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ミラノ・スカラ座4月29日「放蕩者のなりゆき」
「火の鳥」や「春の祭典」など大編成の管弦楽曲でで知られるストラヴィンスキーですが、この「放蕩者のなりゆき」は、20世紀のオペラの中でも最も重要な地位を占める作品として知られています。この作品が彼にとって最後のオペラとなりましたが、他の作品はほとんどが1幕オペラばかりなので、唯一の長編オペラとも呼べる作品なのです。当時ロシアを亡命し、ハリウッドに住んでいた彼は、1948年から作曲を始め、1951年に本人の指揮により、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場で初演され、大成功を収めました。

この作品は、英語の台本で、主役のテノール、トム・レイクウェルがほぼ出ずっぱりの難役のため、最近は、なかなか演奏機会に恵まれません。特にこの役を十八番としていたアメリカ人テノールのジェリー・ハドリーが2年前にライフルで自殺してしまっため、テノールの人材不足が最大の原因かと思われます。私も彼のトム役はザルツブルク音楽祭とウィーン国立歌劇場で見ましたが、見事な演技力と憂いがあってアクートの強い声の持ち主でした。

さて、今回のトム役は、まだ31歳の若いイギリス人テノール、アンドリューケネディーでした。まだ若く、ほとんどがイギリスでしか歌っていないためあまり期待はしていなかったのですが、かなり良かったと思います。演技力という点ではまたハドリーには及ばないものの、声は音量豊かな美声で将来有望です。これでこの作品も上演回数が増えることでしょう。恋人役のアン、エンマ・ベルもイギリス人の若いソプラノですが、彼女も非常に有望なソプラノで、堂々と歌っていました。脇を占めるニック・シャドウ役のバリトン、ウィリアム・シメル、トゥルーラブ役のバス、ロバート・ロイドと当夜はイギリス人歌手ばかりとなりましたが、さすがはスカラ座のキャスティングという感じでした。
by hikari-kozuki | 2009-05-13 17:10 | Opera | Comments(0)
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