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フォルバーグ、そしてNASAの写真映像  アートと科学が共存する「はじめての宇宙の歩き方」展

ー清里フォトアートミュージアムで11月26日まで開催中ー

 日々のあわただしさの中で、「いま」自分が生きている「この場所」が宇宙に浮かぶ地球という「惑星」の一角なのだということを実感できる人がどのくらいいることだろう。そんな実感覚をつかの間でも取り戻したい人は、この写真展を訪れてみるといい。

 「はじめての宇宙の歩き方」―タイトルこそ軽妙で、ちょっとパロディっぽい響きがあるが、展示内容はきわめてシリアス。NASA提供の写真や「すばる望遠鏡」で撮影された映像と、ニール・フォルバーグ、デイヴィッド・マリンという2人の写真家の作品、大きく4つの展示で構成されている。

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ニール・フォルバーグ「射手座」2000年
(c)Neil Folberg


なかでもフォルバーグの作品は点数も多く、この展覧会の中核をなすものともいえそうだ。厳密にいえば、天体写真ではない。天体をモチーフとした風景写真とでもいうのだろうか。静謐なモノクロームによる作品の多くは、地上の風景と背景の星空をそれぞれ別のフィルムで撮影し、それにデジタル処理を加えて一枚に融合したネガを、暗室でプリントするという手の込んだプロセスを経ている。つまり宇宙を「記録」したものではなく、「表現」した作品といえる。

地上の舞台はイスラエルなど、シナイ半島の各所。古代の神殿遺跡やオリーブの巨木や森をバックに燦然たる星座が輝く様は、地球と似て非なる別の惑星のようでもあり、神話の世界に迷い込んだかのようなインスピレーションを感じさせてくれる。

 このフォルバーグという写真家、モノクロプリントの美しさを極限まで追及したファインプリントの巨匠、かのアンセル・アダムスの元で写真を学んだという経歴を持つだけに、その深い暗黒と輝くハイライトによって再現された世界は、作品が平面の印画紙であることを忘れさせてくれる。 

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デイヴィッド・マリン「三裂星雲M20」
Courtesy Howard Schickler Fine Art and David Malin
(C)Anglo-Australian Observatory


一方、極彩色に満ちた幻想的な宇宙の姿を見せてくれるのが、天文写真の巨匠といわれるデイヴィッド・マリンの作品。真紅のガスに浮かび上がるオリオン座の馬頭星雲や、数え切れないほどの宝石をばら撒いたような渦巻き銀河など、その壮大で圧倒的な華麗さには思わず息をのんでしまう。
また、NASAがいままでのミッションで撮影した膨大な記録写真の中から選び抜かれた24点の写真も、素晴らしく見ごたえがある。いままでにニュースやTVの映像で一度は見たことのあるアポロ11号の月面着陸やチャレンジャー4号での宇宙遊泳のシーンだが、展覧会用に制作された本格的なプリントで見るそれは、まったくの別物だ。


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NASA〈宇宙への旅―25年の歴史〉より
「ジェミニ・タイタン IV号、1965年6月3―7日」


暗黒の宇宙にぽっかりと浮かぶブルーの地球、その透徹な空間を遊泳する宇宙飛行士たちのヘルメットやスーツや宇宙船の機器のディテールまでをも、カメラとレンズはクールに捉える。写されているシーンはきわめて現実的で科学的な「作業」なのだけれど、その画像はまるでアートといえるほどの美しさと驚きと精緻さをたたえている。
ちなみに1981年に打ち上げられたスペースシャトル、コロンビア号には当時の「ニコンF3」が積み込まれ、2005年のスペースシャトル計画でも「ニコンF5」が使用されるなど、日本のカメラと宇宙との縁は深い。そんなことを考えながら、この展覧会を見ていると、カメラというちっぽけな機械が、僕たちのささやかな日常生活から宇宙の果てまでを記録しアートに変える、素敵な魔法の小箱のように思えてくるのだ。


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芸術と科学がクロスする展示が、宇宙へのイマジネーションをさらにかきたたせてくれる。
 
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清里フォトアートミュージアム

清里フォトアートミュージアム(K*MoPA)は周囲のロケーションもよく、家族連れやカップルで訪れるのも楽しい。たまには日常の雑事を離れて、何千万光年というスケールの映像や話題に触れてみてはどうだろう。ふと見上げた都会の夜空にも、フォルバーグの写真のような輝く銀河が、本当は在る…ことがわかるから。
by nikondigital | 2006-09-24 21:46 | ピックアップ | Comments(1)
Commented by mugnum-yoda at 2006-09-28 18:46
わあ!母の里が近所なので清里は詳しいはずでしたが、こちらは知りませんでした。
NASAの一連の報道写真の頃、今のように枝葉多くなく、
写真一直線でしたから。田舎に伝わる今の写真は
戦争報道とアポロ計画のモノばかりでしたから目に焼き付いています。

これらの写真も、日々の写真の延長線上にあるのですが
見てしまうと不甲斐のなさに、肩が落ちます。
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