Excite イズム Excite
都市生活者のためのライフスタイルマガジン

ロンドン五輪公式計時最高責任者フルツラー氏にインタビュー

ロンドン五輪公式計時最高責任者フルツラー氏にインタビュー_f0039351_15331398.jpg

ロンドン五輪開幕も迫り、出場アスリートにまつわる情報などが連日のように報道されています。

そこで今回は、先のロンドン五輪取材でインタビューに答えてくれたロンドン五輪公式計時の責任者であるOMEGAオリンピックマネージャーのフルツラー氏の見解をお送りします。

Q:今回初めて導入するシステムは?
A(フルツラー氏 以下同):オリンピックに導入する全てのシステムは、事前に最低1年間はテストする必要があります。こちらの陸上用のスターティングシステムでは、オリンピックに初めて導入するモデルです。去年発表されて、使用されてきています。

Q:トライアル期間ですね。
A:はい。

Q:その間、何か不具合は? それとも計算通り?
A:すべてが計算通りでした。ほんの少し調整が必要でしたが、実質的にはほとんどパーフェクトといってよいでしょう。

Q:素晴らしいですね。
A:まあ、正直申し上げると、今回の全てのシステムの完成に7年間を費やしているんですよ。すべての電気系、機械、ソフトウェアなどを変える必要があったためです。まったく新しいシステムを作る必要がありましてね。五輪の公式計時システムの構築には、これくらい(約7年間)時間がかかることもあるんです。

Q:五輪計時のエキスパートである天下のオメガさんでも?
A:そうですね。
ロンドン五輪公式計時最高責任者フルツラー氏にインタビュー_f0039351_15345976.jpg

Q:現在直面している問題点について教えてください。
A:色々な問題があります、小さいもの、大きいもの。小さいと思って取り組むと、ミスすることになるんですよ。だから、どんな問題でも平等に時間をかけて真剣に検証する必要があります。
ロンドン五輪公式計時最高責任者フルツラー氏にインタビュー_f0039351_15355782.jpg

Q:あなたの長いキャリアの中で思い出深い出来事はありますか?
A:たくさんありますよ、オリンピックに関して。でも、いままで誰にも話したことがないのは、100Mバタフライの事です。まず200Mバタフライがあります。  

その時の1位はドイツのミヒャエル・グロス、2位はアメリカのマット・ビオンディでした。彼らは100Mの決勝にも出てきました。みな、彼らのどちらかが勝つと思っていました。テレビも、ほぼ彼らのレーンにフォーカスして放送されていました。しかし、時計が止まった時、競技に勝ったのは1レーンの人だったのです。0.01秒差での優勝でした。しかし、これはあまり話題にならなかったので、私は正直驚きました。

この、0.01秒差での勝敗は、北京五輪でも起こりました。この時は、間違いじゃないかという非難の声が沢山あがりましたが、我々はその結果が正しい事を証明してみせたのです。

でも、´88年の時は、全然に話題にならなかったのですよ。

Q:マイケル・フェルプスの事ですか?
A:はい、北京五輪ではそうです。ですが、その前の、88年の五輪の0.01秒の勝敗があったことを知っている人は少ないでしょう。

北京のその結果に対して非難が激しかったのは、ニューヨークタイムズ(新聞)です。一面で大きな記事を書きたてました。アメリカの選手が勝つべきだったという内容ですね。しかし1日たって、水中での写真が公開され、計測が正しかったことが証明されました。
たぶん1mmほどの差でしょう。我々にとっては素晴らしい出来事でしたよ、タイムキーピングという仕事が日の目を見た瞬間です。この出来事を機に、オメガが公式のタイムキーパーであることの意味が証明されたのですから。
ロンドン五輪公式計時最高責任者フルツラー氏にインタビュー_f0039351_15394260.jpg

Q:オメガのタイムキーピングプロジェクトにおける、分岐点となるような出来事・技術はありましたか?
A:オリンピックは、回を重ねるごとに大きなイベントに成長し、複雑になってきています。最初にタイムキーピングを手掛けたのは1932年のオリンピックです。
その当時、一人の職人が、32個の時計を作りました。そして、4年後の1936年のベルリンではすでに157個の時計に数が増えました、一人の職人です。今日では、430人のスタッフが、380トンの資料を元に仕事をしています。いかにこの分野が成長を遂げてきたかわかるでしょう。

Q:いつを境に大きな変化がありまたか? 10年前でしょうか、20年前でしょうか?
A: 北京の時のスタッフは420人、アテネは300人以上でした。
現在はタイムキーピングだけをしてるわけではありません。陸上競技では、われわれのスタッフの仕事の様子が競技場でご覧いただけるでしょう(陸上競技用スターティング・ブロックや、プール用タッチパッドなど、タイムキーピング以外でもオメガが計測を手掛けるシステムがそこかしこに見られる)

