2013年 10月 11日
がんになったら必要になるお金って?
ファイナンシャルプランナーの川崎由華です。
「がんになったら、どのくらいお金が必要になるのですか?」と、ご相談者の方からお尋ねされることがあります。
おそらく、保険会社の宣伝広告で先進医療の高額な費用を目にしたり、抗がん剤の高額さを耳にしたりして、漠然と「がん治療にはたくさんお金がかかるのでは…」と不安に思っておられるのでしょう。
がんになった時の経済的な負担は、がんの治療費だけではありません。
例えば、子宮頸がんの手術では、転移の有無を確認して術後の治療が必要かどうかを決定させるために、リンパ節に転移が認められなくてもリンパ節郭清が行われることがあります。その結果、慢性的に足がむくんでしまうという「リンパ浮腫」という後遺症が出ることがあります。
リンパ浮腫が起こってしまったら、少しでも改善すべく、病院内にある「リンパ浮腫外来」への定期的な通院、弾性ストッキングやボディクリームの購入などの費用が生涯にわたってかかってきます。
また経済的な負担は、リンパ浮腫のためにこれまで通りの仕事ができなくなり、収入が減ってしまうなど、支出面だけではなく収入面においても起こり得るかもしれません。
つまり、がんになったら必要になるお金は、がんの治療そのものだけではなく、後遺症への治療、そして治療後の生活にも及ぶ可能性があるのです。
がんへの経済的な備えとして、各社のがん保険を見ると、「がん入院給付金」「がん手術給付金」「抗がん剤治療給付金」など、数多くの使途別の給付金が存在しています。しかし、がんによる後遺症への治療や、減った収入を補てんする給付金のあるがん保険は、ほんの一部です。
また、がんになってみないと、どのような治療をどのくらいの期間で行うのか分からないため、できる限り網羅したものを選びたくなりますが、使途が当てはまらない限り給付金は出ないため、無駄も多くなるのではないでしょうか。
そう考えたならば、がんと診断されたことだけで、ある程度まとまった大きなお金を受け取り、自分の裁量によって使っていける「がん診断給付金」に重点をおいたがん保険を選ぶことがベストなのではないかと、私は思っています。