その昔の大蛇山は300年を越す伝統を引き継ぐ六山しかありませんでした。六つの神社と地域とが古の伝統と言い伝えに基づき大蛇山を護って来た訳です。
ですから我々の様に大蛇山を持たない地区の子は大蛇山祭りを観るだけ…乗りたい、法被が着て太鼓や鐘を叩きたい…と憧れと羨望の眼差しで大蛇を見ていたものです。
その熱い想いが形となって新しい大蛇山が各地区で製作される様になり、一日目は伝統の六山が集まって競演し巡行(巡航)し、雅な美しさと激しさを競い、二日目は新しい伝統を作ろう!という十五山が街中から大集合してそのパフォーマンスや大蛇の豪華さを競います。
ただ、僕が昔から想うのは、どこの祭りの山車にも引けを取らない大蛇山という珍しく絢爛豪華な山車を大牟田市民のみの小さな祭りで終わらせてはならないし、勿体無い!!と言う事です。
大牟田市民も市役所も会議所も各神社も全部が一丸となって、外へ広げて行く事にパワーを使わなければ!と想う訳です。
日本各地の祭りや行事に呼んで戴く中で大蛇山の魅力を再認識しましたし、今年、25年振りに観た大蛇山は子供の頃の楽しかった思い出が拡大して頭の中で作り上げた幻想ではなく、遥かにそれを超えるモノであった事と確信できました。
古き良き伝統に新しい息吹を纏った大蛇がそれぞれの特色や良い所を伸ばしながら、見に来て戴いた方々に感動を与えて欲しい!と願うのであります。
一見、あいまみえないものを融合させ更に発展させて行く…僕はそんなお手伝い、媒介になりたいのです。
このデカい大蛇が練り歩く壮大さや激しさ、夜の大蛇山競演の美しさ古絵巻はYouTubeにアップしていますが到底、映像などでは全然伝わりません。僕も司会も歌も忘れて大蛇山の行列に見入っていました…勇ましく美しい。
今回は参加する大蛇山がない所に、港祭りで活躍する県堺大蛇山の皆様が「うちに来いや!」と撮影にもご協力を戴き、屋根の上に乗り花火を持ち後舵(大蛇の尻尾)も煽らせて戴き、あり得ない事を実現させて戴きました。すれ違う仲間たちの山車からも温かい声掛けを頂き、沿道からもご声援を頂き、観る者、参加する者が一体となった海や炭鉱の街の人間の心意気や気遣いをしみじみ感じました。
いつか街に恩返しして大蛇山と炭鉱と歴史遺産の街、大牟田に帰り、この町の土に還りたいと強く願っています。来年も港祭りから大蛇山祭り、そして花火大会まで…ずっと参加したいです。
来年も全国のinfix familyの皆さん、市民の皆さんと全国に羽ばたく大牟田大蛇山祭りにすべく、第51回から新しい気持ちで地域振興、町おこしを発信して行くお手伝いがしたいと願っています。
未だに光煌めく雄壮豪華な大蛇山の山車や行き交う人々の笑顔、出逢ったお世話になった方々の笑顔が頭から離れません。お世話になった皆様、本当に有り難うございました。
この秋にまた皆さんとお会い出来れば幸いです。
infix vocal 長友仍世