ロンドンに行きたい。僕の人生、生き方をも決定付けた
映画「小さな恋のメロディ」眩しい究極の映像美と
それを彩るBEEGEESのあくまでも透き通った音楽。
小学校4年か5年か、将来の夢が「絶対」!になった瞬間。
僕の人生のバイブルがこのレコードと本です。
レコードもCD、ビデオ、DVD、レア物ポスター、
全てを何種類も揃えて大切に持っています。
それは、、小学生のある夜のこと。
たまたま親の帰りが遅く、日頃は見る事もない
日曜洋画劇場。そこで放送されたのが本国の英国より日本で
大ブレイクしていた「小さな恋のメロディ」だった。
これを純愛、純粋無垢と呼ばすして何と言うか?
天使のようなマークレスター、この世のものとは
想えないトレイシーハイドの美しさ。人は
何故に恋をして、愛してそして一緒に居たいのか?
小学生の二人は友人に見守られて結婚式をあげる。
おとぎ話のようなストーリーに酔った。
日本中が恋をした!と言われたのが良く分かる。
お洒落なロンドンの景色をバックに展開される
小学生の純粋な恋。汚れない朝つゆの様な、
この世の美を切り取った映像と音楽の調和。
雷にうたれた様な熱病に侵された様になった。
翌日にはレコード店でサントラを買った。
初めて買う洋楽のレコード。
ジャケットを見ただけで記憶が甦りときめいた。
当時、ジャクソンファイブで活躍していた
彼らと同年代のマイケルジャクソンがわざわざ
ロンドンのマークに会いに行き生涯、死の間際まで
交流を持ったのも頷ける話しです。
この日から僕の恋人はトレイシーハイドになった。
レコードが擦りきれるほどBEEGEESの曲を聴いて
コーラスやストリングス、美しい声とメロディに酔った。
それを分析もして耳コピーした。
分からない英語を訳して意味を勉強した。
それが50歳を過ぎた今もinfixのコーラスワークや
アレンジにそのまま生きています。
こんなサウンドを奏でて歌いたい!と想った。
こういう作品に出会いその音楽を担当したい!と
子供ながらに想い願った。
人にほんの一瞬訪れる青春のほんのひとときの
美しい瞬間を切り取ったこの作品が全てになった。
マークレスターに会いたい…
トレイシーハイドに会いたい…
ジャックワイルドに会いたい…
ロンドンに行きたい、イギリスに…このロケ地を
この目で実際に観たい。
今もこのロケ地の一部は残っていて、
この映画のファンの方々のブログやSNSに
よく登場します。メロディーが金魚と遊ぶ
STREETの馬の水飲み場、二人がデートする墓地。
学校として使われた建物。
この映画の中のその場所に行きたい。
熱病に侵された少年の一生の夢になった。
後にデビューしプロになり、ロンドンでの
レコーディングの話しが何度も浮上した。
憧れ続けたロンドン!夢にまで見たロンドン!
しかし、なんとぉ~!
その頃の僕は飛行機という
乗り物がダメになり乗っても4時間が限界。
それ以上はパニック発作を起こすくらい飛行機がダメ。
会社のお金で、しかもBEEGEESもビートルズも
ローリングストーンズもレコーディングした
ロンドンのスタジオ!
一生の夢なのに体がついて行かない。
何度も向こうからやって来たロンドン行きの切符。
僕はそれをことごとくダメにした。
今思えば最高の愚行である。死んでも行け!だ。
当時20代だったフレッシュなスタッフが
追い求め表現しようとした恋と真実の愛のかたち。
愛って何だい? 恋ってなんだい?
夢って、友情って何だい?
大人に問いかける永遠の課題。
この映画はBEEGEESの「IN THE MORNING」から始まる。
ロンドンの朝の、夜明けの景色から。
その歌詞に沿って美しいロンドンの街が映し出され
ハイドパークやレンガの建物や朝日が
この世の清々しさを照らす。
まさに曲に合わせて脚本が掛かれた映画と言われている。
生のBEEGEESのコンサートを横浜アリーナで
メンバー全員と観たよ。一生で一回きり生コンサート。
もう3兄弟の長男、バリー・ギブしか生きていない。
ロビンもモーリスもその後に若くして急逝した。
今の僕と同じ年齢で天国へ。
だからあのハーモニーをもう生で聴く事は出来ない。
ライブが一回きりの一期一会といつも言う背景に
そんな個人的な残念な想いがあるからです。
レコードを子供ながらに買いまくった
憧れの人たちはもう居ない…。

この子供たちだけのままごとのような結婚式のあと、
主人公の二人はトロッコをこいでどこまでも真っ直ぐ伸びた
線路を未来へと走って行くのです。
それこそおとぎ話でしょう。
でもその先には何もない。それは誰もが分かってる。
しかし、みんなが未来を感じたからこの映画は
日本で大爆発ヒットしたのだと思います。
今では当たり前のブレザーの制服や自由な
イングランドの雰囲気にみんな憧れていた。
映画のラスト、最後はクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング
というスーパースターのユニットの名曲
「
Teach Your Children」でしめくくられている。
ハーモニーやメッセージソングの神的存在でもあります。
CSN&Yのコンサートも運よく観に行く事が出来ました。

でも誰もがテレビCMやBGMで一度は耳にした事のある
「若葉の頃」の歌詞のように、時は確かに駆け足で
去って行きました。
時は待ってはくれない。
「まだ自分が子供でクリスマスツリーがとても大きく感じた頃。
でも時は無情に過ぎ去って僕らは大人になり
大きかったクリスマスツリーが小さくなってしまった…。
その訳を聞かないで、時が足早に去って行っただけ。」
大切な何かがてのひらからすり抜けて行くように
季節は廻り、いろんなものが変わって行く。
誰のせいでもない、当たり前のことに気づき涙する。
オーンショー役、子役としてブレイクしたジャックワイルド、
もう彼も60歳を前に亡くなってこの世にはいない。
会う事も彼の新作をスクリーンで観ることも、もうない。

何度も訪れるチャンスのあったロンドン。
知人で「ロンドンへ行こう」とう曲を書いた音楽家の先輩も
そのロンドンへ行く前に天国に旅立ちました。
それも20代で。僕らも20代、人生これからという時。
よしんばロンドンに行く機会が欲しい。
僕の人生を決めたイギリスに。
全ては命のあるうちに、、。
レコーディングしたいなんて大そうな事は望まない。
ただ、この画像に収められた場所でそこにしか無い
空気をその場所で感じてみたいのです。
僕の個人的な今の一番の夢。
「小さな夢のMelody」です…。
ながともじょうせい