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ウィーン国立歌劇場の「パルジファル」
6月30日はいよいよシーズン最後の日です。毎年、特別なキャストが集められ、華やかにシーズンを終了します。今年の演目に選ばれたのはワグナー最後の楽劇「パルジファル」。正確には楽劇ではなく、ワグナー自身は舞台神聖祝典劇と言っています。彼が自分で建てたバイロイト祝祭劇場の音響に合わせて書いた作品で、完成度は高いですが、とくに有名なアリアのようなものや見せ場も少なく、しかも休憩を含めると5時間を遥かに超えてしまいます。

当夜集合した歌手陣はタイトルロールのテノールに天下のプラシド・ドミンゴ、クンドリーにヴァルトラウト・マイアー、グルネマンツにフランツ・ヨーゼフ・ゼーリッヒという豪華な面々。アンフォルタスは予定ではトーマス・ハンプソンだったところが、ファルク・シュトルックマンに変わりましたが、彼の出来も素晴らしいもので、ハンプソンよりも良かったのでは、と言われるほど。ワグナーのスペシャリスト達が揃うと、このように素晴らしい舞台になるという証明のようなステージとなりました。そして、オケが優秀であることが、このオペラ成功の最大のポイントということを再認識しました。
特にドミンゴが、ウィーン国立歌劇場では最後のフルオペラへの出演となる、という噂が流れたため、ウィーンっこたちは、いやがおうにも盛り上がりました。またこのキャストでの公演は2回だけだったため、チケットは大変なプレミアチケットとなり、ブラックマーケットでは凄い金額で取引きがあったそうです。

このプロダクションは去年の4月にプレミエ上演されたもので、女流演出家クリスティーネ・ミーリッツによるもの。救済思想そのものを否定し、3幕フィナーレでグラールの聖杯は割られてしまうのです。彼女も物議を醸し出すのが得意ですが、当夜は千秋楽ということもあったのか、特にブーイングもなく、大喝采で幕となりました。

バイロイトの風習となっている1幕終了後の拍手の禁止も、ほんの数名の聴衆から拍手が起きましたが、すかさずうるさいワグネリアンたちから待ち構えていたように「シー!シー!」と警告を受けていたのが面白かったです。

来シーズンは、9月1日に「魔笛」で開幕します。
by hikari-kozuki | 2005-07-21 19:42 | Comments(0)
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