7月の料理人: 柳田栄萬さん プロフィール >>
「食べることは毎日のこと。つづけるためには無理をしない」。そんなシンプルな考え方をベースに、独自のメソッドで簡単にカジュアルに作れる薬膳料理を提案する柳田栄萬さん。うつわ好きが高じてオープンした「UTSUWA GALLERY千鳥」の店主でもある柳田さんに、薬膳の魅力、夏の薬膳ポイント、料理と器の関係性など、とことんご教示いただきます。
カジュアルに、美味しく、「薬膳」の良さを伝えたい。
もともと薬膳(中医学)の“陰陽学説”や“五行学説”に興味があったんですね。実は当初「ちょっと勉強してみたいな」、という結構気軽な考えで学校(北京中医薬大学日本校)に入学したんです。実際に授業を受けてみると、その内容が驚くくらい複雑で(笑)・・・最初はとにかく、その複雑さにとまどいました。でも入学金も払ってせっかく入学したのだから、と根気よく学んでいくうちにその独特の深みにはまってしまったという感じです。
俗にいう中医学の“陰陽五行”は、<木、火、土、金、水>という自然界における五つの物質をベースにしたもので、この概念を細かく語りだすと確かに複雑なんです。それをそのまま押し付けようとするから、人は「難しい、無理、」と引いてしまうんですね。でも実際には、どれも古人が普段の生活の中から形成したものですから、すべて理にかなっていることばかりだし、現代人の生活において共感できることも多い。皆さんが思っている以上にずっとシンプルなんです。
ならば自分なりに、ガチガチではなくカジュアルなスタイルに噛み下して、その良さを人に伝えていけたらいいなと。そうした想いが、薬膳料理家として活動をはじめたそもそもの出発点と言えます。 《夏の薬膳ポイント》と《薬膳的食材》については、こちら >>
趣味が高じて、始めてしまいました。
去年(2008年)の4月、「UTSUWA GALLERY 千鳥」という器の店をオープンしました。ずぶの素人なのですが、とにかく器が好きで。趣味が高じてついに始めてしまいました(笑)
作家さんは私自身が地方の陶芸市で出逢ったり、展覧会の図録で一目惚れしてこちらからアプローチすることもしばしばですが、中には人からの紹介もありますし、作家さん自らお店を訪れてくださることもあります。いずれにしても、作家さんと直接の取り引きをベースにしているので、作家さんにダイレクトに自分の要望を伝えることができますし、素晴らしい器を手頃な価格で販売できることが、うちの店ならではの強みだと思っています。
ブログ「薬膳のチカラ」で掲載している料理の写真は、すべて自分で撮影しているんですが、撮るたびに「料理が器によってどれだけ印象が変わるか」ということを毎度のように実感するんです。器選びは食や料理の楽しみの延長線上にあって、その存在は切っても切り離せないものなのだと。だから、うちのお店に置いている器は、「料理を盛りつけた状態をイメージできるかどうか」ということをまず第一の条件にして選んでいます。
器の選び方、盛りつけ方のコツも、実はとってもシンプルです。
よく器の選び方について聞かれるのですが、一番大事なポイントは、器自体の好き嫌いよりも、「どんな料理を盛りたいか」がイメージできることだと私自身は思っています。料理をイメージする器に出逢ったら、次のステップとしてお教えしているのはこんな方法です。
にぎりこぶしを作って器の中に入れてみる。そうすると、ちょうど料理が入った時に器がどのような状態になるかがイメージしやすくなるんです。器の中の模様などは、何もない状態で見ているのとでは、かなり違って見えますよね?あと、家族分をまとめて購入する場合は、重ねて棚に入れた状態をシミュレーションしてみるといいですよ。器は「使っていない時にどう見えるか」も大切なポイントですから。
盛りつける時のポイントは、「余白」です。いろんな方の料理ブログなんかを見ていると、大抵のケースにおいて、盛りつける料理に対して器が小さすぎるんですね。平皿は一寸(3cm)刻みで展開していますから、普段の感覚で選びがちなサイズよりもう1サイズ大きめを選ぶとよいですよ。器の余白を活かしながら盛りつけると、器と料理が同時に楽しめますし、高級感も出ます。また、料理は空気をふくませるような気持ちでふんわり盛ること。そして、最後のあしらいとして、切り立てのネギやハリしょうが、みょうがやシソなどを添えると、料理の表情がぐっと豊かになります。
福岡県生まれ。
文化服装学院卒業後、アパレルメーカー勤務。2003年にアパレルメーカー退職後、国立北京中医薬大学日本校にて薬膳を学ぶ。 05年、国際中医薬膳師の資格を取得。料理研究家のアシスタントを経て、07年春より薬膳料理教室の講師を務める。08年4月、自身の店となる器ギャラリー「千鳥」を水道橋にオープン。現在、二足のわらじを履きこなす。薬膳をもっとカジュアルに楽しむことを提案した著書『薬膳だから。かんたん!おいしい!からだにいい!』(2007年 講談社・刊)も好評。
TEL/FAX 03-6906-8631 営業時間 12:00-18:00
JR水道橋駅西口より徒歩2分
定休日はHPまたはお電話でご確認ください
http://www.chidori.info/
