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竹澤哲のWorld Cup Report 02 : ドイツのポルトガル

 フランクフルトへ着いて、両替所へ向かう。窓の向こう側にいるお姉さんが、「日本戦は明日だね」というので、「今日はポルトガル対アンゴラを見に行くんですよ」と答えると、「あたしはポルトガルが嫌いなの」と言い出した。なぜそんなことを言い出すのかと、僕は驚いて「えっなぜ?」と聞き返すと、後ろの方にいた上司らしき男性が怒ったような態度をみせているのに気がついた。女性はちらっと上司の顔を見ると、再び僕の方に顔を向けて「彼はポルトガル人なのよ」といってウインクをした。
 そういえばドイツにはポルトガル人出稼ぎ者がたくさんいる。特にEUとなる以前は、ドイツで稼ぐお金は、ポルトガル国内よりもはるかに多いため、一財産を築こうと多くのポルトガル人がやってきたのだ。成功者が帰国して建てる家は、ドイツ風の家が多かった。それは自らの功績を讃えているかのようでもあった。ポルトガルの農村に行くと、ドイツやスイス風の家が建ち並んでいるのをみかけたら、それは出稼ぎ者が建てた家にまちがいない。
 予想していたとおり、ケルンで行われたポルトガル戦にはたくさんのポルトガル人が来ていた。ポルトガル国内からやってきたものよりも、おそらくドイツ国内から集まった人たちの方が多いのではないか。ドイツ語を話すポルトガル人らしき人もかなり見かけた。
 対戦相手のアンゴラはポルトガルの旧植民地であったところ。そのため現在でも多くのアンゴラ選手がポルトガルでプレーしている。やっているサッカーも細かくパスをつないでいくという、スタイルもとてもよく似ている。異なる点は彼らの身体能力を活かして、スピードを活かしたものや、アクロバティックなプレーを見せることだ。創造性、意外性のあるプレーにはちがいないのだが、一か八か的なものが多く、相手にボールを奪われるとそのまま危険な状況を招いてしまう。その点、やはりポルトガルは落ち着いて、同じように魅せる技を繰り出すのだが、状況に応じてする。そのあたりにも、伝統の違いを感じさせられた。
 フィーゴがアシストして、パウレタが得点。働くべく人が働き、決めるべき人が決めた。ポルトガルにとっては最高の勝利だった。
(6月11日ケルン)

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by ginga-movie | 2006-06-15 23:41 | 竹澤哲のワールドカップコラム | Trackback
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[GINGA / ジンガ]とは?

ポルトガル語で揺れるという意味があり、狭義では、フットボールにおけるフェイント時の足さばきのこと。あるいはカポエイラの基本動作を言います。広義では、ブラジル人特有のしなやかでリズム感のある身体性そのものから、心の拠り所としての象徴的な言葉として、ブラジルではごく一般的に使用されています。
「遊び心のあるサッカーは、プレイを楽しまないと出来ない」ロビーニョは映画『GiNGA』の中で、そう語ります。それは彼のみならず、ロナウジーニョのあの楽しく創造性豊かなプレイからも容易に感じることができるでしょう。そのすべての源は、ブラジル人は「GINGA」を持っている、という事実に尽きるのです。

映画『GiNGA』公式サイト
www.ginga-cinema.jp
表参道ヒルズに、今話題のポッドキャストを自由に楽しめる『Podcast STUDIO』オープン(3/13〜3/26)
KTa★brasil(ケイタブラジル)
STUDIO APARTMENT、KALEIDOSCOPIOをはじめ数々のレコーディングにパーカッションで参加。サンバの本場、ブラジル仕込の打楽器奏者/MC/DJ。渋谷Organ barのLa Verdad、渋谷rootsでのSAMBA NOVAでのレギュラーをはじめ、日本各地でのライブ・DJ、一度そのGINGAを体験すべし!
●毎日更新! KTa☆brasilブログ


出演:ロビーニョ、ファルカン、ウェスクレイ、ロマリーニョ、他
監督・脚本:ハンク・レヴィン、マルセロ・マシャード、トシャ・アルヴェス プロデューサー:フェルナンド・メイレレス(『シティ・オブ・ゴッド』)、ハンク・レヴィン
音楽:EDSON X、BLACK GERO グラフィティアート:オス・ジェミオス 製作: Nike Production and Widen + Kennedy Entertainment 制作: O2 Films
配給:レントラックジャパン、キネティック、コムストック オーガニゼーション
宣伝協力:プチグラパブリッシング 協力:ナイキジャパン 後援:ブラジル大使館

原題: GiNGA The soul of brasilian football
2005年 / ビスタ / 78分43秒 / ブラジル / カラー / 35ミリ
Copyright 2005 by Nike Inc, All rights reserved.

映画『GiNGA』公式ブログ
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