シャネル フレグランスの魅力を余すことなく伝えている「シャネル フレグランス ミュージアム」。その贅沢な内容に食いつくように鑑賞&体験しました。見終わった時には、にわか香水マニアでもなった気分に。もちろん、お気に入りの香りをまといながら…

さて、先日触れた「N°5」のボトルデザインの変遷は、会場で確かめることができます。1921年にシンプルな長方形のボトルとして誕生し、1924年にはエメラルドカットが加わり、それ以後も15年ごとにデザインの見直しが行われてきたと言いますが… 年代ごとのボトルの線画をじっくり見比べると、確かに少しずつ、少しずつ変化しています。
フィルムの中でアートディレクターのジャック エリュは語ります。
「その変化はとても小さいものだったが、デザインをその時代に適応させてきた。(中略)重量感や存在感を増すように。それが、N°5をどこにあっても絶対的な存在にした」
「N°5のボトルが力強さに欠けて見えないよう、ガラスを厚くし、ストッパーには高さを出した。そうすることによって、他のもの、当時市場にあった他の製品の中において際立つものとなった」
基本は変わらないが、鮮度は失わない。「N°5」がいつの時代も多くの女性に指示されてきた理由はそこにあったんですね。
また昔から変わらないのは、ボトルの製法も然り。「ボードリュシャージュ」という、元々、薬の瓶を封印するための技術だったそうですが、ボトルの首に薄い膜と糸を巻いて密封し、ロウを乗せてダブルCマークを刻印するという伝統的技法は今も行われています。これは「糸と膜を切って、封を開ける時の高揚感を大切にしたいから」とのこと。その見事な職人の手仕事もフィルムで見られます。

会場奥に進むと、さらに小部屋が… カーブの鏡に、シャンデリア。パリのカンボン通りにあるシャネルブティック本店の2階には、マドモアゼル シャネルが使用していたアパルトマンが今も残っているそうなんですが、それを再現した空間があります。
さらに奥へ進むと、世界でも限られたシャネル ブティックやフレグランス コーナーのみで扱う限定フレグランス「レ ゼクスクルジフ」のコーナーへ。ここにもちょっとした仕掛けがあるのですが、お楽しみに。そして目に付いたのは、壁にプリントされたマドモアゼル シャネルの格言。
「黒という色は万能。そして白もまた。どちらも究極の美」
その格好いい言葉に惚れ惚れしながら、会場を後にしました。まさに、マドモアゼル シャネルの美学に触れられる展示内容です。
取材/杉江あこ