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![]() あっという間に4月も過ぎ、いよいよ10日間の長いGW突入へ。みなさまどのようにお過ごしの予定でしょうか。 やっと映画を一本観るくらいの余裕ができたので、何を観ようかなと迷い……選んだのは「バイス」でした。正解だったかですって?まあ、以下をお読みください。 1960年代初頭、とある家庭で繰り広げられる夫婦喧嘩から物語は始まる。 何をやってもいまひとつ、ヤケ酒の末、飲酒運転で捕まったディック(クリスチャン・ベール演じる、将来のディック・チェイニー。元副大統領)に、妻リン(エイミー・アダムス)がかみつくシーン。 I'm sorry, Lynnie.(ごめんね、リニー)と酔いつぶれながらもひたすら謝るディック。しかし飲酒運転で捕まるのはこれが初めてではなかった。 Two times makes me think that I picked the wrong man.(二度目ともなると、私は夫選びを完全に間違ったと思えてくるのよ)とリニー(リンの愛称)。 このpick the wrong man(相手を間違った)というのは当時ならでの意味がある。女性は今ほど社会進出の機会がなく、専業主婦が当たり前だった時代。どんなに優秀でも、アイビーリーグに入ったり、会社経営者や市長になる道は閉ざされていたのだ。出世しそうな男を捕まえること(pick the right man)が、唯一女性が成功する道だった。 I won't ever disappoint you again, Lynne.(もう二度と君をがっかりさせないよ、リン)とディック。(*I won't disappoint you.「今後はあなたの期待にそうよう頑張ります」というフレーズはよく使われる) このときから、ディックの快進撃は始まる。妻の期待に応えるため、猛烈に政界で頭角を現していく。ラムズフェルド、ニクソン、フォード、それらの大物に影のように寄り添いながら影響力を広げ、一度はビジネスの世界に入るが、最後はジョージ・W・ブッシュに副大統領の椅子をオファーされるまでになる。 このブッシュ(サム・ロックウェル)が傑作。卑屈な笑い方、軽薄な雰囲気(少し過剰演出だけど……)があまりにも似ていて、観ている人は吹き出しそうになってしまう。 I want you to be my VP. You're the solution to my problem.(副大統領になってほしい。君しか僕を助けられないんだ)とブッシュ。(VP=vice president。viceには「副」という意味のほかに「悪」という意味も!) その頃、心臓病を患っていたディック・チェイニー。妻のリンはもうこれ以上夫の出世を望んでいなかった。しかしこれこそが、男性ならではの権威やパワーへの執着なのか、ディックは要請を断らない。 そして、その後世界がどのように暗黒の道をたどり始めたかは、みなさんご存じですよね。9/11、イラクへの軍事介入、テロの応酬、分断と憎みあい…… 最後に、この映画を私なりに総括しますとー 飽きさせないテンポと筋書きの風刺コメディです。監督もさすがだが、主役のベール、アダムスに加え、脇を固める役者たちがほんとうに上手い。ただし、現実とリンクしているので、最後はちょっぴり暗い気持ちになるかもしれませんが…… GWに何を観るか迷っている方、以上が参考になれば幸いです。 みなさま、どうぞよいGWを!! __ ◎相も変わらず、宣伝させていただいています! ●『伝わる英語 5つの鉄則』(コスモピア) ●『英語を話せる人 勉強しても話せない人 たった1つの違い』(青春出版社) ●『誤訳ゼロトレーニング』(秀和システム) ★いつものお知らせ: 〇フェイスブックに別のブログを掲載しています。TAS & コンサルティングをクリックしてください(フォロー大歓迎!) 〇本ブログの人気者(?)ウニちゃんのインスタグラムはこちらから→@shibaunimus ○2016年に「プレジデントウーマン10月号」に掲載されたインタビュー記事。 〇『何でも英語で言ってみる!シンプル英語フレーズ2000』(高橋書店)は、現在発行部数22万部を超えています。
by kerigarbo
| 2019-04-25 17:40
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Comments(2)
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Keri先生
はじめまして。Internet surfingをやっていたら、私自身も英語と関係する仕事をしている関係上、貴ブログに遭遇し、貴投稿の本筋とは関係ないことで非常に申し訳ないと思いますが、Keri先生が書いていらっしゃった「Viceには悪という意味があります」という下りに反応させて頂きます。かなり以前Miami Viceという映画を観たことがあり、これにはとても引き付けられました。その数年後、所要でフロリダ州マイアミに行く機会があり、3泊しました。最後の日は仕事がなく暇だったので、マイアミ港から出ていた観光船に乗りマイアミ港Cruisingを楽しみました。港に帰った時、それまで目に入らなかったOpen Counter Barを見つけて港を背にして座り、目の前にあったお品書きを見るとMiami ViceというCocktailがあるのを発見して迷わずそれを注文しました。とても美味しく、そして夕食前だったこともあり、酔いが回り陶然としました。貴投稿でそれを思い出しました。 ところでMimi ViceはBacardiを基本として、Pineapple juice、Fresh lime juice、Coconut cream、Giffard Crème de Fraise des Bois liqueurを入れ混ぜ合わせて作ります。 もしマイアミに行かれる機会があったら、ぜひマイアミ港に接しているOpen Counter Barを訪れてMiami Viceを飲んで、マイアミ悪徳の味を堪能なさってみて下さい :-)
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Tomi Walkerさま、長い間、本コメントに気づかず大変申し訳ありません。たった今、承認させていただきました!マイアミでMiami Viceというカクテルを召し上がったとのこと、材料をお聞きしただけでも美味しそうですね。来月またアメリカに行くので(マイアミではなく、LAですが)、もしLA Vice(?)のような飲み物を見つけたら試してみます。素敵なコメントをありがとうございました!
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【Keri先生のプロフィール】
光藤京子(みつふじきょうこ) 語学・翻訳関連の執筆家・コンサルタント(TAS & コンサルティング)。通訳翻訳、大学講師の経験を生かした書籍を数多く出版。ロングセラーに『何でも英語で言ってみる!シンプル英語フレーズ2000』(高橋書店)、『英日日英 プロが教える基礎からの翻訳スキル』(共著、三修社)。最新書に『決定版 英語スピーキング100本ノック』(コスモピア) お気に入りブログ
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