『HOME MADE 家族 3RISE TOUR 2013 ~グッドモーニングジャパン!~ 』

最新ライヴレポートはコチラ!!
[2013/03/18掲載]


『家宝 ~THE BEST OF HOME MADE 家族~』

最新インタビューはコチラ!!
[2014/01/07掲載]


PROFILE

【KURO】
HOME MADE 家族のMC

一番多感な少年時代をアメリカで過ごした事(12年間)でHIP HOP文化自体を生活の中で体感する。帰国後、高校のクラスメイトと共にユニットを結成。渋谷、町田、六本木など関東圏の数々のクラブでライブを経験しスキルを磨く。 低音域でささやくようなRAPから心に響くような語りかけるスタイルまでオリジナルを確立している。 特に英語の発音、リリックはまさに本物である。

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RELEASE INFORMATION
Best Album

『家宝 ~THE BEST OF HOME MADE 家族~』
2014/01/08リリース


『家宝 ~THE BEST OF HOME MADE 家族~』

【初回生産限定盤】
KSCL-2350~51
¥3,900(税込)

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『家宝 ~THE BEST OF HOME MADE 家族~』

【通常盤】
KSCL-2352
¥2,800(税込)

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不完全燃焼であり完全燃焼。part 2
不完全燃焼であり完全燃焼。part 2_f0182998_204271.jpg


どれほど時間が流れたのだろう。

数十分、いや感覚的には数時間も間が空いたような感じだった。みんな楽屋には戻らず、戦況を見守りながら互いに話をしながら過ごした。狭いクロークスペースに片寄せ合って。次の出番である塾長がすでに裸に天狗姿の格好でそこにいた。暗い雰囲気になりがちなこの状況で笑いの灯がともった。気付けば、誰もが打ち解け合いそこかしこで笑い合い、輪ができていた。そして、現場から戻って来たスタッフの高橋さんからボクらは決意を聞いた。

「スタッフ一同、覚悟を決めました。フェス、再開しましょう」

「、、、大丈夫ですか?」

「もう、、、心中します。機材がどうなっても最後までやりましょう、、、何よりも、この状況なのに、お客さんが帰りません」

ふと見ると、会場にはまだ雨ガッパを着た一万人のお客さんが雨に濡れたまま、ただじっと再開することを信じて待っていた。もちろん中には帰った人だっていただろう。彼らは誰一人として悪くない。むしろこんな危険な状態のまま続行することは本当は望まれるべきことではない。機材が壊れただけでも、その修理代はン千万円といく。最悪のケースだと機材の漏電でスタッフが感電死する可能性だってある。そういった色んなことも含めて、高橋さんたちは「心中します」と言ったのだ。心が痛んだ。でも、今できる最大のことを選択しなければいけない。そして、精一杯やるしかない。

「ただ、、、知ってると思いますがこの場所は20時には絶対に終わらせないといけません。そうなると今からやって頂くSEAMOさんのところ、西川さんのところ、みなさん削って頂いて三曲ずつでやってもらうことになります」

「ボクらはアンコールも含めてですか?」

「はい」

最後のフィナーレで“We Are Family”で全員を呼び込んで、アーティスト全員で手を繋いで家族の輪を作るのは、当初からどうしてもやりたいことだった。そしてそれをやるということは、本編を2曲で終わらせなければいけないということになる。<何をやるか?>この場ではすぐに決まらないまま、オチケンさんから再開のアナウンスが発表された。

歓喜の声を上げるお客さんたち。そして、大勢のスタッフや出演者に拍手で見送られ、我らが塾長、SEAMOさんが颯爽とガウンを着てどしゃ降りの中を行った。二回目の家族fes.2010のスタート。モニターに映る、裸で天狗姿の塾長。今日一番のピーク時に、ステージ上を所狭しと動き回り、途中マイクが壊れてもワイヤードのマイクに切り替え、いつもの数倍もの躍動感あるステージを披露した。そうなんだ。これが、塾長なんだ。まるでボクら後輩の不安を知っていて打ち消すかのように、逆境をどんどんと切り開いて行く。ボクらはいつだってこの人の背中を見て育った。「東海サミット」がなければ、家族fes.2010もなかった。この人の存在こそが今のボクらを作ったのだ。落ち込んでいる暇なんてない。そう投げかけているかのように闘う先輩の後ろ姿は、涙が出るほど、カッコ良かった。

大幅に変更された予定は、トーク部分にまでおよんだ。本当はここでボクとスキマスイッチのお二人とFLOWからTAKEが参加して、最後のトークセッションを行う予定だったが、ここはカットとなった。その代わり、abingdon boys schoolの準備までの間、オチケンさんに場を繋いでもらった。そして、楽屋裏のクロークスペースに、いよいよ西川さんたちがいらした。

今回このフェスを行うのにあたり、隅から隅まで参考にさせてもらったのが何を隠そう西川さんが主催している『イナズマロックフェス』だ。きちんと市長さんに挨拶をして、街をあげて協力してもらう大切さも教えてもらった。ご当地のフードエリアや、楽屋やトイレの設備、打ち上げ会場のセッティングにいたるまで何から何まで『イナズマロック』を参考にさせてもらった。本当に勉強になった。そして、まだまだだということも。ボクらレベルのアーティストがこれほど大規模なフェスを実現することができたのは、大げさではなく西川さんたちのおかげだ。

