お仕事からの帰り道。
夜7時前。
”夕方”が、片足を”夜”に突っ込んだくらいの時間帯。
一人暮らしのアパートの近く。
各駅停車しか止まらない、小さな駅。
その、プラットホームの一番はじっこ。
ただえさえ、お客さんが少ない駅。ホームのはしっこなんて、誰もいない。
そこに立つ、高校生のふたり。
男の子と、女の子。
女の子は、泣いてた。
男の子は、短髪の頭をかいて、困った顔をして。
いったい、ふたりの間でどんなことがあったんだろう。
フラれちゃったのかな。それとも、ケンカでもしたのかな。
この恋の思い出を、ふたりはどんなふうにして、抱きしめていくんだろう?
どんなふうにして、忘れていくんだろう?
ふたりの本当の物語は、まったく知る由もないけど。
ただ、たぶんそれは、俺が作る曲なんかよりも、ずっとピュアで、ずっと深いもので。
そんな物語には、かなわないな。
だけど、本当の物語を懸命に歩いている、彼らにつながる曲を、書いていたい。
いきものがかりとして、俺が書けるもの。
うん。
とても、とても。
難しい。