2014年 08月 20日
最期のラブレター
マイアドバイザー®jp登録ファイナンシャルプランナーの川崎由華です。
8月15日の日本経済新聞の『経済気象台』に、10日にがんで亡くなった三菱UFJ信託銀行の灰谷健司さんが遺した言葉が載っていました。
「遺言書は愛する家族への最期のラブレター」
相続のプロフェッショナルとして、遺言書を遺産の分け方を記載する書類ではなく、人生を振り返って家族一人ひとりへの思いを伝える手紙と捉え、文章で書くことを勧めてらっしゃったそう。
身体のあちこちにがんが転移し、がんと闘いながら、灰谷さんがこのことを多くの方に伝えようと最期まで講演活動をされていたと知り、痛いほどこの言葉の重みと深さを感じます。
確かに、相続にまつわる個別相談をお受けした時に、相続が争続になることを避けるための手段として遺言書の話をすると、「遺言書までは考えてない」と遺言書というものに大きな抵抗感を持ってらっしゃる方は少なくありません。
遺言書として認められるためには、証書の種類によって証人がいったり、公証人役場での検認が必要だったり、いくつかの決まりがあります。
しかし、書く内容には決まりがありません。
一般的な遺言書にあるような箇条書きに遺産分割を記す形式ばった内容でなくてもいいのです。
灰谷さんが遺された言葉のように、遺言書は思いを伝えるラブレターとして捉えれば抵抗感も減り、自身の思いを綴ったうえで遺産分割を記すことで、遺された家族も穏やかな気持ちで受け入れることができるのではないでしょうか。
思い立ったが吉日。
家族への思いを込めた最期のラブレター、筆を執ってみてはいかがでしょうか。