そんな感謝の気持ちと、雨降りのステージで申し訳ないという気持ちが混ざったままクロークスペースで準備が整うまでの束の間の間、ミクロやその他アーティストたちと談笑する西川さんを見て、昨日リハーサル前に天候を心配するボクに話してくれた言葉を一人思い出していた。

「オレ、強烈な晴れ男なんだよね。今までどんな状況でも止ましてきたから。オレの晴れ男伝説に、傷一つ付いたことがないよ」

でも、大スター西川さんをもってしても今回ばかりはさすがに、、、と思っていたらそうこうするうちにabingdon boys schoolの出番がきた。みんなで盛大な拍手で送り出し、よろしくお願いしますと抱き合った。一瞬こちらを見てニコッと笑った西川さんは堂々と降りしきる雨の中をステージに向かって歩いて行った。

abingdon boys schoolのライヴは、完璧だった。雨すらも演出の一貫であるかのように、味方につけて、西川さんの声は雨空を切り裂いた。そして胸を打つような熱いMCのあと、一番最後の曲“Lost Reason”でミクロを招いた。それを塾長とCrystal boyと一緒に固唾をのんで見ていたら、奇跡が起きた。記録的な豪雨で、今日はもう止むことはないだろうと言われていた雨が、なんと止み始めたのだ。完璧にではないがライヴが終わる頃には少なくとも小雨程度に弱まっていた。鳥肌が立った。伝説に傷が付くどころか、その伝説に拍車をかけた。これが、スターなのかとマジで思った。

雨雲を吹き飛ばした西川さんたちを楽屋裏のみんなも大歓声と拍手で迎え入れた。そして、いよいよボクらの出番になった。このバトンを死んでも無駄にするわけにはいかない。ET-KINGの素晴らしいスタートから始まり、Metis、のあのわ、FLOW、九州男、スキマスイッチ、そしてSEAMO塾長にabingdon boy school、それだけじゃない、すべてのスタッフから繋いでもらったこの“想い”をボクらは全部背負ってステージに向かわなければ、バチが当たる。主催するということはつまりそういうことなのだ。トリを務めるということはこういうことなのだ。

やる曲はもう決まっていた。2曲だが、オモクソ気持ち入れて歌ってやる。オレの人生すべてをこの瞬間に注いでやる。西川さんのおかげで、今日一番のコンディションが整ったステージへと三人で向かう。背中にはたくさんの仲間がいる、心中してもいいとまで言ってくれるスタッフがいる。そして、目の前には大勢のファンが待っている。この日、これ以上何が言える?“サンキュー!!”をやらずに何をやる?ここにいるすべての人に届くように心の底の底から歌った。本当にありがとう。本当にありがとう。五文字では足りない想いがどんどん溢れてきて何度言っても言い足りない。

1曲目が歌い終わって、気がつくとステージ袖の方で、聞き覚えのある声がたくさん聞こえてきた。振り向くと、なんと出演者全員がもうそこにいた。みんな声を出して応援しに来てくれていたのだ。ET-KING、Metis、のあのわ、FLOW、九州男、スキマスイッチ、そしてSEAMO塾長に西川さんたちまで。みな今日を共に乗り越えてきた戦友であり、笑顔を分かち合う仲間で、何よりも“家族”なのだ。心がドクッとなった。そして、涙が出た。

ミクロも涙声をこらえながら必死で最後のMCをした。この日のために作ってきた歌を、その本当の意味を、自分たち三人が今一番教えてもらっていることに気が付いた。ボクらを繋いだバトンは“ぬくもり”だった。家族とは、ぬくもりなのだ。ここにいるみんなに一番伝えたかったメッセージは、もうすでに会場中に伝わっていた。雨なんてどうでも良かった。そんな会場が温かかった。温かくて温かくて、ふと見渡すとファミリーエリアで雨ガッパを着たお母さんが、赤ん坊を抱えているのが目に入った。この雨の中をずっとあの状態で見ていたのかと思って、また涙が溢れた。相方の歌声が刺さる。メンバーっていいな。仲間っていいな。家族っていいな。この雨はもしかしたらそんな当たり前のことをボクらに気付かせてくれるための、すべてを洗い流してくれた雨なのかもしれない。

家族fes.2010、2曲しか歌えなかったけど、悔いはもうなかった。最後の曲『ぬくもり』をしっかり歌い終えたあと、“We Are Family”で出演者をもう一度全員呼び込んでサビを大合唱してボクらのステージは幕を閉じた。そして最後は手をしっかり取り合って一列に並び、お客さんも隣同士、手を繋いでもらって「せ〜の!」という声と共にお辞儀して不格好なボクらのフェス第一回目は、こうして終了した。

ステージを降りて楽屋裏のクロークスペースに三人で戻ると、西川さんを始めすべての出演者とスタッフの方々が大きな拍手と笑顔で迎えてくれた。そして、いつまでもいつまでも“We Are Family”のサビを連呼してくれていた。

<完>



家族fes.2010に関わってくれたすべてのみなさん!(多すぎて全部言えない!)そして、何よりもあの豪雨の中、来てくれたお客さん!心から本当にありがとうございます!!ボクらの最初のフェスは“不完全燃焼であり完全燃焼”でした。だから来年もまた必ずやりたいと思います!





追伸:
翌日の、腹立つほどの天気(笑)
不完全燃焼であり完全燃焼。part 2_f0182998_1843138.jpg

by hmk-kuro | 2010-10-11 20:00
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