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ザルツブルク音楽祭2009 第4回
今日は祝祭大劇場で行われた8月17日のアンナ・ネトレプコのリサイタルを。
この演奏会は、リサイタルではなく、リーダー・アーベント(歌曲の夕べ)のシリーズで行われたものですので、オペラのアリアなどは1曲もなく、20曲すべてが歌曲。しかも、彼女の母国ロシアの偉大な作曲家リムスキー=コルサホフとチャイコフスキーのロシア語の歌曲だけという珍しいものでした。私が不勉強なため、知っている曲は数曲しかなく、しかも言葉の意味がほとんど分からないという状況の中でしたが、ネトレプコの表現力、歌唱力は素晴らしく、ステージに引き込まれ、あっという間に終わってしまいました。

「スパシーバ」(ありがとう)くらいしかしらない私がロシア語を語るのはおこがましいですが、印象的には暗くて深くてしかも曖昧、という感じです。しかし、そんなロシア語はネトレプコの声にピッタリだと思うのです。もちろん母国語ですのでネイティヴに聞こえるのは当たり前ですが、やはり彼女の声はイタリア語よりもロシア語の方がフィットするようです。

ところでザルツブルクから帰国後の9月末にMETライブビューイングでネトレプコの「ランメルモールのルチア」を見ました。これの収録は今年の2月だったので、ザルツブルクの方が半年後になりますが、この時の彼女の印象は、妊娠前よりはだいぶふっくらした感じで、特に顔が丸くなった感じでした。また、声も去年、一昨年の全盛時に比べると劣っている感じはどうしても否めませんでした。以前のようにコントロールが利かないようで、力任せで声を太く当てすぎている感じでした。また、前述のようにイタリア語の不明瞭さも気になりました。1幕のアリア(正確にはカヴァティーナで、”あたりは暗闇に閉ざされ”)あたりは、あれあれ、大丈夫かな?という感じでしたが、徐々に良くなっては行ったと思います。このルチアという役、ベルカント・ソプラノの中でもコロラトゥーラがやることが多いですが、ドラマティックに歌う必要があるところも多く、やはり難役なのです。Cの上のDやEsはさすがにバッチリ出していましたが、Cのちょっと下のBやHあたりで、声を伸ばしている途中、ちょっとひっかかるような、ごく短く途切れてしまうところが何箇所かあったのです。

しかし、ザルツブルクでは全然そんな現象はまったくありませんでしたので、もうすっかり出産前の状態に戻っているのでしょう。それにしても相変わらずザルツブルクのお客さんたちはネトレプコが大好きのようで、今回のチケットもかなり取りづらく、「フィガロの結婚」「椿姫」ほどではありませんでしたが、プレミアチケットとして高額で販売されていたようです。もちろん終わった後は、スタンディングオベーションの大喝采です。

そうそう、大事なことを忘れていました。
この日の伴奏は、ダニエル・バレンボイム。最近はもうすっかり指揮者としてカリスマになってしまいましたが、やはり彼のピアノは素晴らしい!もちろんピアノ曲のソロも良いのですが、このようなリートの伴奏でも、ネトレプコの歌の伴奏を邪魔することなく、しかもメリハリの効いた演奏で、よりいっそうネトレプコを引き立てるかのようです。表現力、タッチの正確さはやはり世界最高峰の技術で、やはり私は指揮よりもピアノの方が好きです。
by hikari-kozuki | 2009-11-02 12:25 | Concert | Comments(3)
Commented by nkayo at 2009-11-08 11:17 x
はじめてコメントさせていただきます。
ザルツブルグでお目にかかり(行きが同じ飛行機でした^^)ネトレプコのチケットが当日まで取れなかった者です^^;;
でも当日になってキャンセルチケットが出て、1階中央のとても良いお席で聴くことが出来てとてもうれしかったです♪おっしゃる通り、ネトレプコはロシア語の歌曲合っていましたね。そして私もバレンボイムは指揮よりピアノの方が良いと実感しました。(ミラノ・スカラ座来日公演を聴いて^^;;)私が到着した初日の内田光子さん伴奏でコジェナのリートもとても良かったですよ!またどこかでお目にかかれますことを楽しみにしています^^
Commented by hikari-kozuki at 2009-11-18 15:07
nkayoさん、こんにちは。
もちろん覚えていますよ。ウィーンの空港で乗り継ぎの時にご一緒だった方ですね!!マエストロ・ムーティがお好きと言っていらっしゃった。
ネトレプコのチケット、取れて良かったですね。確か他のオペラの時にも平土間1列目の中央でご覧になっていらっしゃいませんでしたか?

またどこかでお会いしましょうね。
Commented by hikari-kozuki at 2009-11-18 15:09
nkayoさん、確かモーゼの方にも投稿して頂いていたような気がするのですが、間違えて消してしまったようです。お手数ですが、再送して頂くことは可能でしょうか?
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