2011年 10月 10日
相続放棄と保険金
ファイナンシャルプランナーの田中尚実です。
毎週火曜日よる10時からのNHKドラマ「ラストマネー」がおもしろいです。
生命保険会社の保険金査定部に勤務する主人公が、問題のありそうな
支払い請求を調査し、不正申告や、保険金詐欺など様々なケースの実態
にせまっていく、というような内容です。
保険会社の仕事を垣間見られるし、ちょこっと保険の勉強もできちゃうドラマです。
第3話は、多額の借金を抱える自動車修理工場の社長が焼死し、
保険金の請求が行われるが、どうも不審な点が多く調べ始めるといった
ストーリーでした。
その中で、主人公が語ったこんなセリフがありました。
「相続放棄をしても死亡保険金は受け取れるってことをご存知なかったんですね。」
ドラマの本筋には大きく関係しないセリフだったので、さらっと流れちゃったんですが、
ちょっとこれについて、今回は解説したいと思います。
相続とは、簡単に言ってしまえば、亡くなった人の遺産を、一定の身分関係にある
家族など(相続人)が受け継ぐことをいいます。
遺産はプラスの財産に限りません。マイナスの財産、つまり借金なども含むんですね。
ええ~?親が借金を残して他界したら、それを丸々かぶらなくちゃいけないの?
と心配になりますね。
はい、確かに相続人は亡くなった方の一切の権利・義務を承継することになるのですが、
相続人は相続財産を承継するか否か選択できることになっています。
プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がない、というのが相続放棄です。
さて、あなたの親が借金を残して他界したとします。
あなたは親の借金を負わない為に相続放棄を選んだとします。
この場合、仮にあなたの親があなたを死亡保険金の受取人にして保険契約していた
としても自分は相続放棄をするのだから受け取れない、と思いませんか?
ドラマの登場人物もそのように思っていました。
しかし、違うんですね~。
契約者と被保険者が同一人の場合、死亡保険金は相続財産ではなく、
保険金受取人の固有財産となるのです。
ですから、たとえ相続放棄をしたとしても、
あなたが受取人となっている保険金は受け取ることができるのです。
ただし、この死亡保険金は税制上は「みなし相続財産」となり相続税の
課税対象にはなります。
死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」という相続税の非課税金額が
あるのですが、相続放棄をした場合は、この非課税金額の適用を受けることは
できません。