バーゼル・ワールド2009 1/トーマス プレシャー

スイス第二の都市、バーゼル市において、世界時計博〈バーゼル・ワールド2009〉が開幕。今年は3月26日(木)から4月2日(木)にわたって開催されます。
メイン会場を入り、入り口を背に奥まで向かい、エスカレーターで上がって連絡通路を渡るとそこには、メーカーに属さず独自のアイディアをかたちとする独立時計師たちの連合ブース〈AHCI〉(アカデミー)があります。大手メゾンのコンプリケーション(複雑時計)を、黒子となって開発した方もいますし、フランク・ミュラー、アントワーヌ・プレジウソのようにブランド化した方も。スイスの時計の聖地、ジュウ渓谷にアトリエを構え、伝統技術を継承しながら、ほぼすべての部分を手作り、〈シンプリシティ〉という名作の次作の発表が待たれているフィリップ・デュフォー(上の写真)もこちらにいます。
世界の金融情勢がどうあれ、物づくりに歓びを見出す達人たちの情熱は変わりません。毎年、こちらのブースでデュフォー氏にお目にかかり、第一声をかけて頂く瞬間に、長旅の疲れなどは吹き飛んでしまいます。

さて、写真のモデルは、AHCI所属のトーマス・プレシャーのニューモデルです。フライングトリプルアクシストゥールビヨンの発明者である氏が新たに開発。キャリッジにコンスタントフォース機構を使用した腕時計で、すべてを手作業によりエングレービングしたムーブメント、豪華なグレーロジウム・ダイヤル、燃えるような赤色の針を有しています。なお氏のトゥールビヨンはすべて、ユーザーの要望に応じて製作する、一点ものとなります。
このトリプルアクシス トゥールビヨンは、パワーリザーブが36時間、ケースは18Kゴールドまたはプラチナ。ムーブメントのすべての部品、ダイヤル、ハンド、ケースは自社開発し、製作されます。
トーマス プレシャー
〈トリプルアクシス トゥールビヨン
レギュレーター スポーツ〉
·フライングトゥールビヨン構造 (軸はすべてフライング方式)
· 自社で設計し製造したムーブメント3W6A.3
·キャリッジ内にコンスタントフォース機構を使用した最初の腕時計用トリプルアクシストゥールビヨン
·トゥールビヨンは特殊な形状にのびているアームに固定されていて、アームは弾性で押し出す仕組み。
【ムーブメントのデータ】
直径 37 mm
厚さ 6,46 mm
部品数 327
最小のねじの重量 0.0009 g
石数 47 Rubine
振動数 21.600 回/時 (3 Hz)
バレル数 2
地板と受け 地板は真鍮Ms58Pb2、ムーブ側は手でエングレービング、金メッキ
テンプ 銅ベリリウム合金 CuBe2
ヒゲゼンマイ 平ヒゲ
パワーリザーブ 40 時間
小文字板の数 2
表示 時、分、秒
軸数 2
トゥールビヨン回転の高さ 12.2 mm
第1軸の回転数 1回/分
第2軸の回転数 1回/分
第3軸の回転数 1回/時
コンスタントフォース機構 トゥールビヨンキャリッジの第1軸
コンスタントフォースのシステム ジャネレの慣性質量を加速する機構
コンスタントフォースによるトルクの供給 6 回/秒
テンプの直径 9,5 mm
キャリッジの直径 13,4 mm
第1軸の重量 0,347 g
第1軸と第2軸の総重量 0,766 g
軸受を含む第1軸、第2軸、第3軸の総重量 2,879 g
石の配置
第1軸
テンプ 5
脱進機 4
コンスタントフォース 4
軸 2
第2軸
アーム 2
減速装置 2
第3軸
駆動装置 4
位置決め機構 4
ムーブメント
時間表示システム 10
駆動機構 10
ケース
ケース 純度95%のプラチナまたはK18ゴールド
ガラス 表面、裏面ともドーム型サファイアガラス、ガラスの両面反射防止加工
ケースの大きさ 直径43 mm
文字板 1,2 mmの純銀、手で施したギョーシエ彫りの三角形模様
インデックス K18 ゴールド
ドーフィン針 K18 ゴールド
ブランド名とシリアルナンバーを手彫りしたプレートK18 ゴールド
ケース厚さ 16,1 mm
防水性 1 ATM (10 Meter)
ストラップ 表革も裏革も手で裁断し縫製した
アリゲーター
尾錠 純度95%のプラチナまたはK18ゴールド