2012年 10月 01日
遺留分とは
ファイナンシャルプランナーの田中尚実です。
遺言は、あなたの考えや思いを生前に文書にして遺しておくもの、
遺言による相続分の指定は、法定相続よりも優先される、
とお伝えしました。
しかし、仮にあなたが遺族だとして、
「財産は全て日本赤十字社に寄付する」
なんて遺言が遺されていたらどうでしょう?
立派な思いを心より尊重する、となればいいですが、
中には、あてにしていたのに、とがっくりくる人もいるでしょう。
もし「愛人に全部」なんて遺言だったら納得いかない、
ということになりかねませんよね?たぶん。
そのため、このような場合でも、相続人が最低限の財産をもらえるように
定めた制度があります。これを遺留分といいます。
遺留分が保証されているのは、法定相続人である配偶者、
子(代襲相続人も含む)、直系尊属です。
兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分として認められるのは、相続人が直系尊属だけの場合は全財産の1/3、
それ以外の場合は全財産の1/2となります。
例えば、相続人が配偶者と子1人の場合の遺留分は、配偶者1/4、子1/4。
相続人が配偶者と母の場合の遺留分は、配偶者2/6、母1/6。
相続人が母のみの場合のその遺留分は1/3となります。
遺留分は自動的にもらえる訳ではなく、その確保のためには
遺留分減殺請求を行う必要があります。
遺留分減殺請求の権利の行使は、定められた期間内に行う必要があり、
その期間を過ぎると時効により消滅します。
遺留分減殺請求権を行使できるのは、相続の開始および遺留分を侵害されている
ことを知った時から1年、知らなかった場合は、相続の開始の時から10年です。