2017年 01月 16日
経営者のための確定拠出年金「年金としても受け取れる!」
ファイナンシャルプランナーの三次理加です。
「マイナス金利でも資産が殖える!経営者のための確定拠出年金」第6回目目となる本稿では、確定拠出年金の3つ目の税制優遇「給付時の税制優遇」のうち「年金」として受け取る場合の税制についてご紹介します。
前回までの復習を簡単にしておきましょう。
確定拠出年金には、「掛金拠出時」「運用時」「給付時」の3種類、税制優遇があります。確定拠出年金の給付には、1)老齢給付 2)障害給付 3)死亡一時金 4)脱退一時金 の4種類があり、1)老齢給付の受け取り方法は、①一時金 ②年金の2種類があります。①一時金として一括して受け取る場合、退職所得控除の対象となる、でしたね。
本稿では、②の年金として受け取る場合の税制 について解説します。
老齢給付金を年金として受け取る場合、5年以上の有期又は終身年金として受け取ることができます。有期の場合、一般的には、5年、10年、15年、20年の4種類から選択できるようにしているところが多いようです。
年金として受け取る場合、運用を継続しながら取り崩していくことになります。
そのため、たとえば投資信託のように値動きのある商品を購入していた場合、受取期間中に元本が殖えることもある半面、元本が減り受取期間満了を待たずに給付が打ち切りとなることもあり得ます。
また、受け取りの都度、振込にかかる手数料がかかることも覚えておきましょう。
なお、受け取った年金は「雑所得」として公的年金等控除の対象となります。年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します。公的年金等控除額は、年金を受け取る人の年齢が65歳未満か65歳以上かで異なります。(図表)
公的年金等に係る雑所得の金額は、次の計算式により算出します。
((a)~(c)は、図表を参照のこと)
公的年金等に係る雑所得の金額=(a)×(b)-(c)
たとえば、年金額が350万円の場合、公的年金等に係る雑所得の金額は次のよう計算されます。
3,500,000円×75%-375,000円=2,250,000円
他の所得がなければ、算出された所得に対し、通常の累進税率により課税されます。
ちなみに、図表をご覧いただければお分かりにように、65歳未満の場合は、確定拠出年金を含め公的年金等の収入合計が年間70万円以下、65歳以上の場合には同金額が120万円以下であれば、税金はかかりません。
確定拠出年金を受け取る場合には、他に受け取る退職金や年金の金額や期間等を考慮し、受け取り方法を検討するとよいでしょう。
次回は、2)障害給付 3)死亡一時金 4)脱退一時金 として受け取る場合についてご紹介します。お楽しみに。