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9月5日、日本生命から日本初の不妊治療保険が発売すると、
新聞やネットニュース、各種媒体で報道がありました。
今年の4月に不妊治療を対象に支払われる保険が金融庁から解禁になって以来、
どこの保険会社でも開発が難しいといわれていました。
そのようななか、約半年を経てついに国内大手保険会社で発売が決まり、業界では話題になっています。
では少し、その内容を見てみましょう。
不妊治療保険と言われていますが、実際は、女性特有の病気や健康面をサポートする保険で「出産サポート給付金付3大疾病保障保険」です。
そのため、不妊治療だけでなく、「3大疾病保険金」「上皮内心生物診断保険金」「出産給付金」「満期一時金」「死亡保険金」があります。
支払われる保険金は、3大疾病保険金と上皮内新生物診断保険金、死亡保険金は決まっており、それぞれ300万円、30万円、300万円の一度きりです。
3大疾病保険金が支払われると、契約が消滅します。
満期一時金は満期時に生存していればもらえる保険金ですが、その金額は保険期間によって異なり、10年だと100万円、15年だと150万円、20年だと200万円です。
また満期一時金は出産給付金と、特定不妊治療給付金を受け取っていた場合、
その保険金相当額が引かれてしまいます。
出産給付金は、所定の出産をした場合に受け取れる保険金で、
1回目10万円、2回目30万円と増え、5回目以降100万円で、限度がありません。
ただし、契約後1年は不担保期間があります。
では、不妊治療に関わる保障はどのようになっているのでしょうか。
不妊治療で支払われるのは「特定不妊治療給付金」です。
保障の対象は不妊治療のなかでも高度な体外受精・顕微授精を受けた場合です。
保険金は採卵と胚移植をするごとに支払われ、
1~6回目が5万円、7回~12回目が10万円です(12回が限度)。
体外受精・顕微授精の治療において、
女性の一周期に採卵と胚移植の両方を行うことはよくあります。
この場合、2回分(1回目と2回目であれば5万円+5万円)を受け取れます。
全て採卵・胚移植両方を行う治療だった場合に、
6回分まで保険が支払われるというのは、国の助成金制度に合わせたのでしょうか。
民間の保険は社会保障で不十分な部分を補うという意味では、もう少し保障が欲しいな…と感じます。
注目すべき点は、不妊治療中の人でも加入できるという点です。
もちろん告知書があるので、不妊治療をしていれば記載しなければならないのですが、
不妊治療が原因で加入できないということはないそうです。
ただし、特定不妊治療給付金は2年間は支払い対象の治療をしても、
支払ってくれない不担保期間が設けられています。
不妊治療の保険は、逆選択のリスクがあると言われてきました。
逆選択とは契約者が保険事故の発生する確率が高いことを知りながら契約しようとすることを言い、不妊治療は一般の疾病のように何か病気があって治療するだけでなく、本人の意思で治療することができるため、不妊治療保険にはそのリスクがあります。
今回の保険では2年間の不担保期間でそのリスクを回避しているのでしょう。
また、それだけでなく、満期一時金からこの特定不妊治療給付金を差し引くことでも、
逆選択ができないようになっています。
ちなみに、満期一時金は払い込んだ保険料より必ず減るようになっていますので、
特定不妊治療給付金で元を取ることはできません。
この保険は、国内初ということで「不妊治療」が目立っていますが、
3大疾病や死亡のリスクを感じている人が加入すべきものだと言えますね。
不妊治療にはお金がかかります。
平成26年に体外受精で生まれた子供の数が21人に1人になったと報告もありました。
需要が高まるなか、社会保障はまだまだ不十分です。
これに対し、民間の保険会社が果敢に挑んでくれたのは、
社会的に意義があるものだと思います。
保険の是非は言えませんが、
「不妊治療」への理解が社会へ広まる良いきっかけになるものではないでしょうか。
ファイナンシャルプランナー
松原 季恵