくの坊”的な感じでした。このブログでもそのように言ったと思います。
しかし、このファルスタッフ役は素晴らしい!コミカルな演技、ドラマティックで良く鳴る声、緩急使い分けた歌い回し、どれを取っても良かったです。ディスカウ、ブルゾン、ファン・ポンスなどに続くファルスタッフ歌いとして、今後2~30年は、彼がいればこの役は大丈夫でしょう。
でも、ルーナ伯爵よりもファルスタッフの方が遥かに難役だと思うのですが...。とても不思議です。

次にフォード役のサイモン・キーンリーサイド。彼は幅広いレパートリーを持ちますが、このやきもち焼きの役も上手く、演技の確かさ、ブリランテな高音などはさすがでした。
フェントン役のライナー・トロスト。この類のリリコ・レッジェーロの役をやらせたらさすがに上手いですが、年齢的にはちょっと無理があるかも知れません。

女性陣4人中3人はスタイルも良く美人で、4人の中ではややブッファのクイックリー夫人役のメッツォ、マリアーナ・リポヴシェクとの対比が面白かった。私は今まで彼女のシリアスな役しか見たことありませんでしたが、コミカルな演技もかなり上手い!
プリマのアリーチェ(フォード夫人)役は、アニヤ・ハルテロスで決して悪くはありませんが、ちょっと軟口蓋が硬い感じで、声がくぐもってしまうことが度々ありました。
ナンネッタ役のチェン・レイスはとにかく凄い美人なのです!!このイスラエル人は、レッジェーロなソプラノで、これから必ず出てくる歌手でしょう。

このアンサンブルオペラは、指揮者の統率力がなければ悲惨なことになってしまいます。しかし、さすがはメータで、オケも歌手も良く引っ張っていました。
by hikari-kozuki | 2005-08-16 13:26 | Comments(4)
Commented by daimi at 2005-08-17 00:18 x
おお!昨日とはエライ違いですね^^;
余程ご満足なさったものと推察いたします。
・・・クーラめ!でもある意味
VTRかなにかで裏切り(?)クーラを観てみたい気がします。
ライヴは結構です。勿体無いから。
Commented by hikari-kozuki at 2005-08-18 10:35
何十年に1人の逸材ということは間違いありません。決してベルカントではありませんが、あれだけの声を持っている人は本当に稀です。
Commented by chiaki at 2006-03-04 04:48 x
初めましてです。2005年7月3日ですよね。
代役たってFord役はZeljko Lucicでした。
Commented by hikari-kozuki at 2006-03-07 17:52
chiakiさん、おっしゃる通り、Fordは代役でルチッチでしたね。
大変失礼致しました。どこかで見たキーンリーサイドのファルスタッフとコンジャンクションしてしまったものと思われます。
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