モンブラン工房で感極まる
きょうは、ジュラ山脈の渓谷にある小さな村、ヴィルレのモンブランの工房を訪れました。
モンブランの工房ですから大工場をイメージされる方もいるかも知れません。が、元は名門ミネルヴァのムーブメント工房で、いにしえからの技術、工具、技術者の血筋などを継承。総勢37人の小さな、けれども広大無辺の力を有する工房です。
オリジナルトゥールビヨンの開発から組み上げまでおこなうこちらではなんと、ヒゲゼンマイまで作っています。時計に詳しい方ならわかりますが、通常考えられないことです。ほかの大メーカーはほぼ、膨大なコストがかかり、作ることも難しいこのパーツはサプライヤーから購入してます。自社で作っているのはパテック.フィリップやロレックスなどほんの一握りです。
ご覧の機械で素材に緩くテンションをかけながら、ゆっくり、気が遠くなるほどゆっくり、ベース素材を作り、さらに緩く逆テンションをかけて素材をストレスから開放します。
四本を同時に一人の女性がピンセットで一つのゼンマイに組み上げます。
完成品を今度は、大ベテランの女性が、手作業でバランスを取ります。繊細で気が遠くなる作業。スイスでも既に、この技術継承者はごく少数です。
歩留まり、コストといった視点から、ビッグブランドであるモンブランが、なぜここまでやるのか。
打ち震えるほどの感動をおぼえました。
恐るべしモンブラン。
モンブラン、恐るべし。