前編はこちら


陽が出たり隠れたり。釣れなくてもいいなあ。ここにいるだけで良いのだ。
僕の相手をしてくれるのは、20cmにも満たない小さな魚と止めどない水の音だけ。もうそれで十分。ここでは、つけっぱなしのテレビも、無駄遣いのコンビニも、洒落たセレクトショップも、増えすぎた映画館も、お金もお世辞もいらない。魚と水の音で全てが満たされる。四六時中都会にいたら、それはそれで特に何も考えずに24時間が過ぎていく。でもこうして時々出かける事で自分には自分だけの大切な時間がちゃんとあることに気付ける。神様が人間を創造したのはすごいけど、次にすごいのは魚と川を作ったことだ。なにもいらないので、釣れなくてもいいので、神様仏様、今日は一日を48時間にしてください。





って、欲張らないと、ほいっと釣れるんですね、これが。管理渓流らしい過保護な容姿のヤマメです。無事に冬を越してくれるかな。

流れのむこうがわへ魚を脅かさないように静かにキャスティング。たぶん、この瞬間をフライフィッシャー誰しもが自分で、「俺は今、きっとブラピになっている」と思っているはず。ここはJapanなのでブラピのようなバカでかい大魚は釣れませんが。
前回と今回の釣りに使った竿（ロッド）は、4年くらい前に竹竿職人に作ってもらった。今はグラファイトやカーボン（化学繊維素材）が主流だけど、昔ながらの工法で職人が手をかけたバンブーロッドを一本はほしかった。
頑張って大枚はたいて、竹の色味やラインの色、数、デザインを自分で決めて製作してもらった自分スペシャル。手作りの品特有の美しさと、竹の繊細な柔らかさと粘りがお気に入りの一本。

このロッドを自宅でシコシコ磨く度に、奥様からきつい目線を食らう。（いったいそれ、いくらしたのよ！）と無言で言っている。それは内緒です。もう時効です。
実を言うと、このボルボXC60のモニターに当選した事も、電話口で第一報を受けたのは奥様だったが、それでも信じていないようで、「当たったとかいって、買ったんじゃないの！？」とか言われた。夫婦の信頼とは、銀河系の構成よりもよっぽど複雑なものである。

管理河川だけど、今日はとても良い釣りができたと思う。

こんな道路際に何時間停めても、グリーンベレー・デジカメ隊がやってこない平和な土地である。やっぱり田舎に引っ越そうかな。
簡単に、「農家をやる」なんて言えない根性無し現代人だけど、都会の暮らしで消費ばかりしていることに、最近は色々考えてしまう。日々、消費消費の連続である。遊ぶ＝入場料、休日＝ショッピングモール、家＝テレビ、食事＝ファミレス。何から何まで、右から左へ消費してゆく生活。消費するために、日々働いている。これはなんだろうか。必要な消費は避けられないのは仕方がない。でも少しだけでも消費社会から距離をおき、なにか生産性のある生活をしていきたい。今は、子供と野菜を作ってみたい。自分達の食べるものを、土を耕して自分で育ててみたい。週末農家の流行にのるような、甘えん坊な考えだが、月に一度でもいいから、そういう場所を作りたい。子供達にもそれを継続的にやらせたい。「使う」ことの前に、「産み出す」ことを子供に教えたい。自分も一緒に学びたい。

とはいえ、野菜作りのことなんて何も知らない。超初心者なので、こんなアマチュア雑誌を読みながら色々勉強している最中です。まるで釣りの道具カタログを眺めるように、こんなに大根を食い入るように眺めたことは初めてです（笑）
まさか大根がマイブームになるとは。
近い将来、小さな自分達の畑を持てることを楽しみにしています。XC60のリアキャビンに、大根やらサツマイモやらが土だらけで満載になっているのも結構似合うと思うけど。



今週のレポート終わり。