2011年 09月 23日
災害時にも使える労災保険
ファイナンシャルプランナーの當舎です。
先日、台風15号が上陸し、首都圏でも帰宅難民になった方は
私の周りでも非常に多く、近所のお子さんを預かることになりましたが、
(こういうときは、自宅兼事務所の役得ですね。)
皆さんは、大丈夫でしたでしょうか。
今年は、東日本大震災に始まり、台風12号、今回の台風15号と
天災が多く起こっています。
今日は、仕事中の方、帰宅中に、けがなどの被害を受ける
リスクについて、考えてみます。
仕事中、もしくは通勤途上に、けがを負った場合、真っ先に使えるのは
労災保険です。
ところが、通勤途中のケガなのに「対象外」と言われたり、
案外、保険というのは、適用を受けるには難しいものなのです。
労災保険にまつわる誤解あれこれ
労災保険は、「すべての」労働者が対象者です。
よく、アルバイトだからとかパートだからと、
自分には、何も保険は関係ないという方がいらっしゃいますが、
例え、1日だけのアルバイトであったとしても、
けがをすれば、給付の対象者となります。
また、「仕事中や通勤中にけがをしたから労災保険を使います。」と
勤務先に伝えた場合、
「うちの会社の労災は使えないから、
健康保険で病院にかかって」と言われることがあります。
労災保険か健康保険かというのは、自分か会社の選択ではありません。
お間違えのないように。
健康保険との違い
いくつか違いはありますが、一番大きいのは、
健康保険は3割負担のところ、労災保険は、自己負担が0という点でしょう。
また、休業した時にも違いがあり、健康保険からは、標準報酬日額の3分の2
(標準報酬日額って、ちょっと難しいのですが、原則4,5,6月のお給料の平均です)
の傷病手当金があるのに対し、労災の場合には、
仕事を休業した時に、平均賃金の60%が受給できる「休業(補償)給付」と
これと併せて「特別支給金」が20%補償されますから、
平均賃金額相当額の80%の給付を受けることが出来ます。
*平均賃金:事故以前3カ月の賃金(通勤手当含む)を暦日数で割ったもの
この上乗せの「特別支給金」には、ちょっとした注意点があります。
もし、第3者行為災害(車にはねられた、自転車同士ぶつかったなど、
相手方がいる事故のこと)で、相手に損害賠償など払ってもらえる場合でも、
上乗せ分のみ請求可能ですが、意外と知らないまま、
請求していないケースが多いのです。
結構厳しい「通勤中」
通勤中にけがをすると、無条件に労災が支給されるかというと
そうではありません。
通勤経路が「合理的な経路」かどうかが判断されるのです。
例えば、会社が毎月、定期代が支給されているのに、
自分の健康のために、会社に申請せず、「自転車で通勤する」というのは、
例えば、自転車にのっている時に、歩行者とぶつかってけがをしても、
恐らく、「通勤災害」とはみなされない可能性が高いでしょう。
ただ、今回の台風のように、いつもの通勤経路が使えないから、
遠回りをしたところ、看板が飛んできてけがをしたということなど、
その時々で合理的な経路を使っていると、
治療費や休業損害も支給されるでしょう。
例え、いつも1時間半かかる通勤が、電車が止まっていて、
その代わりに徒歩で6時間かかったとしても、
「合理的な経路」とみなされるのです。
ただし、電車が止まっているから、ちょっと一杯と店に
入ってしまうと、その後は、通勤とはみなされません。
もちろん、その後に、自転車とぶつかってけがをしたなど、
不幸な災害にあっても、労災からは支給されません。
くれぐれも、より道にはご用心。