2016年 08月 10日
介護離職を防ぐために① 介護休業法の改正
「ライフプランニング公式ブログ読者の皆さん、こんにちは!
マイアドバイザー®jp登録ファイナンシャルプランナーの浅川陽子です。
「介護は2度やってくる」とよく言われますが、これは、自分の介護の前に親の介護に関わる必要が生じるということです。親の年齢にもよりますが、だいたい子の年齢で50代前後から、親の介護の負担がかかってくることが考えらえます。
親の介護のために勤務先を退職せざるをえない状況に陥る、いわゆる「介護離職」については、平成24年の「就業構造基本調査」によれば、平成23年10月から平成24年9月までの1年間で10万人を超えたといわれます。「介護離職」を減らす、ゼロを目指す、国の取り組みにについてとりあげてみましょう。
<育児・介護休業法の改正>
介護しながら働く人が、介護による休業や休暇を取得しやすくするために、「育児・介護休業法」が改正され、平成29年1月1日から施行されることになりました。介護関係の主な改正点は以下のとおりです。
①介護休業の分割取得が可能に
現在の介護休業は、介護の対象になる家族1人につき通算93日まで原則1回に限り可能でしたが、3回を上限として分割して取得することが可能になります。
②介護休暇の取得単位の柔軟化
現在の介護休暇は、介護の対象になる家族1人につき年5日までで1日単位での取得でしたが、半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能になります。
③介護のための所定労働時間の短縮措置等
現在、事業主が要介護状態の家族を介護する労働者に対して、「所定労働時間の短縮措置」、「フレックスタイム制度」、「始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ」、「労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度」から、選択措置を講じなければならないとされています。現在、この措置の利用者は介護休業と通算して93日の範囲で取得が可能でしたが、介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能になります。
④残業の免除
新たに、介護対象の家族の介護が終了するまで、残業の免除が受けられる制度が設けられます。
また、介護休業中の給付金について、「休業開始前賃金の40%」が、平成28年8月以降の休業開始から、「休業開始前賃金の67%」に引き上げられました。
今回の改正は、大きな改正というより、既存の制度を実際に利用する側にとって使いやすいものにするという印象があります。介護休業や介護休暇の取得率は、それほど高くないというデータもあり、使い勝手をよくすることにより、制度の利用率が高まることが期待されますが、一方で、制度が改善されても、実際の職場で介護者に対する理解が深まらないと、申請しづらいという現実もあるようです。
私が、某企業の研修で介護のお話しをさせていただいた際、研修をきっかけに、「実は、うちも親の介護があって・・・」という話があちらこちらから聞こえるようになってきた、と人事の方から聞いたことがありました。
親の介護について会社に知られたくないという人もまだいるようですが、少子高齢化が進展している日本において、介護はすでに一部の人の問題ではないという認識が必要でしょう。今のところ介護の負担はないが、近い将来親の介護の心配があるという社員でも、介護に理解がある職場であれば、働き続けることができるという安心感が得られます。
制度の整備だけでなく、それを活用するために、制度の周知徹底、そして介護に理解をもてる職場の雰囲気づくり等、社員にむけた事業主の取り組みが今後、重要な鍵になってくるものと思われます。
マイアドバイザー®jp登録ファイナンシャルプランナーの浅川陽子です。
「介護は2度やってくる」とよく言われますが、これは、自分の介護の前に親の介護に関わる必要が生じるということです。親の年齢にもよりますが、だいたい子の年齢で50代前後から、親の介護の負担がかかってくることが考えらえます。
親の介護のために勤務先を退職せざるをえない状況に陥る、いわゆる「介護離職」については、平成24年の「就業構造基本調査」によれば、平成23年10月から平成24年9月までの1年間で10万人を超えたといわれます。「介護離職」を減らす、ゼロを目指す、国の取り組みにについてとりあげてみましょう。
<育児・介護休業法の改正>
介護しながら働く人が、介護による休業や休暇を取得しやすくするために、「育児・介護休業法」が改正され、平成29年1月1日から施行されることになりました。介護関係の主な改正点は以下のとおりです。
①介護休業の分割取得が可能に
現在の介護休業は、介護の対象になる家族1人につき通算93日まで原則1回に限り可能でしたが、3回を上限として分割して取得することが可能になります。
②介護休暇の取得単位の柔軟化
現在の介護休暇は、介護の対象になる家族1人につき年5日までで1日単位での取得でしたが、半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能になります。
③介護のための所定労働時間の短縮措置等
現在、事業主が要介護状態の家族を介護する労働者に対して、「所定労働時間の短縮措置」、「フレックスタイム制度」、「始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ」、「労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度」から、選択措置を講じなければならないとされています。現在、この措置の利用者は介護休業と通算して93日の範囲で取得が可能でしたが、介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能になります。
④残業の免除
新たに、介護対象の家族の介護が終了するまで、残業の免除が受けられる制度が設けられます。
また、介護休業中の給付金について、「休業開始前賃金の40%」が、平成28年8月以降の休業開始から、「休業開始前賃金の67%」に引き上げられました。
今回の改正は、大きな改正というより、既存の制度を実際に利用する側にとって使いやすいものにするという印象があります。介護休業や介護休暇の取得率は、それほど高くないというデータもあり、使い勝手をよくすることにより、制度の利用率が高まることが期待されますが、一方で、制度が改善されても、実際の職場で介護者に対する理解が深まらないと、申請しづらいという現実もあるようです。
私が、某企業の研修で介護のお話しをさせていただいた際、研修をきっかけに、「実は、うちも親の介護があって・・・」という話があちらこちらから聞こえるようになってきた、と人事の方から聞いたことがありました。
親の介護について会社に知られたくないという人もまだいるようですが、少子高齢化が進展している日本において、介護はすでに一部の人の問題ではないという認識が必要でしょう。今のところ介護の負担はないが、近い将来親の介護の心配があるという社員でも、介護に理解がある職場であれば、働き続けることができるという安心感が得られます。
制度の整備だけでなく、それを活用するために、制度の周知徹底、そして介護に理解をもてる職場の雰囲気づくり等、社員にむけた事業主の取り組みが今後、重要な鍵になってくるものと思われます。
by lifeplaning
| 2016-08-10 10:17
| 浅川 陽子