・Mgr 菊池
長崎公演の書き込みで、楽器「武内くん」のポジション・アップの話を書きましたが、、、
今回は、昨年のツアーで「チーム上手」として「武内くん」と共にコヅき倒されていた「飯島ちゃん」の話です。
「武内くん」は今回のツアーから葉加瀬ケアを担当するコトになり舞台上手から下手へ移動しつつのポジション・アップですが、「飯島ちゃん」は今年も担当エリアは上手のままです。

音響スタッフの「飯島ちゃん」は「3番目」と呼ばれる音響のステージクルーとしてツアーに同行していました。
ホールツアーの場合、音響スタッフは3人以上のチーム編成になります。
オーディエンスが聴く音をリアルタイムでミックスする「ハウス・エンジニア」と呼ばれるチーフと、演者が聴く音を造る「モニター・エンジニア」は本番中、自分のポジションエリアから離れるコトは有りません。音が鳴っている間はミキサー卓から離れるコトは絶対に有り得ません。
しかし、本番中の転換やトラブルの対応や次のスタンバイは当然あるワケで、、、、そこで「3番目」と呼ばれるスタッフが登場します。
3人目のスタッフがツアーに同行するセクションは他にも多々有りますが、、、
楽器や道具のスタッフは、バンド編成やセットの規模によってツアークルーの人数が変わります。
照明は「現地照明」と呼ばれる公演地で協力手配する、その土地の照明スタッフが数名いるので、スタッフの各セクションの中でも状況や規模に関わらず常に3人目のスタッフが居る音響チームのステージクルーを「3番目」と呼びます。
楽器チーム同様に今年のツアーは、音響スタッフにも激変が有りました。
これまで永年に渉り「モニター・エンジニア」として不動の地位を築いていた「深澤(ディープ)さん」が、ついに葉加瀬ツアーを卒業しました。
スケールや仕組みも違う海外のコンサートクルーには現役で居る限り「モニター・エンジニア」に拘り続ける職人も居ますが、日本ではやはり「ハウス・エンジニア」が、ある種のゴールです。
現地にその現場の音響スタッフが居る、数曲だけのイベントや、テレビの収録などにも駆り出され、一年の半分以上を「ベタ押さえ」される「モニター・エンジニア」ですから、次のステージへ揚がる為に、葉加瀬の現場を離れるコトになったワケです。
そして音響チーフ「奥田さん」は深く永いディープな悩みの渦に入ったワケです。
葉加瀬や葉加瀬の現場のために即戦力となる人選をするべきか、しかし、その新たな即戦力も数年としないウチの卒業を繰り返すコトになるワケで、、、
そこで下された大英断は「若いチカラ」でした。
あっ、「飯島ちゃん」が若いとか言うコトでは無く、フレッシュとか新規とかそう言う意味です。(えっ、言い返して説明しなくてもイイって?)
白羽の矢は「飯島」に当たり、今回のツアーから彼女が「モニター・エンジニア」になったワケです。
時間をかけた確実な勉強が出来る楽器「武内」とは違い、本番中のピンチな状況で楽器チーフ「秀司さん」がフォローに来るようなコトは、音響チームには有りません。
演奏の出来を直接左右する重責が「のしかかる」ポジションです。
葉加瀬曰く「音を捕らえるセンスは有るね」とのことです。
『センスは有る』と言うことは、、、、「ナニカは」まだ無いと言うことです。
それは「経験」です。
「僕の音を上げて」と言うメンバーのリクエストに、その都度正直に答えていたらステージ上の音は直ぐに飽和状態になります。
「聞こえれば良いワケ」ですから、その音以外を下げても良いのです。
そして、胸を張って「上げました」って言うべき場合 も 有ります。
偽薬効果では有りませんが、、、、「ディープさん」は卓のフェーダーに触ったフリをして、ニッコリ笑って「上げました」って答えるコトも有ったそうです。
その「ふてぶてしさ」は、真剣に取り組んだ上での信頼関係が成せる重要なポイントでしょう、悩み苦しみながらも更に良い環境を造ろうと藻掻く姿が信頼関係を築くはずです。
そのまま対応すべきか、違うアプローチを試みるか、何もせずとも安心させるか、「経験」が大きくモノを言うのです。
そしてソレは、深く真摯に考え対応している時に蓄積されるモノです。

今回のツアーで成長の軌跡を誰よりも見せつけているのは、間違いなく彼女です。