北野武監督・主演の「監督・ばんざい」。
これは面白い！タケシの一大バラエティ映画。
オムニバス風にジャンルを変えて風刺あり、ナンセンス・ギャグあり、ラブ・シーンあり、と見ていてケラケラ笑ってしまう。
タケシ流の真っ黒い笑い。でも試写室で見ている中で大声で笑っていたのは私だけだった。
特に江守徹、岸本加世子が尊厳かなぐり捨ててクレージー演技をしているのがいい。
楽しんだナ。
「怪談」。あの講談から歌舞伎になった「豊志賀の死」の映画化である。
文句はいろいろあるが、よかったのは中田秀夫の演出が単なるホラーを超えて、女の執念を軸に実にあざやかに美しく表現してみてくれた事。
しかし脚本にもっとこの原典の持つ因縁と人間の業、そして江戸時代の仏教観を出して欲しかった。
二人の前に卒塔婆が流れ、そこから運命が変わる。
あのゾッとする恐怖の流れこそその象徴なのだが、それが欠けている。
黒木瞳には、残念ながら品と艶が感じられなかった。
菊之助にはアゴの線が映画向きでない心配がある。今回初の主演作というのに色悪でいいのかな。
林長二郎（長谷川一夫）も大川橋蔵も市川雷蔵も二枚目で貫いて人気は今だに続いている。
松竹さんご乱心か。
「俺は、君のためにこそ、死ににいく」は岸恵子による大戦末期の哀しい真実の再確認。
戦争、軍部、大戦推進者への批判。
若者達の演技に、我々の記憶とは違うものしか感じられないが、それでも題材の哀しさに私は二度見て二度涙を流した。
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