エキサイトイズム

ル・コルビュジエ以前の工業デザイン

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パリで滞在した家
住み手のイザベル、そしてパートナーのフレッドは
ふたりともそれぞれアントレプレナー(起業家)だ。

もちろんバブルな事業家ということではなく、
それぞれの価値観にかなった
自分サイズの仕事をつくりあげている。

フレッドが手がけているのは
コルビュジエが生きていた頃、
またはそれ以前の
工業デザインを復刻する仕事。
イザベルは別のライフスタイル系の
セレクトブランドを立ち上げ中だ。

ご存じの通り、フランスの建築史、工業デザイン史に置ける
コルビュジェの役割は大きい。
逆に言えばそれ以前は、フランスは
アートとデコの生活文化の中で、
機能的で合理的なものは「デザイン」として
認知されていなかったのだと思う。

しかしだからこそ、「デザイン」として
認知されてない、
さまざまな名作があるとフレッドは気づいた。
すでに製造停止になっているプロダクトを掘り出し、
彼は有志とともに復刻権を得て、蘇らせている。

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その一つがこの照明。
コルビジェの事務所で彼が愛用していた、
一見、なんてことはない実用的な照明。
けれどもアームの部分に
球とワイヤーをつかって、360°動くようにしている。
GRAS lampeという。

そしていまフレッドが売り出し中なのは
ジュリアン・アンリ・ポルシェが
1927年にデザインしたチェア「surpil」
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フランスのカフェや公共施設で
当たり前のように使われているから
「デザイン」として認識もされていなかったこの椅子を
彼が復刻。
今後も暮らしの中の当たり前の道具として
時代でいえばマルセル・ブロイヤーのころだ。

座にはダビデの星のような穴があり、
屋外でも水がたまらない、かつこの穴の配置には
きっと意味があったのでは、と私は想像する。

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この椅子は彼らの家のいたるところにある。
ダイニングで食事用に使われたり
2人の娘のデスクやイザベラのワークスペースに。
パンを切る小さなキッチンデスクの傍らに、
そして猫の居場所に。
そのデザインは潔く簡素である。

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右奥の古びたような、生き物のようなソファは
ザハ・ハディドのデザインだ。
犬、猫、こどもも座りまくり、のぼりまくり。
日本だったら、きりきりしてしまうだろうに
ここはキズがつくまま、汚れるまま。
その味わいがすごい。
モダンデザインと近代の工業意匠、
そしてアンティークや無名のデザインが
この空間で調和する。


パリはまだまだミッドセンチュリー以降の
モダンデザインが太刀打ちできる街ではないのでは、
と感じた。
アート、デコレーション、文学、哲学、そして歴史。
深みある重厚なものに価値がおかれる。

そういう意味では北欧やドイツは
モダンデザインをいち早く社会に取り入れ、
イタリアは柔軟に情熱的に
モダンデザインを楽しんでいる。

パリがおくれているということではなく、
ある意味、パリがすごすぎる。
デザインショップの数やデザインイベントの有無で
「パリはデザインシティはない」と断言することは、
少なくとも今の私にはできない。

それは数々のブランドキッチンのパリショールームを見ても、
思ったことだった(これは後述)。


※どちらも日本ですでに販売中で、
照明の詳細はこちらにすでに執筆
コルビジェが愛したランプ、復刻される
by kitchen-kokoro | 2011-02-23 19:53 | 海外キッチン | Comments(0)

キッチンジャ―ナリスト、エディター&ライターとして編集や取材執筆にたずさわる、本間美紀のブログです。キッチン、暮らし、インテリア、住まい、食、デザインをつなぎます。
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