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皆さん、シルバーウィークは如何お過ごしでしたか?
私の場合、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆休み等、日本人が休むべき時期は残念ながらほとんど日本にいませんので、ここ数年、まとめて休んだ記憶がまったくありませんが、このシルバーウィークは久々に日本にいて、家族と一緒に三重県の方へ行き、ゆっくりしていました。 さて9月も終わるというのに7月のコンサートというのも間抜けな話ですが、今日も前回の続きで6月以降の演奏会のレポートを。 7月11日(土)津田ホール 二期会ゴールデンコンサート「小山由美×愛」 日本を代表するメッツォ・ソプラノ、小山由美ですが、バイロイト音楽祭に5年連続出演するなど、まさに脂の乗った感があります。彼女は、ドイツもののイメージが強いですが、この日のプログラムは、「愛」をテーマに世界中の歌曲を集めたもので、サブタイトルは、「私の密かに愛する名曲。」とありました。 作曲家を挙げると、バッハ、ハイドン、シューベルト、メンデルスゾーン、リスト、マーラー、マスネ、ドビュッシー、プーランク、メシアン、ヘルフェルト、ダルゴムィジスキー、グリンカ、チャイコフスキー、ラフマニノフ、リムスキー=コルサコフと、国も時代も百花繚乱というものでした。 残念ながら次の演奏会があって、前半しか聞くことが出来なかったのですが、朗々たる美声は低音から高音までムラがなく、安定感抜群。加えて表現力に富んだ歌唱力は、単に声の魅力だけではなく、一流歌手というものがどのようなものかということを示してくれるかのようです。 7月11日(土)江東区文化センターホール 江東オペラ「フィガロの結婚」 この江東オペラは、去年も「カルメン」を見に行きました。江東オペラのように、アマチュアの方々がオーケストラや合唱団を編成し、ソリストはプロの歌手が歌うというオペラの形態はドンドン増えてきているようですね。つい先日も新宿区民オペラで「オテロ」を見またばかりです。江東オペラは年に数回の公演を行うという、非常に活発な活動をしている団体のようです。それにしても、このようにアマチュアの方が合唱団の一員としてオペラに出演するという決して簡単なことではありません。単に歌うだけでなく、当然暗譜もしなければなりませんし、演技をしたり、踊ったりしなければならないのですから。「フィガロの結婚」の場合、合唱は、活躍の場面は少なく、それほど難易度も高くありませんが、前述の「オテロ」や「カルメン」は本当に大変だと思います。しかし、アマチュアの方でもこのような形でプロの方々と一緒に本格的なオペラに出演できるというのは素晴らしいことで、病み付きになってしまう気持ちも分かります。老後の趣味が見つからない方はぜひ如何ですか? さて当日のことですが、アルマヴィーヴァ伯爵は私の友人、山口邦明でした。今までイタリアオペラばかりをやってきた彼としてはモーツァルトは未知の世界で(いくらリブレットがイタリア語でも)、レチタティーヴォなど、かなり硬さが感じられました。しかし、幕を追うごとに良くなって行き、最後の方はかなり良かったと思います。他の出演者方々には申し訳ありませんが、細かいところはほとんど忘れてしまいました。やはり8月にザルツブルク音楽祭で見た「フィガロの結婚」が強烈な印象だったので、そのせいだと思われます。 7月26日(日)浜離宮ホール「ベルカントによる声の競艶」 名テノール田口興輔に師事する門下生たちによるガラコンサートだったが、強烈な印象を受けた記憶があります。このコンサートを見る限り、田口興輔の教えは、こじんまりとまとめることなく、多少ザラザラしていてもとにかく喉を鳴らして大きな声を出すというもので、イタリアの本物の発声に非常に近いと思われます。故疋田生次郎先生を思い出しました。そういえば田口興輔も疋田先生の教えを受けた1人だったような気がします。こうやって師から弟子へ発声が受け継がれていくというのは素晴らしいことです。このコンサートも友人の山口邦明が出演していましたが、フィガロとは違い得意のジャンルであるヴェルディを2曲歌いました。1つは「仮面舞踏会」のレナートの名アリア「おまえこそ、心を汚すもの」、そして「ドン・カルロ」から1幕冒頭のカルロとロドリーゴの情熱的な2重唱「われらの魂に友情と希望を」でした。2曲とも良く当たったポジションで滑らかでしかも良く通る声を響かせていました。他に印象に残ったのは、浅原孝夫、与儀巧という2人のテノール、そしてソプラノの佐藤篤子とメッツォの金子直美。2人のテノールは、とにかく声が良く当たっていて、少々浅すぎるような感じもしますが、スケールの大きさを感じさせます。2人ともまだ若いようなので、将来が楽しみです。ソプラノの佐藤篤子は、最初、「椿姫」ヴィオレッタのアリア”ああ、そはかの人は~花から花へ~を歌ったのですが、最初スピント系の深く重いくらいの感じだったのに、そのままのポジションで後半のコロラトゥーラまで歌いきってしまうという常識的には考えられないような声の持ち主でした。 7月30日(木)第一生命ホール「宮本益光のはじめのいっぽ」 このコンサートは、第一生命がライフサイクルコンサートと銘打って、平日の昼間(しかも午前中の11時半開演!)に安いチケット代金で、気軽にクラシックに触れてもらおうというコンサート・シリーズです。しかし、いくらチケット代金が安いと言っても、出演するアーティストは一流ばかりで、実にお得なコンサートです。普段クラシックに触れる機会に少ない方にも気軽に足を運んでもらおうという企画は素晴らしいものです。最初はコンサートのタイトルから考えて、しかも夏休みということもあるので子供たちが対象にコンサートかな、と思ったのですが、実際には年配の方の方が多いくらいででした。 この日はバリトンの宮本益光とピアノの加藤昌則のゴールデン・コンビ。宮本益光はこのブログでも何度も紹介してきましたが、素晴らしいバリトン歌手というだけなく、マルチプルな才能を持つクラシック界の逸材です。この日も絶妙なトークを交えて、あっという間に歌いきってしまいました。ピアノの加藤昌則とは芸大時代からの同級生で、息もぴったり。作曲家としても活躍中の加藤昌則に即興で作曲をさせて盛り上げるなど、エンターテイメントしても普通のコンサートとは一線を画するもので、1,500円の入場料は安すぎます!
by hikari-kozuki
| 2009-09-24 18:02
| Opera&Concert
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【筆者のプロフィール】 上月光 (KOZUKI,Hikari) 株式会社ラテーザ代表取締役社長。音楽評論家。青山女声合唱団団長、指導者。六本木男声合唱団倶楽部バリトンメンバー。ロイヤルチェンバーオーケストラ相談役、評議員。武蔵野音楽大学声楽科卒業。バリトン。趣味ゴルフ、スポーツ観戦等。熱狂的なACミランのファン(ミラニスタ) 【リンク】 六本木男声合唱団倶楽部 株式会社ラテーザ ピアニスト一世オフィシャルサイト 加圧トレーニングジムスイートアズ カテゴリ
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