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VWゴルフGT TSI -新たな可能性を感じる1台-
■先日ここで紹介した「VWゴルフGT TSI」を今週箱根で試乗してきた(写真がなくてスイマセン)。僕は既にこのクルマには本国でも触れておりレポートしているが、今回ついに日本の路上で日本仕様を試乗して、改めて感心しかり…というのが本音である。そして何より痛感したのは、このTSIエンジンにおけるガソリン・エンジンの「新たな可能性」である。

■TSIエンジンは1.4Lという小排気量であり、数字から受ける通常の感覚でいえばトヨタ・ヴィッツやホンダ・フィットといった、いわゆるリッターカークラスに搭載される(もっともヴィッツもフィットも1.5Lを用意するが)もの。だからそれらよりも確実に格上であり、ハッチバックのクラスでは最上級に位置するともいえるゴルフに搭載…と聞くとやや不釣り合いに思えるだろう(もっとも本国では以前からゴルフには1.4Lが設定されている)。しかし乗ってみると素直に驚きを覚える。TSIエンジンから生み出される力強さは確実にこれまでのGT(2.0Lの直噴エンジン搭載車)よりも上だからである。
■1.4Lにして高出力の秘密は、TSIエンジンのユニークなメカニズムにある。TSIエンジンはスーパーチャージャーとターボチャージャーという2つの過給器を組み合わせて搭載するのがミソ。通常スーパーチャージャーやターボチャージャーというのは、どちらかがエンジンに組み合わせられており、これによってエンジンへ通常よりも大量の空気を送り込むことで実際のエンジン排気量以上の力強さを生み出すことができる。ただそれぞれの特性としてスーパーチャージャーは主にエンジンの低〜中回転域で力強さを増すものであり、ターボチャージャーは逆にエンジンの中〜高回転域で力強さを増すのが得意(それでも最近では回転全域で効果を発揮できるような方向となっているが)。つまり、一般的にはスーパーチャージャーだと高回転での力強さはさほど期待できず、逆にターボチャージャーだと低回転での力強さが期待できない…という基本特性を持つ。しかしVWはこの2つを組み合わせることで、まず小排気量ながらも力強い出力を実現(170ps)。そしてスーパーチャージャーで主に低〜中回転域、ターボチャージャーで中〜高回転域へ過給することで、全回転域で力強い特性を実現したのである。

■ではなぜこれまで、スーパーチャージャーとターボチャージャーが2つ組み合わせられたものがなかった(実は日本で既に80年代に日産マーチが採用した事例がある)かというと、まず端的にいってコストが高くなるからである。我々の多くが所有するクルマはNA(自然吸気)エンジンを搭載しているが、同じクルマでよりパワフルな仕様としてターボチャージャーを組み合わせたものも車種によっては存在する。が、それは当然NAよりも高価。ならばスーパーチャージャー+ターボチャージャーとなれば当然高コストとなる。さらにこのスーパーチャージャーとターボチャージャーを組み合わせると、2つを同期して制御する必要も出てくるなど、技術的なハードルの高さも求められる。
■ではなぜVWはそれらの問題をクリアしてまでこのエンジンを搭載したかというと、これは推測であるがそこにガソリン・エンジンの新たな可能性を見い出したからだろうと思える。事実欧州では乗用車の5割近くがディーゼル・エンジンを搭載し、ディーゼルの普及によって環境への問題をクリアしようとする動きが活発だが、逆にこれ以上ディーゼルが増えても環境への対応としてはまだ不足という現実もある。そこでより小さな排気量のエンジンやハイブリッドなどの技術も必須となってくる。しかし現実としてハイブリッドは欧州ではまだ日本ほど技術が進んでいない。ならば従来のガソリン・エンジンにおいても革新は当然求められる…というわけで、このTSIのようなものが有効になってくる。
■ディーゼルが普及した欧州では、従来のガソリン・エンジンは多くが革新しているものの、魅力に欠けていたのも事実。なぜならディーゼルはもともとガソリン・エンジンよりも低回転域での力強さが売りである上に、多くがターボチャージャーで過給されるため、環境に優しいながらも力強い…つまり自動車の魅力である「パワフルさ」を実現している。それに比べるとガソリン・エンジンは、低回転での力強さでは及ばず、特に小排気量となればディーゼルの方が魅力が大きい。
■しかしVWはこのTSIで、小排気量の低燃費を実現しながら、1クラス以上の力強さを実現できた。しかもVWはこのエンジンを、今後他車種にも展開していくという。魅力ある小排気量エンジンの普及は、当然企業にかせられた平均燃費を下げることにも効果を発揮する。

■ただ何より我々ユーザーにとっては、小排気量ながらの低燃費によって財布に負担をかけることなく、実現された力強さで自動車本来の魅力を存分に味わうことができること。さらにいえば、このTSIを搭載したモデルには自動車を走らせた時に感じるフィーリング面でも魅力が多い。例えばスーパーチャージャーとターボチャージャーの組み合わせによる加速は、実に1.4Lとは思えぬ力強さがあり、伸びやかな感覚を得ることができる。その質感は同じくらいの排気量のエンジンを搭載した日本車ではまず味わえぬもの。さらにこのTSIエンジンは例えば同じゴルフGTの2.0L直噴エンジン搭載車と比べると、エンジンそのものの重量も軽いため、クルマの鼻先にエンジンの重さの負担がかからない。このためカーブを曲がる時などは、2.0Lに比べて格段に軽快な印象を受けるのである。
■TSIエンジン搭載車に乗ると、小排気量=格下という、これまでの概念は確実に覆される。いやむしろ、クルマの格はエンジン排気量ではなく、いかにユーザー・メリットを考えているか否か? という部分が問われるようにすら思える。そう考えるとこのTSIエンジンは、自動車の価値観を変えるだけの新たな可能性も持ったエンジンなのだといえる。

