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初めまして。
昨日、ウィーン在住のテノール歌手水口聡氏とイヴェントの打ち合わせをして、その後、一緒に飲みました。現在、新国立劇場で公演中のオペラ「マクベス」のマクダフ役で来日していますが、彼は大学の2年先輩ですので、もう20年以上の付き合いということになります。学生時代は明るめの声で良く鳴るバリトンでしたが、今は貴重なスピント系のテノールです。オーストリア、ドイツを中心に世界中で活躍していますが、頑張って欲しいものです。

その時に、彼から音名の「ドレミ」の意味って分かる?と聞かれました。イタリア語で、かつラテン語であることは知っていますが、意味は分からないですね、と答えると、すべて聖書から来ていて、意味があるとのことなのです。彼も知らないのですが...。これを正確に説明できる人は世界に1人しかいなく、その人はウィーン国立音楽大学の教授だったのですが、死んでしまったそうです。ド(Do)は、ラテン語のDomine(主よ、の意味)かなあ?とか話し合って盛り上がりました。

ところで日本でも一般的に使われている音名のドレミファソレシドがイタリア語(もしくはラテン語)ということはみなさんご存知でしょうか?Do・Re・Mi・Fa・Sol・La・Si・Doとなりますので、ソの音は正確には、ソルとなります。
英語ではCDEFGABCとなり、日本語ではハニホヘトイロハととなります。
しかし、我々クラシックの世界では、ドイツ語が主流となります。ドイツ語の場合、ツェー・デー・エー・エフ・ゲー・アー、ハー、ツェーとなりますが、ドイツ語を全く知らない人でもどこかで聞いたことがありませんか?芸能人とか音楽業界の人が、ツェー・デー・エーを数字の1、2、3に置き換えて、好んで使っています。例えば1万円のことはツェーマン、5千円のことはゲーセンとなるのです。最近ではもう死語なのかも知れませんけど。

さて、音名の世界共通語がなぜドイツ語なのでしょうか?
みなさんが小学校の音楽の授業で習ったハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ブラームス、ワグナー等、中世以降音楽の世界の大作曲家にドイツ人(もしくはドイツ語圏)が多かったこともあるでしょう。そして歴史的にみてヨーロッパの君臨したハプスブルグ家の影響もあるでしょう。

しかし、1番大きな理由は、半音の変化が簡単で使いやすいからです。
英語、イタリア語などは変化の言葉を後に付けますが、ドイツ語は言葉自体が変化します。

たとえば、ドのシャープ(♯・半音上がる記号)の場合、英語ではシー・シャープ(C-sharp)、イタリア語ではド・ディエジス(Do-diesis)と長いのに対して、ドイツ語はツィス(Cis)と非常に簡単です。
レのフラット(♭・半音下がる記号)の場合、英語ではディー・フラット(D-flat)、イタリア語ではレ・ベモッレ(Re-bemolle)ですが、ドイツ語はDes(デス)だけです。

ちなみにド・シャープ、レ・フラットなど日本では当たり前に使われていますが、本来は、イタリア語と英語のチャンポンなので、言語的には間違っています。

最後に日本語の場合、言葉の前に変化記号を付け、ド・シャープは嬰ハ、レ・フラットは変ニとなり、結構短くて便利ですが、クラシック全盛の頃鎖国をしていた日本が世界のスタンダードになれるはずがありません。

なんだか話が楽典の講義みたいになってしまって失礼いたしました。
by hikari-kozuki | 2005-01-20 17:50 | Comments(9)
Commented by ともさま at 2005-01-29 20:23 x
ドはドジのド。レはレンコンのレ。ミはミミズのミ。ファはファミレスのファ。ソはソバカスのソ。ラはラッキョウのラ。シはシミッタレのシ。ドはドウデモイイー。いやー替え歌作りって難いです。光社長の日記は格調が高すぎてこんなことしかコメント書けません。こんなコメントなら書かない方がいいですね。すいません。削除しちゃって下さい。ごめんなさい。
Commented by hikari-kozuki at 2005-01-31 10:26
格調なんて高くありませんよ。どうぞ何でもご意見ください。
Commented by baldhatter at 2005-10-21 13:06 x
# 記号のことを調べていて、今日の記事を拝見いたしました。まったく分野外の者ですが、たいへん興味深く読ませていただいたので、拙 Blog にて記事の一部を引用させていただきました。事後連絡となりますが、ご快諾いただければ幸いです。
Commented by hikari-kozuki at 2005-10-21 17:26
もちろん構いません。ご報告ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
Commented by 高伊床鍬菜依田衛門 at 2005-11-26 15:53 x
広島市在住の高伊床鍬菜依田衛門です。

シャープとフラットの意味を知りたくて飛んできました。(^^♪
ところで「イタリア語と英語のチャンポン」というのは具体的には、どのようなことなのでしょうか?(頭が悪くてすみません)
Commented by hikari-kozuki at 2005-11-28 18:13
音楽用語でいうところのシャープとフラットの意味は分かりますか?シャープが半音上がる、フラットが半音下がるという意味で、もちろん2つとも英語です。一方、ドレミファソラシドという音階名はイタリア語です。ですので、”ド・シャープ”とか”ミ・フラット”というのはイタリア語と英語のチャンポンになってしまっているのです。ただし、これらの使い方は日本では非常に一般的で、音楽の授業でも、巷のオケや合唱でも普通に使われています。

しかし、そのことに目くじらを立てるつもりは毛頭なく、皆さんが使い安いならそれを変える必要はまったくないでしょう。世の中に言語がチャンポンになっていることなど、山ほどありますから。
Commented by 高伊床鍬菜依田衛門 at 2005-11-29 14:20 x
広島市在住の高伊床鍬菜依田衛門です。

ありがとうございます。シャープ(#)とフラット(b)は英語で、ドレミファソラシドという音階名がイタリア語というのは、わかりましたが、例えば、レ#(レの半音上)とミb(ミの半音下)というのは同じ音ですが、なぜ、#とbを使い分けるのでしょう?乱暴な言い方ですが、bが無くても良いような気がしますが?
Commented by ネコ at 2005-12-05 18:47 x
質問です。
どうして日本の学校教育では
和名の「はにほへといろは」があまり使われず、
「ドレミファソラシド」がよく使われているのでしょうか?
よろしくお願いします。
Commented by hikari-kozuki at 2005-12-05 20:25
戦争中は”はにほへといろは”だったらしいです。
なぜドレミになったかは分かりませんが、言いにくいからでしょう。そして、ドレミの方が世界のスタンダードだからなのだと思います。音楽用語のほとんどはドイツ語かイタリア語ですので、その中の1つとしてドレミが世界に普及していったのでしょう。世界に通じる音楽教育をと考えたら、日本の文部省も当然”はにほへといろは”ではダメだと思ったのでしょうね。
そして日本の音楽教育のほとんどは、西洋音楽による教育ですので、”はにほへといろは”では言葉がFitしませんね。

現在このは”はにほへといろは”が残っているのは調性を表す時くらいでしょうか?ハ長調、ハ短調、ト長調、変ロ短調...。なぜ調性を表すものだけ残っているんでしょうかね?多分これは言いやすくて簡単だからだと思います。

クラシックの世界では、音名も調性もドイツ語で言いますが、例えば、ハ長調は、C-Dur(ツェー・ドゥアー)となります。一方、ドレミの国イタリアであれば、ハ長調は、Do-maggiore(ド・マッジョーレ)となります。これは、ハ長調の方が簡単ですね。
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