2016年 11月 09日
離婚による年金分割で「老後破たん」?
「ライフプランニング公式ブログ読者の皆さん、こんにちは!
マイアドバイザー®jp登録ファイナンシャルプランナーの浅川陽子です。
最近、「老後破たん」「老後破産」といったテーマに関心が高まっているようですが、そういった状況に陥る原因の一つとして、離婚による年金分割も挙げられています。平成20年から本格的に始まった、「離婚による年金分割」についてとりあげてみましょう。
<離婚による年金分割のポイント>
・離婚による分割対象になるのは「厚生年金」のみで「国民年金」の基礎年金は対象外。
・分割は請求によって行われ、請求は離婚後2年以内に行う。
ただし、請求前に請求先の元配偶者が死亡していると分割はできない。
・「合意分割」と「第3号分割」の2種類。
<合意分割>
・平成19年4月1日以降に成立した離婚
・施行日前の婚姻期間も分割対象
・当事者双方の標準報酬(保険料納付記録)の総合計の2分の1まで、多い人から少ない人へのみ分割ができる
・分割割合は当事者間の合意または裁判手続き(家裁)によって定めることができる
<第3号分割>
・平成20年5月1日以降の離婚に適用
・平成20年4月1日以降の離婚時までの第3号被保険者期間が分割対象
・第3号被保険者が請求すれば、その第3号被保険者を扶養していた配偶者の標準報酬記録の2分の1が、当事者間の同意なくして第3号被保険者へ分割される
<合意分割と第3号分割、両方該当する期間がある場合>
・合意分割の請求を行えば、あわせて第3号分割の請求があったものとみなされる。
<どれぐらいの人が離婚による年金分割を行っているか?>
平成27年の厚生労働省作成の資料によれば、平成26年度の分割件数は、22,468件で、離婚件数が228,435件なので離婚件数に対して約10%が年金分割されていることになります。離婚の当事者が、厚生年金に加入していない第1号被保険者であれば、年金分割は不可なので、厚生年金の被保険者だけで見れば、もっと多い割合で分割が行われているといえるかもしれません。第3号分割が開始になった平成20年以降、分割件数は年々増えています。
<年金だけでなく、財産も分与>
離婚による年金分割は、厚生年金だけが対象になるので、分割される年金額自体はそれほど多い金額にはならないともいえます。
比較的分割対象期間の長い、夫の定年後の熟年離婚の例でみてみましょう。
夫の厚生年金が38年加入して年額120万円だったとして、その間の婚姻期間が32年間では、その間妻に厚生年金の加入期間がなく、夫の厚生年金を合意分割と第3号分割で2分の1を分割してもらえたとして、妻に分割される厚生年金の年額は50万円程度になります。
その結果、夫の受け取る年金は、老齢厚生年金70万円と基礎年金74万円(38年加入として)で約144万円、妻は分割された老齢厚生年金50万円と基礎年金78万円(40年加入として)で約128万円、もし妻が結婚前に厚生年金に加入していた場合はその分がプラスになります。
結婚後築いた財産は夫婦の共有財産とみなされ、離婚の際は、財産も夫婦で分けることが一般的です。2人で財産を分け、年金と合わせて、夫、妻それぞれの老後資金として充分ならば問題ないのですが、不足すると、2人とも共倒れになりかねないといえるでしょう。
離婚する場合も将来の資金計画が重要です。離婚したいと考えている方は資金計画をたてていることも考えられますが、突然、離婚を切り出される方は、要注意です。「老後破たん」にならないためには、夫婦円満の努力も必要といえるかもしれません。
マイアドバイザー®jp登録ファイナンシャルプランナーの浅川陽子です。
最近、「老後破たん」「老後破産」といったテーマに関心が高まっているようですが、そういった状況に陥る原因の一つとして、離婚による年金分割も挙げられています。平成20年から本格的に始まった、「離婚による年金分割」についてとりあげてみましょう。
<離婚による年金分割のポイント>
・離婚による分割対象になるのは「厚生年金」のみで「国民年金」の基礎年金は対象外。
・分割は請求によって行われ、請求は離婚後2年以内に行う。
ただし、請求前に請求先の元配偶者が死亡していると分割はできない。
・「合意分割」と「第3号分割」の2種類。
<合意分割>
・平成19年4月1日以降に成立した離婚
・施行日前の婚姻期間も分割対象
・当事者双方の標準報酬(保険料納付記録)の総合計の2分の1まで、多い人から少ない人へのみ分割ができる
・分割割合は当事者間の合意または裁判手続き(家裁)によって定めることができる
<第3号分割>
・平成20年5月1日以降の離婚に適用
・平成20年4月1日以降の離婚時までの第3号被保険者期間が分割対象
・第3号被保険者が請求すれば、その第3号被保険者を扶養していた配偶者の標準報酬記録の2分の1が、当事者間の同意なくして第3号被保険者へ分割される
<合意分割と第3号分割、両方該当する期間がある場合>
・合意分割の請求を行えば、あわせて第3号分割の請求があったものとみなされる。
<どれぐらいの人が離婚による年金分割を行っているか?>
平成27年の厚生労働省作成の資料によれば、平成26年度の分割件数は、22,468件で、離婚件数が228,435件なので離婚件数に対して約10%が年金分割されていることになります。離婚の当事者が、厚生年金に加入していない第1号被保険者であれば、年金分割は不可なので、厚生年金の被保険者だけで見れば、もっと多い割合で分割が行われているといえるかもしれません。第3号分割が開始になった平成20年以降、分割件数は年々増えています。
<年金だけでなく、財産も分与>
離婚による年金分割は、厚生年金だけが対象になるので、分割される年金額自体はそれほど多い金額にはならないともいえます。
比較的分割対象期間の長い、夫の定年後の熟年離婚の例でみてみましょう。
夫の厚生年金が38年加入して年額120万円だったとして、その間の婚姻期間が32年間では、その間妻に厚生年金の加入期間がなく、夫の厚生年金を合意分割と第3号分割で2分の1を分割してもらえたとして、妻に分割される厚生年金の年額は50万円程度になります。
その結果、夫の受け取る年金は、老齢厚生年金70万円と基礎年金74万円(38年加入として)で約144万円、妻は分割された老齢厚生年金50万円と基礎年金78万円(40年加入として)で約128万円、もし妻が結婚前に厚生年金に加入していた場合はその分がプラスになります。
結婚後築いた財産は夫婦の共有財産とみなされ、離婚の際は、財産も夫婦で分けることが一般的です。2人で財産を分け、年金と合わせて、夫、妻それぞれの老後資金として充分ならば問題ないのですが、不足すると、2人とも共倒れになりかねないといえるでしょう。
離婚する場合も将来の資金計画が重要です。離婚したいと考えている方は資金計画をたてていることも考えられますが、突然、離婚を切り出される方は、要注意です。「老後破たん」にならないためには、夫婦円満の努力も必要といえるかもしれません。
by lifeplaning
| 2016-11-09 10:04
| 浅川 陽子