Q:誰もが注目する100M走の時、あなたはどこで観戦しますか?
A:わかりません。タイムキーピングルームにも居ませんよ。北京の時もいませんでした。新聞などで結果はわかりますから。100m走にはあまり興味がありません、他の競技を見てたんですかね、たぶん。
ロンドン五輪公式計時最高責任者フルツラー氏にインタビュー_f0039351_15405698.jpg

Q:あなたにとって、時間と時計とは何ですか? どのようにしてご自身の時計を選ばれるのか。
A:私にとって時計は、時間を測るものではありません。時計は私にとっては宝石(アクセサリー)です。新しいモデル、美しい時計をしていることを誇りに感じます。特に男性にとってはですね。なぜなら(女性と違って)他のアクセサリーはあまりできませんから。
時間測定については、それはよく受ける質問なんです。(相対性理論を出すまでもなく)楽しい時間は早く過ぎていきますが、例えば歯医者の椅子に座っている時、時間の流れは遅いです。時間を止めることは不可能です。

Q:なぜこの仕事に就こうと思われたんですか?
A:随分前の話です。69年に時間測定システムが主な仕事の、工学研究部門に入りました。当時16人のスタッフがいました。そして、現在のスタッフの数は165人です。それはスイスの部門で、ドイツにも同じくらいの数(160人)のスタッフがいます。すべてタイムキーピングのスタッフです。全てのデベロッパー(スタッフ)は、タイムキーピングについて学ばないといけないのです。

Q:タイムキーパーでいらっしゃるご自身は待ち合わせを厳守される方ですか?
A:はい。
ロンドン五輪公式計時最高責任者フルツラー氏にインタビュー_f0039351_154222.jpg

Q:、ロンドン五輪でいくつの世界記録がでると予想されますか?
A:難しい質問です。1つの世界記録、10個の世界記録、素晴らしいものです、しかし、最後に私が行ったローマの水泳の世界選手権では、毎日、3~5個の世界記録が連発しました。それはあまりよくありません。なぜなら新しい世界記録の影で、過去の世界記録保持者は栄光を失うからです。そして、最近の新しいスイム・スーツの導入のせいで、新しい世界記録の望みは難しくなりました。ですから、あまり期待できないでしょう。陸上に関しては、長距離は牽引者がいないので、期待できません。
by ism-watch | 2012-06-13 15:43 | OMEGA
<< ウルクハート社長:五輪計時、オ... ジラール・ペルゴがRJCより認... >>

松田朗
フリージャーナリスト
プロフィール
プレミアム腕時計の新製品情報。名作や限定モノなども紹介します。
カテゴリ
全体
BEST新宿 ISHIDA
ISHIDA
シェルマン
アンティークの魅力
OMEGA
ROLEX
RADO
HAMILTON ハミルトン
ROLEX正規品専門店レキシア銀座
Porsche Design
安心堂
宝石の八神
カミネ
アイアイイスズ
フィリップ・デュフォー
HF-AGE
タグ・ホイヤー
パテック フィリップ
IWC
アラン・シルベスタイン
ジャン・ルソー
ウブロ
クエルボ・イ・ソブリノス
美しいストーリー
AJHH
グラスヒュッテ・オリジナル
スピーク・マリン
SEIKO
A.ランゲ&ゾーネ
ユリス・ナルダン
パネライ
バーゼル・ワールドSIHH2008
ロジェ・デュブイ
ベル&ロス
U-BOAT
ブライトリング
ジャガー・ルクルト
Fコレクション
モーリス・ラクロア
貴人館
SWATCH
ジャケ・ドロー
オーデマ ピゲ
BALL
松本零士
TiCTAC
銀座菊水
アントワーヌ・プレジウソ
Cartier カルティエ
PIAGET ピアジェ
ファーブル・ルーバ
ダイナースクラブカード
独立時計師
エベル
モーリス・ラクロア
COURTS AND HACKETT
ヌベオ NUBEO
ユーロパッション
ルイ・エラール
SIHH2010
ヴァン クリーフ&アーペル
f.collection
バーゼル・ワールド
ブランパン
Baby-G
リシャール・ミル
サン・フレイム
ZEPPLIN
ノーブルスタイリング
sihh
モンブラン
バルマン
IKEPOD
oomiya
フランク・ミュラー
ck カルバン・クライン ウォッチ
グラハム
ブレゲ
ホテルラスイート神戸
シャネル
バーゼルワールド2012
ガガ・ミラノ
オーデマピゲ
ジラール・ペルゴ
キューバシガー
ボーム&メルシエ
コルム
cuba
ショパール
松本零士
ゼニス
ラルフ・ローレン
フォルティス
ブルガリ
エポス
ロンジン
WEMPE
ジャケ・ドロー
Sinn
社長の時計
あの人の時計が視たい
バシュロン・コンスタンタン
エルメネスト・ゼニア
バーゼルワールド2015
サントノーレ
カレライカレラ
SUNTO
F1フォーミュラー1
以前の記事
タグ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