■TSIエンジンは1.4Lという小排気量であり、数字から受ける通常の感覚でいえばトヨタ・ヴィッツやホンダ・フィットといった、いわゆるリッターカークラスに搭載される(もっともヴィッツもフィットも1.5Lを用意するが)もの。だからそれらよりも確実に格上であり、ハッチバックのクラスでは最上級に位置するともいえるゴルフに搭載…と聞くとやや不釣り合いに思えるだろう(もっとも本国では以前からゴルフには1.4Lが設定されている)。しかし乗ってみると素直に驚きを覚える。TSIエンジンから生み出される力強さは確実にこれまでのGT(2.0Lの直噴エンジン搭載車)よりも上だからである。
■1.4Lにして高出力の秘密は、TSIエンジンのユニークなメカニズムにある。TSIエンジンはスーパーチャージャーとターボチャージャーという2つの過給器を組み合わせて搭載するのがミソ。通常スーパーチャージャーやターボチャージャーというのは、どちらかがエンジンに組み合わせられており、これによってエンジンへ通常よりも大量の空気を送り込むことで実際のエンジン排気量以上の力強さを生み出すことができる。ただそれぞれの特性としてスーパーチャージャーは主にエンジンの低〜中回転域で力強さを増すものであり、ターボチャージャーは逆にエンジンの中〜高回転域で力強さを増すのが得意(それでも最近では回転全域で効果を発揮できるような方向となっているが)。つまり、一般的にはスーパーチャージャーだと高回転での力強さはさほど期待できず、逆にターボチャージャーだと低回転での力強さが期待できない…という基本特性を持つ。しかしVWはこの2つを組み合わせることで、まず小排気量ながらも力強い出力を実現(170ps)。そしてスーパーチャージャーで主に低〜中回転域、ターボチャージャーで中〜高回転域へ過給することで、全回転域で力強い特性を実現したのである。

■ではなぜこれまで、スーパーチャージャーとターボチャージャーが2つ組み合わせられたものがなかった(実は日本で既に80年代に日産マーチが採用した事例がある)かというと、まず端的にいってコストが高くなるからである。我々の多くが所有するクルマはNA(自然吸気)エンジンを搭載しているが、同じクルマでよりパワフルな仕様としてターボチャージャーを組み合わせたものも車種によっては存在する。が、それは当然NAよりも高価。ならばスーパーチャージャー+ターボチャージャーとなれば当然高コストとなる。さらにこのスーパーチャージャーとターボチャージャーを組み合わせると、2つを同期して制御する必要も出てくるなど、技術的なハードルの高さも求められる。
■ではなぜVWはそれらの問題をクリアしてまでこのエンジンを搭載したかというと、これは推測であるがそこにガソリン・エンジンの新たな可能性を見い出したからだろうと思える。事実欧州では乗用車の5割近くがディーゼル・エンジンを搭載し、ディーゼルの普及によって環境への問題をクリアしようとする動きが活発だが、逆にこれ以上ディーゼルが増えても環境への対応としてはまだ不足という現実もある。そこでより小さな排気量のエンジンやハイブリッドなどの技術も必須となってくる。しかし現実としてハイブリッドは欧州ではまだ日本ほど技術が進んでいない。ならば従来のガソリン・エンジンにおいても革新は当然求められる…というわけで、このTSIのようなものが有効になってくる。
■ディーゼルが普及した欧州では、従来のガソリン・エンジンは多くが革新しているものの、魅力に欠けていたのも事実。なぜならディーゼルはもともとガソリン・エンジンよりも低回転域での力強さが売りである上に、多くがターボチャージャーで過給されるため、環境に優しいながらも力強い…つまり自動車の魅力である「パワフルさ」を実現している。それに比べるとガソリン・エンジンは、低回転での力強さでは及ばず、特に小排気量となればディーゼルの方が魅力が大きい。
■しかしVWはこのTSIで、小排気量の低燃費を実現しながら、1クラス以上の力強さを実現できた。しかもVWはこのエンジンを、今後他車種にも展開していくという。魅力ある小排気量エンジンの普及は、当然企業にかせられた平均燃費を下げることにも効果を発揮する。

■ただ何より我々ユーザーにとっては、小排気量ながらの低燃費によって財布に負担をかけることなく、実現された力強さで自動車本来の魅力を存分に味わうことができること。さらにいえば、このTSIを搭載したモデルには自動車を走らせた時に感じるフィーリング面でも魅力が多い。例えばスーパーチャージャーとターボチャージャーの組み合わせによる加速は、実に1.4Lとは思えぬ力強さがあり、伸びやかな感覚を得ることができる。その質感は同じくらいの排気量のエンジンを搭載した日本車ではまず味わえぬもの。さらにこのTSIエンジンは例えば同じゴルフGTの2.0L直噴エンジン搭載車と比べると、エンジンそのものの重量も軽いため、クルマの鼻先にエンジンの重さの負担がかからない。このためカーブを曲がる時などは、2.0Lに比べて格段に軽快な印象を受けるのである。
■TSIエンジン搭載車に乗ると、小排気量=格下という、これまでの概念は確実に覆される。いやむしろ、クルマの格はエンジン排気量ではなく、いかにユーザー・メリットを考えているか否か? という部分が問われるようにすら思える。そう考えるとこのTSIエンジンは、自動車の価値観を変えるだけの新たな可能性も持ったエンジンなのだといえる。
by ism-casualcar
| 2007-01-26 11:12
| フォルクスワーゲン