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1月11日(月)彩の国さいたま芸術劇場大ホール「魔笛」
このオペラは、埼玉オペラ協会の本公演で10日、11日の両日にダブルキャストにて上演されたが、私は11日の方のみを見に行きました。主役クラスの5~6人の歌手たちは、それぞれに良く健闘していて穴がなく、アンサンブルという点でも練習に裏打ちされた安定感がありました。指揮の北原幸男も東京ニューシティー管を良く統率し、全体の水準は高かったと思います。唯一あまり感心できなかったのは演出でした。なるほどと思うところも何箇所かありましたが、意味が分からないところ、取ってつけたようなところ、変な風にセリフを換えたところが多く、一言で言えば中途半端な舞台でした。

例えば冒頭、タミーノが大蛇に襲われ気を失っているところを侍女3人が助けるというシーンでは、実際には大蛇は出て来ず、大蛇の幻覚に悩まされているタミーノを3人の侍女が注射を打って落ち着かせるという演出でした。麻薬が世界的に蔓延している今日、注射やドラッグを登場させるという演出は非常にありがちでヨーロッパではもはや使い古された手法という印象です。初対面の寝ている王子に注射を打つなんてことがあり得ますか?もしかしたら予算の都合上大蛇まで経費が廻らなかっただけなのかも知れませんが、それでももっとやりようはあったと思います。
また、パパゲーナを狂言回しの役とし、オペラの前半から何度も登場させましたが、どれも取ってつけたような凡庸なセリフばかりで、ほとんど意味をなしていませんでした。パパゲーノに冒頭からパパゲーナに会いたい会いたいと連呼させるのも、本来のストーリー的にはあり得ません。これらは普段あまりオペラに触れる機会の無いお客さんたちに分かりやすくするための手法なのかも知れませんが、あまりに子供だましです。まあもっともっと酷く不愉快な「魔笛」の演出もたくさん見てきましたので、これ以上言いませんが、非常に中途半端な印象でした。

さて当日のキャストには昔からの友人がたくさん出演していました。まずパパゲーノの笹倉直也。大学1年からの親友ですが、大病を2度までも煩い、2度の大手術をして、これが復活のステージとなりました。すっかり
痩せてしまったので、最後まで体力が持つか心配しましたが、動きの激しいパパゲーノであったにも関わらず見事にやり遂げ、見ている方がジーンときてしまいました。弁者と武士の竹野宏一も大学からの友人ですが、彼も相変わらず良く鳴る力強い声を聞かせてくれました。タミーノの山本義人さんは、去年のプラハのモーツァルトのレクイエムのツアーでも大変お世話になりましたが、素晴らしい美声の持ち主で、ファンの方たちが大挙して応援に来ていました。また、この埼玉オペラ協会の会長の池本和憲は、大学の門下も同じ親友で、今回は歌いませんでしたが、素晴らしいテノールです。会長としてこの公演の成功のためにさぞ苦労をしたことと思いますが、公演の成功おめでとうございます。
by hikari-kozuki | 2010-01-19 18:08 | Opera | Comments(0)
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