「食べることは毎日のこと。つづけるためには無理をしない」。そんなシンプルな考え方をベースに、独自のメソッドで簡単にカジュアルに作れる薬膳料理を提案する柳田栄萬さん。うつわ好きが高じてオープンした「UTSUWA GALLERY千鳥」の店主でもある柳田さんに、薬膳の魅力、夏の薬膳ポイント、料理と器の関係性など、とことんご教示いただきます。
カジュアルに、美味しく、「薬膳」の良さを伝えたい。
もともと薬膳(中医学)の“陰陽学説”や“五行学説”に興味があったんですね。実は当初「ちょっと勉強してみたいな」、という結構気軽な考えで学校(北京中医薬大学日本校)に入学したんです。実際に授業を受けてみると、その内容が驚くくらい複雑で(笑)・・・最初はとにかく、その複雑さにとまどいました。でも入学金も払ってせっかく入学したのだから、と根気よく学んでいくうちにその独特の深みにはまってしまったという感じです。
俗にいう中医学の“陰陽五行”は、<木、火、土、金、水>という自然界における五つの物質をベースにしたもので、この概念を細かく語りだすと確かに複雑なんです。それをそのまま押し付けようとするから、人は「難しい、無理、」と引いてしまうんですね。でも実際には、どれも古人が普段の生活の中から形成したものですから、すべて理にかなっていることばかりだし、現代人の生活において共感できることも多い。皆さんが思っている以上にずっとシンプルなんです。
ならば自分なりに、ガチガチではなくカジュアルなスタイルに噛み下して、その良さを人に伝えていけたらいいなと。そうした想いが、薬膳料理家として活動をはじめたそもそもの出発点と言えます。 《夏の薬膳ポイント》と《薬膳的食材》については、こちら >>
趣味が高じて、始めてしまいました。
去年(2008年)の4月、「UTSUWA GALLERY 千鳥」という器の店をオープンしました。ずぶの素人なのですが、とにかく器が好きで。趣味が高じてついに始めてしまいました(笑)
作家さんは私自身が地方の陶芸市で出逢ったり、展覧会の図録で一目惚れしてこちらからアプローチすることもしばしばですが、中には人からの紹介もありますし、作家さん自らお店を訪れてくださることもあります。いずれにしても、作家さんと直接の取り引きをベースにしているので、作家さんにダイレクトに自分の要望を伝えることができますし、素晴らしい器を手頃な価格で販売できることが、うちの店ならではの強みだと思っています。
ブログ「薬膳のチカラ」で掲載している料理の写真は、すべて自分で撮影しているんですが、撮るたびに「料理が器によってどれだけ印象が変わるか」ということを毎度のように実感するんです。器選びは食や料理の楽しみの延長線上にあって、その存在は切っても切り離せないものなのだと。だから、うちのお店に置いている器は、「料理を盛りつけた状態をイメージできるかどうか」ということをまず第一の条件にして選んでいます。
器の選び方、盛りつけ方のコツも、実はとってもシンプルです。
よく器の選び方について聞かれるのですが、一番大事なポイントは、器自体の好き嫌いよりも、「どんな料理を盛りたいか」がイメージできることだと私自身は思っています。料理をイメージする器に出逢ったら、次のステップとしてお教えしているのはこんな方法です。
にぎりこぶしを作って器の中に入れてみる。そうすると、ちょうど料理が入った時に器がどのような状態になるかがイメージしやすくなるんです。器の中の模様などは、何もない状態で見ているのとでは、かなり違って見えますよね?あと、家族分をまとめて購入する場合は、重ねて棚に入れた状態をシミュレーションしてみるといいですよ。器は「使っていない時にどう見えるか」も大切なポイントですから。
盛りつける時のポイントは、「余白」です。いろんな方の料理ブログなんかを見ていると、大抵のケースにおいて、盛りつける料理に対して器が小さすぎるんですね。平皿は一寸(3cm)刻みで展開していますから、普段の感覚で選びがちなサイズよりもう1サイズ大きめを選ぶとよいですよ。器の余白を活かしながら盛りつけると、器と料理が同時に楽しめますし、高級感も出ます。また、料理は空気をふくませるような気持ちでふんわり盛ること。そして、最後のあしらいとして、切り立てのネギやハリしょうが、みょうがやシソなどを添えると、料理の表情がぐっと豊かになります。
『柳田栄萬(やなぎだ・えいまん)』
料理家/器ギャラリー「千鳥」オーナー福岡県生まれ。
文化服装学院卒業後、アパレルメーカー勤務。2003年にアパレルメーカー退職後、国立北京中医薬大学日本校にて薬膳を学ぶ。 05年、国際中医薬膳師の資格を取得。料理研究家のアシスタントを経て、07年春より薬膳料理教室の講師を務める。08年4月、自身の店となる器ギャラリー「千鳥」を水道橋にオープン。現在、二足のわらじを履きこなす。薬膳をもっとカジュアルに楽しむことを提案した著書『薬膳だから。かんたん!おいしい!からだにいい!』(2007年 講談社・刊)も好評。
『UTSUWA GALLERY 千鳥』
〒101-0061 東京都千代田区三崎町3-10-5原島第二ビル201ATEL/FAX 03-6906-8631 営業時間 12:00-18:00
JR水道橋駅西口より徒歩2分
定休日はHPまたはお電話でご確認ください
http://www.chidori.info/
by foodfile
| 2009-07-24 00:09